ローリー法

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ローリー法(ローリーほう、Lowry method, Lowry protein assay)はタンパク質定量分析法としてよく用いられる方法。

ビウレット反応(2価イオンペプチド結合の反応)とアミノ酸側鎖の酸化反応とを組み合わせたものである。タンパク質濃度が0.01から1.0mg/mlの範囲に適している。

タンパク質溶液にアルカリ性条件で硫酸銅、次いでフォリン-チオカルトー試薬(Folin-Ciocalteu reagent)を加えて反応させ、750nm吸光度(眼には青藍色に見える)を測定する。フォリン-チオカルトー試薬はタングステン酸モリブデン酸リン酸等から作られ、フェノールの検出にも用いられるのでフェノール試薬ともいう。芳香族アミノ酸(トリプトファンチロシン)およびシステインとの反応によりホスホタングステン酸・ホスホモリブデン酸が還元され、750nm付近に吸収を生じる。この吸収波長はビウレット反応生成物にも近く、ビウレット法単独より感度が100倍ほど高くなっている。

操作は容易なので、紫外吸収法やブラッドフォード法とならびよく使われる。ただし反応に時間がかかる、タンパク質の種類(アミノ酸組成)により感度が異なる、遊離アミノ酸・フェノール類・還元剤・EDTAなどにより妨害されるといった欠点がある。これをもとに改良した方法としてビシンコニン酸法(BCA法)なども用いられている。

世界で最も引用された論文[編集]

ローリー法を発表した論文[1]は「世界で最も引用された論文」として知られており、30万回以上引用されている[2]。また、第2位は同じくタンパク質に関するウルリッヒ・レムリーの論文、第三位も大まかなテーマが同じのタンパク質の定量分析法のブラッドフォード法である[2]

関連項目[編集]

出典[編集]

  1. ^ Lowry, O. H.; Rosebrough, N. J.; Farr, A. L.; Randall, R. J. (1951-11). “Protein measurement with the Folin phenol reagent”. The Journal of Biological Chemistry 193 (1): 265–275. ISSN 0021-9258. PMID 14907713. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/14907713/. 
  2. ^ a b ノーベル賞受賞者の論文ですらランクインしない「世界で最も引用された論文トップ100」”. GIGAZINE. 2022年1月28日閲覧。

外部リンク[編集]