中国の自動車産業

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中国の自動車産業では、中華人民共和国自動車メーカーや、他国メーカーとの合弁企業、提携関係など、中国の自動車産業全般に関わる事柄をまとめる。

概要[編集]

国別の自動車生産台数の推移(2015年まで)

2022年現在、中国は世界最大の自動車市場を形成している。1990年代以降、中国経済の発展に伴い自動車産業は急速に発展してきた。2009年には登録車数は6200万台に達し、2022年現在では登録車数は2億9700万台に達した[1]

2013年時点で中国には100社以上の自動車メーカーが乱立しており、中国政府は、自動車メーカー乱立による生産性の低さや過剰生産などの問題を克服するために業界再編を進めている[2]

2020年10月、中国政府は新たなロードマップを発表し、2035年を目処に従来のガソリン車を廃止し、新車で販売するすべての自動車をHV、PHV、EV等の環境適応車とする方針を示した[3]。電気自動車やコネクテッドカーの分野は、中国政府が補助金を投じて支援しており、習近平政権が掲げる産業政策「中国製造2025」の重点分野に位置付けられている[4]ファーウェイ[5]アリババテンセントバイドゥ[6]などの豊富な資本力を持つテクノロジー企業や、AutoXTuSimpleなどのベンチャー企業上海蔚来汽車小鵬汽車などの自動車企業がそれぞれ自動運転技術や通信技術などの開発を進めている[7]

中国乗用車市場のシェア[編集]

2023年の中国における販売台数は約2192万台[8]である。またそのシェアは2020年には中国系が38.4%、日本系が23.1であったが、2023年には以下のように急激に中国系がシェアを伸ばしている。

中国乗用車市場のシェア

  中国系 (56.0%)
  ドイツ系 (17.8%)
  日本系 (14.4%)
  米国系 (8.8%)
  その他 (3%)

メーカー・ブランドのリスト[編集]

中国初の国産乗用車 紅旗 CA72(1959年)
BYD 漢(2022年)
Haval 神獣(2022年)
五菱 宏光miniEV(2020年)
長城 ORA(2021年)
吉利 Zeekr 001(2021年)

中国の自動車メーカーの特徴として、海外メーカーとの合弁企業が多い事が挙げられる。これは、中国は輸入車に高い関税が課しているため、中国で販売を伸ばすには現地生産が最も効率的な手段であるとともに、現地生産を行うには中国の自動車メーカーとの間で出資比率50:50の合弁企業を設立することが義務付けられていたからである。なお、この出資制限は電気自動車などの新エネルギー車から段階的に解除され[9]2022年1月1日を持って完全に撤廃された[10][11]

乗用車[編集]

第一汽車、上海汽車、東風汽車、長安汽車、奇瑞汽車の5社をまとめてビッグ5と呼ぶことがある[要出典]

大型トラック[編集]

中型・小型トラック専業[編集]

バス[編集]

トロリーバス[編集]

過去に存在したメーカー・ブランドのリスト[編集]

自動車開発会社[編集]

エンジン生産会社[編集]

生産台数順のリスト[編集]

2017年の自動車生産台数
(出典:OICA)[13]
順位 メーカー 生産台数
1 上海汽車(SAIC) 2,866,913
2 吉利汽車(GEELY) 1,950,382
3 長安汽車(CHANGAN) 1,616,457
4 東風汽車(DONGFENG MOTOR) 1,450,999
5 北京汽車(BAIC) 1,254,483
6 長城汽車(GREAT WALL) 1,041,025
7 奇瑞汽車(CHERY) 605,331
8 第一汽車(FAW) 592,688
9 広州汽車(GAC) 513,870
10 安徽江淮汽車(ANHUI JAC AUTOMOTIVE) 493,199
11 比亜迪汽車(BYD) 421,590
12 華晨汽車(BRILLIANCE) 362,166
13 湖南江南汽車(HUNAN JIANGNAN) 315,363
14 中国重型汽車(CHINA NATIONAL HEAVY DUTY TRUCK) 296,594
15 重慶力帆汽車(CHONGQING LIFAN MOTOR CO.) 214,145
16 陝西汽車(SHANNXI) 189,066
17 東南汽車(SOUTH EAST) 159,473
18 長豊汽車(CHANGFENG) 135,682
19 華泰汽車(RONGCHENG HUATAI) 132,511
20 一汽海馬汽車(HAIMA CARS) 94,932

脚注[編集]

  1. ^ 中国の自動車保有台数、年内に3億台超える見通し”. www.afpbb.com. 2022年2月28日閲覧。
  2. ^ 中国、自動車メーカー乱立 政府主導の再編に遅れ: 日本経済新聞
  3. ^ 中国「ガソリン車禁止」で日本車有利になる訳 | 電動化 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
  4. ^ ファーウェイの次は“クルマ”が危うい、中国コネクテッドカー構想が米につぶされる 米国の動向から読み解くビジネス羅針盤|ビジネス+IT
  5. ^ 车联网 - 华为解决方案” (中国語). Huawei Enterprise. 2022年2月28日閲覧。
  6. ^ Apollo”. apollo.auto. 2022年2月28日閲覧。
  7. ^ なぜ中国IT企業はこぞって自動車産業に投資するのか | CAR and DRIVER特選! ドライバーズ・インフォメーション | ダイヤモンド・オンライン
  8. ^ 中国自動車工業協会
  9. ^ 複雑な中国の自動車業界、提携関係を整理してみた 日本の自動車メーカーはどこと提携しているのか?(2/4) | JBpress(Japan Business Press)
  10. ^ 中国クルマの外資規制撤廃、日本に甘くない現実:日経ビジネス電子版
  11. ^ 聖平, 三塚 (2021年12月29日). “中国が1月1日に乗用車の外資規制を撤廃 市場開放アピール”. 産経ニュース. 2022年2月27日閲覧。
  12. ^ 勢いよく成長したが勢いよく切る…「中国版テスラ」2700人解雇”. 中央日報 (2023年11月7日). 2023年11月11日閲覧。
  13. ^ 2017 Statistics | www.oica.net