ロングヘア

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
長髪の男性

ロングヘア(long hair)とは、を長く伸ばした髪型のことである。日本では長髪と言い、また長髪にしている男性の髪を俗にロン毛と呼ぶこともある。対して短髪のことをショートヘアという。

概要[編集]

髪がにかかる程度の長さである場合は「セミロング」、又は「ミディアム」とし、それ以上の長さの髪を「ロングヘア」と呼ぶのが一般的である。

髪を結ぶ(結う)場合には、その結び方によって、ポニーテール(アップ)、ツインテール(サイドアップ)などと様々な髪型に派生する。

ちなみにロン毛の語源は1991年埼玉県行田市の中学校からの発信説が強いと言われている。[要出典]

魅力[編集]

1960年代〜70年代にかけてビートルズなどの髪型の影響を受けて男性の長髪が流行し、1990年代以降は男性がさらさらのロングヘアにすることも一般的となったものの、豊かな長髪が女性を象徴するものという意識もいまだ根強く、そのため長い髪に女性らしさを感じる男性は少なくない。そのため、髪が長く、よく手入れされているとそれが魅力と見られる場合がある。また、男性の場合もさらさらのロングヘアは容姿をより良く(いわゆるイケメン風に)見せる効果がある。

ドラマアニメなどの映像作品においては、風になびくロングヘアを描写することがとても多いが、キャラクターの魅力を演出する意図が成立する由縁はまさしく前述した理由が大きい。このような理由からシャンプーリンスなどの髪関連製品のテレビコマーシャルでも美しいロングヘアのモデルが起用される場合が多い。バブル景気の1980年代末~90年代初めにかけて女性の間でワンレングスのロングヘアやソバージュのロングヘアが大流行したこともある。

1990年代半ば以降もロングヘアの人気は衰えず、日本で急速にヘアカラーが普及してからは、ロングヘアも色を入れて明るさや軽さを出したスタイルが主流となった。しかし近年になって黒髪ロングヘアの美しさも再び見直されつつある。日本人のファッションの進化とともにロングヘアのバリエーションも多様な広がりを見せ、それぞれの個性に応じた様々なスタイルが可能になっている。

男性の場合は、ロック歌手やヒッピーがロングヘアにすることが多かった。これには社会への抵抗、反体制を演出する(長髪は勤め人学生には似つかわしくないとされていた)という意図がある。ベトナム戦争当時、反戦を叫ぶアメリカの若者がGIカットに対抗し、徴兵拒否の意思を込めて髪を長く伸ばし、やがてこれが海外に広まった歴史もある(アメリカが志願制に変えたのはベトナム撤退後)。長髪の反社会性が薄れた1990年代以降では、男性がロングヘアにして中性的なイメージを演出することもあるし、逆に野性味や男性らしさを強調するために髪を伸ばし意識的に無造作に仕上げることもある。

管理・手入れ[編集]

日頃の手入れ[編集]

髪が伸びる早さは一般的に1ヶ月で約1cm、1年で約10~15cmと言われており、ショートヘアの長さから腰まで伸ばす場合約5年程度の期間を要することになる。その場合毛先の部分は5年前に生えており、伸ばす期間が長くなるにつれて毛先の乾燥や枝毛・切れ毛などの傷みが起きやすい。ショートのように比較的短期間で切って新しい髪に変わっていくわけではないので、ロングヘアの人は髪を美しく保つために継続した手入れを行うことが重要になる。

スタイリング[編集]

ヘアードライヤーヘアーブラシヘアーアイロンスタイリングプロダクツなど使用し髪型を作る。

あまりいじらない場合[編集]

ロングヘアのスタイリングとしては大きく分けて、結わない場合では、真っ直ぐな状態を保って長いストレートヘアの美しさを生かす「ストレート・ロング」とパーマをかけて「ウェーブ・ロング」とする場合の2つがある。

カットを伴う場合[編集]

ストレートにおいては、ボブカットのように前髪と、サイドの前髪部分の髪を両頬に当たる位に伸ばして切り揃えた場合、姫カット、プリンセスカットと派生して呼称されることがある(姫カットの項目に詳しい)。ただし、この髪型にしている女性は少数派であり、アニメや漫画などの仮想人物において見られるか、またはファッションショーのモデルなどで稀に見られる程度である。

前髪部分だけを短く、またはぱっつんとし、横・後ろの髪を伸ばしているスタイルと、前髪からすべてを伸ばすスタイルとがある。この2つには特に区別する名称はない。ただし、全体を(水平時の長さにおいて)同一に切り揃えた場合は「ワンレングス」「ワンレングスカット」と呼称されることがある。

結ぶ、留める場合[編集]

ロングヘアはその長さゆえに多様なバリエーションが楽しめる反面、スタイルを保つのが難しい。そのためリボンヘアゴムなどを用いたポニーテールツインテールなどの結うスタイルが派生する(この2つについては各項目に詳しい)。古くはを用いたスタイル(現在でも和服にあわせて用いられることが多い)や、ヘアバンド(カチューシャ)、髪留めヘアピンといわれる装身具を用いて髪型を固定するスタイルもある。

「前髪部分だけを切り揃える、または短くし、横・後ろの髪を伸ばしているスタイル」の場合には特にカチューシャが似合い、よく用いられる。

また、ロングヘアの毛先だけをリボンなどで結ぶスタイルも存在する。このとき、髪全体を1つにまとめる場合と、毛先だけ2つに分離する場合とがある。名称はないようである。この場合、古風な雰囲気となる。

何もしない状態から上(後頭部)の髪だけをアップにしたハーフアップがある。これは長く下方に伸びる髪とポニーテールのスタイルが融合した、気品の感じられるスタイルとなる。

後ろ髪を普通に伸ばした状態で、両側面の髪を後ろに回して1つに結びたらし、上方の髪だけアップにしたスタイルもある(ハーフアップの状態で両側面の髪を後方で1つにまとめる)。これはお嬢様結び、ハーフポニーテールなどと呼称される場合があるが一般に定着した名称はないようである。さらに、お嬢様結びといった場合に、このスタイルのほかに、サイドから回して後ろでまとめる髪を三つ編みにするなどの発展系を指す場合もある。サイドから髪を後ろに回すスタイルは、オフィスでデスクワークをする場合などに長い髪が落ちてきてじゃまにならないように(例えばロングのウェーブヘアで髪を下ろしている場合、オフィスワークの場ではボリュームが出過ぎたり広がり過ぎることもある)使うこともある。

また、長い髪を束ねてサイドや後頭部で(団子状に)まとめたシニヨンのスタイルもある。

編みこむ場合[編集]

三つ編み(左端)、四つ編み、五つ編み、六つ編み

三つ編みを用い、低い位置の後部から三つ編みが1つないし2つある場合にお下げ(二つ三つ編み)、一つ三つ編みなどと呼ばれるスタイルがある。3つ以上の三つ編みを構成することはあまりないが、民族によってはそれが正式な髪型となっていることもある。また、朝鮮などでは輪形(わっか状)にする三つ編みのスタイルもある。三つ編みをきれいに作るのは慣れが必要で、初めのうちは編み目が不揃いになりがちなので、時間をかけて丁寧に作りながら、根元から下まで一定した編み方をマスターしていくようにする。

編みこみ方によって二つ編みのことをフィッシュテール(Fishtail braid)またはフィッシュボーン(編み方が魚の骨のように見えるので)と呼ぶ。

大きめの編みこみのことを別名ブレイド (braid) 、細かい編みこみのことをコーンロウCornrow)と言う。 また、三つ編み、四つ編みのことを別名プラットPlait)とも言う。

説話[編集]

ロングヘアの女性がある日一転してショートヘアへと髪型を変えると、失恋が原因である、とする風説が出回ることがある。女性に対して「失恋したの?」と冗談交じりで発言するといった場合が聞かれる。

これは実際に失恋したロングヘアの女性が髪を切ることが少なくなかったことに加え、恋愛を話に交えたマンガ(特に少女マンガ)やアニメ、ドラマなどにおいてエピソードとして用いられることがよくあることに起因している。

なぜ失恋すると髪を切るのか、という問いに対しては、過去を忘却するための変身願望、と考えることができる。実際、ロングヘアの人がショートヘアにするとほとんど別人のように見えることが多い。

歴史[編集]

有史以来、世界的にロングヘアは普遍的な存在であることが知られているが、多くの文化圏で長髪は女性の象徴とされる。男性が髪を伸ばす文化圏も多かったが、これらの文化圏では男性は髪を結い上げ垂らさないこともあった。

ヨーロッパでは中世の男性などではロングヘアは一般的であったし、日本を含む東アジアの諸民族の間ではを結う習慣があったので、男性も髪を伸ばした。しかし、日本でも平安から安土桃山時代においては女性の髪は黒いほど、また長いほど美人とされていたといわれ、以後現在に至るまで主に女性の象徴として認識され続けているのは疑いの余地はない。特にウイグル族は女性の長髪が重視されていることで知られる。

清国では満洲民族の風習である辮髪が満洲民族以外の国民にも強制されていたが、太平天国の信徒はこの風習に逆らって髪を伸ばした為、清朝からは長髪賊と呼ばれていた。太平天国の乱は「長髪賊の乱」と別称される。