一般ディリクレ級数
一般ディリクレ級数(いっぱんでぃりくれきゅうすう、英: general Dirichlet series)とは、
複素数列
、無限大に発散する狭義の単調増加列
および複素数 s に対して、

で表される級数のことをいう。指数型のディリクレ級数または広義のディリクレ級数ともいう。
特に、
のとき、

であり、(通常)ディリクレ級数となる。
また、
、
とすると、

と、ベキ級数になる。
s を変数とみなし、一般ディリクレ級数の収束性を問わないとき、形式的一般ディリクレ級数 (formal general Dirichlet series)という。
目次 |
収束性 [編集]
収束軸 [編集]
任意の一般ディリクレ級数に対して、次のいずれかが成り立つ。
- 任意の複素数 s に対して、一般ディリクレ級数は収束する。
- 任意の複素数 s に対して、一般ディリクレ級数は発散する。
- 一般ディリクレ級数が
を満たす複素数 s に対して収束し、
を満たす複素数 s に対して発散する様な実数
が存在する。
この
を一般ディリクレ級数の収束軸 (line of convergence)または収束座標 (abscissa of convergence)という。 収束軸について、一般ディリクレ級数が常に収束するときは
、常に発散する場合は
と定める。
収束軸の値の求め方
一般ディリクレ級数

の収束軸
の値は、以下の様に求められる。
が発散する場合
。
が収束する場合
。
また、
![\sigma_c = \limsup_{x\to\infty}\frac{1}{x}\log\left|\sum_{[x]\le\lambda_n<x}\!\!\!\!a_n\right|](http://upload.wikimedia.org/math/f/0/d/f0db47cec25f42a488e274d3746dde1a.png)
という式も知られている。
絶対収束性 [編集]
一般の級数のときと同じく、

が収束するとき、一般ディリクレ級数

は絶対収束するという。
絶対収束する複素数 s に対する、
の下限を絶対収束軸 (line of absolute convergence)または絶対収束座標 (abscissa of absolute convergence)という。 絶対収束軸について、一般ディリクレ級数がすべての点で絶対収束するときは
、常に絶対収束しない場合は
と定める。
ディリクレ級数の場合、ある点で収束すれば絶対収束する点が存在するが(ディリクレ級数の絶対収束性を参照)、ある点で収束しても、すべての点で絶対収束しない一般ディリクレ級数が存在する。
例えば

は、すべての複素数 s に対して収束するが、絶対収束することはない。
一般に、収束軸が有限の値
を持ち、

が有限の値 α をとるならば、絶対収束軸
は有限の値を持ち、
[1]であることが知られている。
絶対収束軸は、先に述べた収束軸の値を求める公式を用いて、以下の様に与えられる。
一般ディリクレ級数

の絶対収束軸
の値は、以下の様に求められる。
が発散する場合
。
が収束する場合
。
また、
![\sigma_a = \limsup_{x\to\infty}\frac{1}{x}\log\left(\sum_{[x]\le\lambda_n<x}\!\!\!\!|a_n|\right)](http://upload.wikimedia.org/math/4/b/9/4b99db8e94fdc5d0734985e7d9f418d2.png)
が成り立つ。
一様収束性 [編集]
一般ディリクレ級数を

として、s を変数とする関数とみなすと、
の一様収束性が問題となる。
一般ディリクレ級数の一様収束性について、収束軸
および絶対収束軸
が有限の値であるならば、 このとき、
を満たす実数
が存在して、
を満たす複素数 s に対して、
は一様収束するが、
を満たす複素数 s に対して、
は一様収束しない。
この
を、一様収束軸 (line of uniform convergence)または一様収束座標 (abscissa of uniform convergence)という。 一様収束軸について、一般ディリクレ級数がすべての点で一様収束するときは
、常に一様収束しない場合は
と定める。
一様収束軸の値は、収束軸・絶対収束軸とは異なる方法で求められる。
ディリクレ級数

の一様収束軸
の値は、以下の様に求められる。
。
ここで、
。
解析的性質 [編集]
正則性 [編集]
一般ディリクレ級数


で与えられる。
で正則である様な σ の下限を
とおくと。
。
但し、
。
一般ディリクレ級数の一意性 [編集]
2つのディリクレ級数

が、ある開領域内で収束し、そこで、
が成立するならば、すべての n に対して、
である。
一般ディリクレ級数の係数 [編集]
収束軸
が有限の値もしくは
である、一般ディリクレ級数

に対して、ω を
を満たす様にとり、
とする。このとき

が成立する。但し、積分路は、すべての
を通らない様にとる。
さらに、
であるならば、
。
一般ディリクレ級数の零点の個数 [編集]
ε、 δ、T を任意の正数とする。
収束軸
が有限の値である一般ディリクレ級数

に対して、
を満たす複素数
のうち、
を満たすものの個数を
とおくと、
は有限の値であり、

が成立する。
注釈 [編集]
参考文献 [編集]
- ザギヤーD. B. 『数論入門』 片山孝次訳、岩波書店、東京、1990年。
- ナルキェヴィッチW. 『素数定理の進展 上』 中嶋眞澄訳、シュプリンガー・フェアラーク東京、東京、2008年。
- 日本数学会編 『岩波 数学辞典 第3版』 岩波書店、東京、1987年。
- 日本数学会編 『岩波 数学辞典 第4版』 岩波書店、東京、2007年。
を満たす複素数 s に対して収束し、
を満たす複素数 s に対して発散する様な
が発散する場合
。
。
が発散する場合
。
。
が有限の値でなくても、この不等式は成り立つ。