ヴェスタの巫女

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ヴェスタの巫女』(ヴェスタのみこ、伊語La Vestale)は、ガスパーレ・スポンティーニが作曲した全3幕のオペラ

作曲の経緯[編集]

1807年ジョゼフィーヌ皇后に頼まれてウェスタの処女を題材に作曲。パリ・オペラ座での初演によって、当代きってのイタリア人作曲家として名声を確立した。

登場人物[編集]

あらすじ[編集]

第1幕[編集]

リチニオは友人であるチンナに、ジュリアを手に入れることは出来ないかと相談をしている。リチニオはジュリアを神殿から誘拐してしまうとまで言い出し、それを聞いたチンナは止めようとするが、リチニオの決意が固く、遂には彼への協力を誓ってしまう。

リチニオとチンナが立ち去った後、巫女たちが現れ、夜明けの祈りを捧げる。巫女たちが神殿に戻ろうとすると巫女の長はジュリアをひとり留めて話をする。巫女の長はジュリアに最後の試練を今日、お前に与えると宣言する。巫女の長は巫女にとって恋は禍のもとであるときつく忠告する。その上で、今夜から聖火の不寝番になるように命じ、さらに今日、凱旋将軍に冠を授ける役目を命じて立ち去る。ジュリアはリチニオに再会し喜び、また不安する。

凱旋の列が現れ、式典が始まり、リチニオは冠を授かるために祭壇に登る。そして、そこにいたジュリアに向かい、この神殿から今夜一緒に逃げ出そうと囁く。それを聞いたジュリアはひるんでしまう。そんな二人の心情をよそに、祭司長は、カンピドーリオの丘で生贄を捧げる儀式を行う事を告げ、民衆は喝采して合唱する。

第2幕[編集]

巫女の長はジューリアに聖火の火を絶やさないよう注意し、黄金の火かき棒を与え立ち去る。一人残ったジュリアはリチニオへの愛と神への忠誠の狭間で苦む。

約束通りリチニオが現れ、ジュリアに向かって一緒に逃げるように誘惑をする。始めは健気にそれを拒んでいたジュリアも遂には誘惑に負けて、一緒に逃げる事を承諾する。すると、それまで燃え続けていた聖火が音も無く消えてしまう。それを見たジュリアは神の怒りを恐れ、それが愛するリチーニョに禍をもたらさないようにと、今度は、一緒に逃げることは出来ないと彼に告げる。

その時、チンナが現れて、早くも聖火が消えたことを民衆が騒ぎ始めたので、ふたりとも早く逃げるように言う。しかし、ジュリアは動こうとしない。祭司たちの気配に気付いたチンナはリチニオだけでもと、強引に彼の手を引きその場を逃げ出す。残ったジュリアは祭司長に身の潔白を疑われる。しかし、彼女は弁解をしないで、死を望んで神に祈る。

祭司長はジュリアに恋人の名を明かすように求めるが、その激しい糾弾にも彼女は口を割ろうとしない。怒った祭司長はジュリアから聖帯と聖衣を剥ぎ取って連れ去るように厳しく命じる。

第3幕[編集]

リチニオはジュリアを失ったことを嘆く。そこへチンナが現れジュリアの救出の為に兵士たちを集めてきた事を知らせる。現れた祭司長にリチニオはなんとかジュリアを許すように頼むが、祭司長はそれを許そうとしない。怒ったリチニオはその気ならば力ずくでもジュリアを救ってみせるといって立ち去る。

ジュリアが生き埋めの丘に引かれてくる。彼女は巫女の長に向かって別れを告げる。祭司長は巫女たちにジュリアのヴェールを聖火台に持っていくように命じる。それは掟によって、もし彼女のヴェールが聖火台に捧げられた時、聖火に火が点ればジュリアは無実となるためであった。しかし、奇蹟は起こらず聖火に火は戻らなかった。遂にジュリアに墓穴に入るようにと命令が下される。ジュリアは愛する人に別れを告げる。

そしてジューリアが墓穴に入ろうとしたその時、リチニオが現れて、自分がジュリアの恋人であると名乗りをあげ、率いてきた兵士たちにジュリアを救うように命じる。兵と祭司たちがもみ合っていると突然、あたりは暗闇につつまれ、風が吹いたと思うと、天から火の玉が落ちてくる。

火の玉は聖火台に落ちて、そこにあったジュリアのヴェールを燃やして、聖火に火を灯す。祭司長は争いを止めさせ、奇蹟を告げ、ジュリアの罪が許されたことを宣し、ジュリアをリチニオの手に渡す。神殿は皆の祝福の響きの中、幕を閉じる。

著名なアリア[編集]

  • 無慈悲な女神よ(Tu che invoco con orrore) - ジュリア

参考文献[編集]