ヴェレス (神)

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ヴェレス

ヴェレス(Veles)あるいはヴォーロス(Volos)とは東欧神話の神である。

概略[編集]

ロシア語volosが毛髪、volosatyjが熊の忌み語である毛むくじゃらであることから、熊と関係する獣の姿をした神という説がある[1]

また、『原初年代記』907年、および971年の項では家畜の神とされた[2]。夜空の星を放牧された家畜に見立てて月神ともみなした(中世ロシアでは、牡牛座に近いプレアデス星団をvolosynyなどと表記した)。家畜が財産であったことから財宝の神、豊穣多産の神ともなった。また、詩をつかさどる神という説もある[3]。 一方でリトアニア語Welisを死者、リトアニア語やチェコ語のvereが悪魔という語にさかのぼることから、死者を護る「冥界」の神であったと推測する説もある。このためチェコでは15-16世紀にはヴェレスを悪魔かドラゴンと同類とみなしたという。

ヴェレスは特に南スラヴの伝承に多く残り、マケドニア共和国の町ヴェレスもこの神の名前から取っている。

悪魔扱いされる一方で、家畜の守護者、豊穣多産の神としての性格は、後にキリスト教に取り込まれて変容し、聖ヴラーシイー崇拝に習合した。

出典[編集]

  1. ^ 『神の文化史事典』、白水社、2013年、112頁より引用
  2. ^ 中村喜和 『ロシア中世物語集』p14
  3. ^ 木村彰一 『イーゴリ遠征物語』p155

参考文献[編集]

  • 松村一男、平藤喜久子、山田仁史 編「神の文化史事典」白水社、2013 pp.112-113.
  • 中村喜和 訳 『原初年代記』(抄) // 『ロシア中世物語集』筑摩書房、1985.
  • 木村彰一 訳 『イーゴリ遠征物語』岩波書店、1983.

関連項目[編集]