不可算集合

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数学において、不可算集合 とは可算集合でない無限集合のことである。集合の相対的な不可算性は基数,濃度という概念に繋がる: 集合が不可算であることは、その濃度が自然数全体の集合の濃度より大きいことである。

特徴づけ[編集]

集合の不可算性には多くの同値な言い換えが存在する。集合 X が不可算であることは以下の各条件とそれぞれ同値である:

  • X から自然数全体への集合への単射が存在しない。
  • X が空でなく、X の要素からなる ω-をどのようにとっても、その列に入りそこねる X の元が出てくる。すなわち、X が空でなく、自然数集合から X への全射が存在しない
  • X の濃度が有限でも自然数全体の集合の濃度 \aleph_0 でもない。
  • X の濃度が \aleph_0 より真に大きい。

最初の3つの条件はZFのもとで同値である。しかし、3番目と4番目の条件の同値性はなんらかの選択原理をZFに付け加えない限り証明できない。

性質[編集]

  • XY の不可算な部分集合なら Y も不可算集合である。

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不可算集合の例として最も知られているものは実数全体の集合 R であろう; その不可算性はカントールの対角線論法により証明される。対角線論法はその他の集合(例えば、自然数からなる無限列全体の集合, 自然数からなる集合全体からなる集合族)の不可算性を証明するのにも応用される。R の濃度を連続体濃度と呼び c2^{\aleph_0} または \beth_1 で表す。カントール集合R の不可算部分集合である。カントール集合はフラクタル構造を持ち、ハウスドルフ次元が0より大で1未満である(R は1次元である)。この集合は次の事実の例となっている: R の部分集合でハウスドルフ次元が0より大なものは必ず不可算集合である。R から R への関数全体の集合も不可算であるが、これは連続体濃度よりも不可算的であり、その濃度は \beth_2 である。不可算集合のさらに抽象的な例としては、可算順序数全体からなる集合 ω1 がある。ω1 の濃度を \aleph_1 で表す。選択公理を用いることによって、\aleph_1 が最小の不可算基数であることが証明できる。このことから、実数全体の集合の濃度 \beth_1 は、\aleph_1 に等しいか真に大きい。ゲオルク・カントールは「等しいのか大きいのか、本当はどちらなのか」を問うた最初の研究者である。1900年、ダフィット・ヒルベルトによりこの問題はヒルベルトの23の問題の第1問題とされた。\aleph_1 = \beth_1 という命題は連続体仮説と呼ばれ、この命題はZFCからは独立であることが証明されている。

選択公理を用いない場合[編集]

選択公理を仮定しない場合、\aleph_0 と比較できない濃度が存在しうる、具体的にはデデキント有限な無限集合の濃度がそうである。これらの濃度は不可算性の最初の3つの特徴づけを満たすが、4番目は満たさない。これらの集合は濃度の意味で自然数集合より真に大きいわけではなく、またZFCの下では可算になるので、不可算とは言わないのが普通である。

選択公理を仮定する場合、基数 \kappa\! に関する以下の条件は全て同値である:

  • \kappa \nleq \aleph_0
  • \kappa > \aleph_0
  • \kappa \geq \aleph_1

しかしながら、選択公理を仮定しない場合これらは異なる条件になるため、どれが最も適切な "不可算性" の特徴づけと言えるかは明らかでない。

関連項目[編集]

参考文献[編集]

外部リンク[編集]