ローザンヌ国際バレエコンクール
ローザンヌ国際バレエコンクール (仏: Prix de Lausanne)は、スイスのローザンヌで毎年行われる、15歳から18歳までのバレエダンサーを対象としたコンクールである。非営利法人の舞踊芸術振興財団(Fondation en faveur de l'Art chorégraphique)によって、1973年から開催されている。
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[編集] 概要
新たな才能を発掘し、バレエの専門教育機関やバレエ団への道筋を開くことを目的に掲げており[1]、新人バレエ・ダンサーの登竜門となっている。既にプロとしての活動実績がある者や、入団が決まっている者は参加資格がない[2]。
2006年から審査方法が変更された。新たな審査方法では、第1フェーズはDVDによる審査で、80名程度の候補が選ばれる。第2フェーズ以降がボーリュ劇場で行われる。2005年まで行われていた決選でのフリー・バリエーションの審査は、振付の優劣によりダンサーの資質を見誤ることのないよう廃止され、クラシックとコンテンポラリーのバリエーションを1曲ずつ選択肢の中から選んで踊ることになった。
20名程度が決選に残り、6-8名が入賞する。決選進出者には、入賞できなかった場合でも、1,000スイス・フランの奨励金と夏に行われる講習会の受講料免除などの特典が与えられる。
このコンクールは基本的にローザンヌで開催されているが、過去にはコンクールとしての国際的な知名度を高めるために決選を外国で行ったことがある。1985年はニューヨーク、1989年は東京、1995年はモスクワで開催された[3]。
日本からは毎年多数が参加し好成績を収めている。過去には吉田都、熊川哲也、上野水香、中村祥子らが入賞した。近年は日本のほか韓国、中国など東洋人の活躍が目覚しく、もともと多かったヨーロッパやロシアからの決勝進出者が減りつつある。
[編集] 賞
- ローザンヌ賞(Prix de Lausanne) - 単に入賞と呼ばれることも多い。入賞者には16,000スイス・フランの奨学金と副賞とが与えられる。与えられる副賞により、スカラシップ賞又はプロ研修賞と呼ばれる。
- スカラシップ賞(Prix de Lausanne Bourses d’Etudes)- 入賞者には奨学金と、世界の著名バレエ・スクールへ1年間留学する権利が与えられる[4][5]。
- プロ研修賞(Prix de Lausanne Bourses d’Apprentissage) - 入賞者には奨学金と、世界の著名バレエ団へ研修生として参加する権利が与えられる。17歳以上の参加者のみ選択できる[4][5]。1999年にキャッシュプライズ賞などを置き換える形で導入された。当初は日本語で「プロフェッショナル・スカラシップ賞」と呼ばれていた[6](Prix de Lausanne en Bourse Stage professionnel)が、実質的に同じものである[7]。
- コンテンポラリー賞(Prix d'interpretation contemporaine) - コンテンポラリー・バリエーションにおいて特に解釈と表現力に優れていた決選進出者1名に贈られ、受賞者は世界の著名なコンテンポラリー・ダンス講習会へ無料で招待される[4][5]。
- ベスト・スイス賞(Prix du meilleur suisse) - 地元スイス国籍の参加者に贈られる。賞金は2,500スイス・フラン[4][5]。東洋人の目覚しい進出のため、意義は希薄になってきた。
- 観客賞(Prix du public) - 観客の人気投票によって決められる。賞金は500スイス・フラン[4][5]。
[編集] 廃止された賞
- 最優秀特別賞[8](Médaille d'Or) - 「金メダル」とも呼ばれ、全参加者の中から特に優秀だとみなされた者に授与された賞。該当者なしの年もあった。1983年当時の賞金額は4,000スイス・フラン[9]、1997年は5,000スイス・フランとなっていた[10]。公式の受賞者リストによると最後に最優秀特別賞を受賞したのは1995年のG・ガルシア=ポルテロ(スペイン)[7]となっている。その後は該当者なしの年が続いた末、2001年の開催中に審査員らによって賞そのものの廃止が発表された[11]。ただし同年J・ガルシア=カスティーヤ(スペイン)は類似の名称を持つ「最優秀賞」[12](Prix d'excellence)[11]なるものを受賞している。現在、前述のローザンヌ賞で順位が1位となった者には金メダルが授与されるが、奨学金の額や副賞は2位以下と差異がなく、象徴的なものである(ただし順位が上であるほど優先的に希望の留学先が認められる)。
- キャッシュプライズ(Prix Espèces) - すでに国立・公立のバレエ学校に所属している参加者が入賞した際に贈られた賞金。提供する団体名を冠して「ジョンソン基金賞」(Prix Fondation Johnson)として1982年から導入された[13]。通常3名まで選ばれ、順位により賞金額が異なっていた。1997年当時は1位が4,000スイス・フラン、2位が3,000フラン、3位が2,000フランだった[10]。1998年で廃止。
- プロフェッショナル賞(Prix Niveau Professionnel) - 職業ダンサーの水準に達していると判断された決選進出者に贈られた賞金。留学の特典はなかった。日本語では単に「特別賞」とも呼ばれた[8]。賞金額はキャッシュプライズ賞の1・2位より少なく、1983年当時で2,000スイス・フラン[9]、1997年も同額だった[10]。1998年で廃止。
- エスポワール賞(Prix Espoir) - 16歳以下の決選進出者または準決選進出者のうち、最も将来性があると認められた者に与えられた賞。スカラシップ賞と同様の恩典が与えられた[6]。ただし1997年当時、留学先としてパリ・オペラ座バレエ学校とロイヤル・バレエ学校は選べないと規定されていた[10]。2002年を最後に廃止され、スカラシップ賞に一本化された。
- 振付賞・振付奨励賞(Prix de la meilleure chorégraphie personnelle, Prix d'encouragement à la chorégraphie) - フリー・バリエーションを自分で振り付けた参加者の中から最優秀の者に与えられた賞。1983年に名称が「振付賞」から「振付奨励賞」へと変更された[8]。現在は廃止。
[編集] 日本からの受賞者
| 年 | 名前 | 受賞 | 現在 | 所属 | 審査員経験[14] | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1978 | 吉田 尚美 | スカラシップ賞 | 引退 |
( |
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| 1980 | 堀内 元 | 振付賞 スカラシップ賞 |
芸術監督 | ○ 1994、95、97、2000[15]、08年 |
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| 力丸 純奈 | 振付賞 | (元プリンシパル) | ( |
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| 1982 | 貞松 正一郎 | スカラシップ賞 | ||||
| 木村 規予香 | プロフェッショナル賞 | (元プリンシパル[16]) | ( |
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| 1983 | 吉田 都 | スカラシップ賞 | (元プリンシパル) | ( |
○ 1993、2009、2012年 |
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| 堀内 充 | 教授 | |||||
| 1984 | 高部 尚子 | |||||
| 平元 久美 | ||||||
| 牛尾 和美 | 審査員特別賞 | |||||
| 1986 | 中村 かおり | スカラシップ賞 | プリンシパル | |||
| 秋山 珠子 | キャッシュプライズ | プリンシパル | ||||
| 1987 | 伊能 貴子 | スカラシップ賞 | ||||
| 1988 | 中村 恩恵 | プロフェッショナル賞 | ||||
| 渡部 美咲 | エスポワール賞 | |||||
| 1989 | 熊川 哲也 | 最優秀特別賞 | 芸術監督 プリンシパル |
○ 1996年 |
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| 宮内 真理子 | スカラシップ賞 | 引退 | ( |
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| 榊原 弘子 | ||||||
| 奈良岡 典子 | ||||||
| 田中 祐子 | 振付奨励賞 | |||||
| 1990 | 荒井 祐子 | スカラシップ賞 | プリンシパル | |||
| 1991 | 齊藤 亜紀 | スカラシップ賞 | プリンシパル | ○ 2003、05、07年 |
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| 佐々木 陽平 | エスポワール賞 | 引退 | ( |
|||
| 古谷 智子 | ||||||
| 1992 | 中野 綾子 | スカラシップ賞 | ||||
| 高橋 宏尚 | プロフェッショナル賞 | プリンシパル | ||||
| 高久 舞 | エスポワール賞 | |||||
| 1993 | 上野 水香 | スカラシップ賞 | プリンシパル | |||
| 大植 真太郎 | キャッシュプライズ | ○ 2002年[17] |
||||
| 浅野 美波 | エスポワール賞 | |||||
| 1994 | 泉 敦子 | |||||
| 柳井 美紗子 | ||||||
| 1995 | 蔵 健太 | スカラシップ賞 | ソリスト | |||
| 川村 真樹 | プリンシパル | |||||
| 康村 和恵 |
退団 | ( |
||||
| 1996 | 中村 祥子 | スカラシップ賞 テレビ視聴者賞 |
プリンシパル[16] | |||
| 樋口 ゆり | プロフェッショナル賞 | 退団 | ( |
|||
| 河合 佑香 | スカラシップ賞 | 引退 | ( |
|||
| 1997 | 大石 麻衣子 | エスポワール賞 | プリンシパル[16] | |||
| 1998 | 植村 麻衣子 | |||||
| 横関 雄一郎 | スカラシップ賞 | |||||
| 菊池 あやこ | ||||||
| 田中 麻子 | キャッシュプライズ | |||||
| 1999 | 神戸 里奈 | エスポワール賞 コンテンポラリー賞 |
ファースト・ソリスト | |||
| 小尻 健太 | プロ研修賞 | |||||
| 根本 しゅん平 | エスポワール賞 | |||||
| 2000 | 加治屋 百合子 | スカラシップ賞 | ソリスト | |||
| 木田 真理子 | ファースト・ソリスト | |||||
| 清水 健太 | スカラシップ賞 コンテンポラリー賞 |
プリンシパル | ||||
| 大貫 真幹 | プロ研修賞 | ソリスト | ||||
| 坂地 亜美 | スカラシップ賞 | |||||
| 2001 | 倉永 美沙 | プロ研修賞 | プリンシパル | |||
| 平田 桃子 | エスポワール賞 | プリンシパル | ||||
| 平野 亮一 | プロ研修賞 | ソリスト | ||||
| 2002 | 崔 由姫 |
プロ研修賞 コンテンポラリー賞 |
ファースト・ソリスト | |||
| 竹田 仁美 | エスポワール賞 | コール・ド・バレエ | ||||
| 2003 | 福田 圭吾 | プロ研修賞 | 3位 | ソリスト | ||
| 2004 | 井澤 諒 | スカラシップ賞 | 4位 | コール・ド・バレエ | ||
| 贄田 萌 | 2位 | コール・ド・バレエ | ||||
| 松井 学郎 | プロ研修賞 | 6位 | ||||
| 2006 | 森 志乃 | スカラシップ賞 | 5位 | コール・ド・バレエ | ||
| 2007 | 河野 舞衣 | スカラシップ賞 観客賞 |
2位 | ドゥミ・ソリスト | ||
| 2008 | 高田 茜 | プロ研修賞 観客賞 |
5位 | ソリスト | ||
| 2009 | 水谷 実喜 | スカラシップ賞 | 3位 | |||
| 根本 里菜 | プロ研修賞 | 6位 | コール・ド・バレエ | |||
| 高田 樹 | 次点[18] | |||||
| 2010 | 佐々木 万璃子 | スカラシップ賞 | 3位 | |||
| 2011 | 加藤 静流[19] | スカラシップ賞 | 5位 | |||
| 堀沢 悠子[19] | 7位 | |||||
| 2012 | 菅井 円加[20] | スカラシップ賞 コンテンポラリー賞 |
1位 | |||
[編集] 脚注
- ^ Prix de Lausanne Commitment
- ^ 規約第5条。註^4・5を参照。
- ^ Prix de Lausanne History
- ^ a b c d e ローザンヌ国際バレエコンクール参加要項 (PDF)
- ^ a b c d e Reglement du Concours (PDF)
- ^ a b 「レポート 第27回ローザンヌ国際バレエ・コンクール」 Ballet [バレエ] Vol.07、1999年5月、音楽の友社、pp.123-124.
- ^ a b Our prize winners
- ^ a b c 「ローザンヌ賞 座談会」 The TES Graphic 1982 Vol.6-6 〔通巻41号〕、テス・カルチャーセンター、pp.66-68.
- ^ a b 「特報 第11回ローザンヌ賞」 The TES Graphic 1983 Vol.7-1 〔通巻42号〕、テス・カルチャーセンター、p.30.
- ^ a b c d 「ローザンヌ国際バレエ・コンクール」(『バレリーナへの道』 No.16、文園社、1997年5月、ISBN 4-89336-105-8 p.37)
- ^ a b Sarah Kora Dayanova a dansé la finale du Prix de Lausanne, swissinfo.ch, 28 janvier 2001
- ^ アンジェラ加瀬 「第29回 ローザンヌ国際バレエ・コンクール」(『バレリーナへの道』 No.37、文園社、2001年5月、ISBN 4-89336-160-0 p.28)
- ^ 前掲 「特報 第11回ローザンヌ賞」、p.25
- ^ 年は決選当日のもの。決選は通常1月下旬から2月上旬に行われるため、予備選考は前年の秋から行われる。
- ^ 福井恵子 「第28回ローザンヌ国際バレエコンクール」(『バレリーナへの道』 No.30、文園社、2000年5月、ISBN 4-89336-147-3 p.17)
- ^ a b c 正式な階級名は第一ソリスト("Erste Solistin " または "Erste Solotänzerin")。ドイツのバレエ団における最高位で、プリンシパルに相当する。
- ^ アンジェラ加瀬 「第30回ローザンヌ国際バレエ・コンクール」(『バレリーナへの道』 No.43、文園社、2002年5月、ISBN 4-89336-172-4 p.87)
- ^ 7位入賞のセバスチャン・コンチャ(チリ)がプロ研修の権利を行使しなかったことによる繰上げ入賞。
- ^ a b ローザンヌ国際バレエに2人入賞 埼玉の加藤静流さんら 47NEWS、2011年2月7日
- ^ ローザンヌ国際バレエ、日本の17歳優勝 菅井円加さん 朝日新聞デジタル、2012年2月5日
[編集] 外部リンク
- Prix de Lausanne - 公式サイト (英語)(フランス語)
- YouTube - ローザンヌ国際バレエコンクール (公式動画サイト)