ロフォフォラ

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ロフォフォラ
ウバタマLophophora williamsii
保全状況評価
VULNERABLE
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: ナデシコ目 Caryophyllales
: サボテン科 Cactaceae
: ウバタマサボテン属 Lophophora
  • 本文参照

ロフォフォラ(学名:Lophophora)とはサボテン科ウバタマサボテン属の総称。

特徴[編集]

プロポーション自体は一般的な玉サボテン型のそれであるが、一般的なサボテンの容姿と異なり、柔らかな肉質で刺座には綿毛が密生して棘をつけない独特の姿をしている。地下部には太い芋状の塊茎が発達し、バイオマスのほとんどは地下にもぐりこんでいる。この地下の塊茎は、毎年古い地上部が収縮して地下にたぐり込まれることによって大きくなっていく。野生個体では地上部は扁平でつぶした饅頭状であるが、栽培個体では球形に発達する。肌の色の違いや綾(疣)の形状、綿毛の長さなどの個体差が大きく、日本ではこの種を愛好する者が多い。また多くの園芸品種が選抜されたり同一種であってもその特徴によって品種名を変えたりされ愛好されている。

地域と植生[編集]

北米大陸南西部の乾燥した草原に分布する。アメリカ南西部からメキシコ北部にかけて分布する。直射日光下で日中の気温が50℃を超える環境にも耐え、短い降雨期に水分をとりこんで残りの乾燥期に耐える。乾燥期には大きな地下部を含めた全体が収縮するため、植物体全体がしばしば地下に埋没してしまう。雨季になると植物体が膨張するため、扁平な地上部が地面すれすれに地上に現れる。大きさは5~10cm程度で仔吹きしたり群生している事がほとんどである。種類によっては自家受精するものもあるため、単幹からでも実生で多数の個体を増やす事が可能である。尚、趣味家の温室栽培などでは直径が20cmを超える事も珍しくなく、また刺座の綿毛の束の長さも数センチメートルにおよぶ事も珍しくない。

幻覚作用[編集]

この属の植物には、メスカリンとよばれる幻覚作用のある成分が含有されており、古来よりアメリカインディアンが痛み止めや、儀式の際に幻覚作用をもたらす為に使用する事が多い。アメリカでは過去に一部のヒッピーLSDの代用として常用していた事実もある。但しこの成分は野生に自生するものにのみ高濃度で含有され、栽培下で(野生環境に比べれば)高速で育成された物にはあまり含有されていないとされる。日本でも麻薬代わりにサボテンの栽培業者でこの属の植物を求める者がいるようではあるが、著しく苦いばかりで期待した効果は得られていないと考えられる。

主な種[編集]

原産地に自生するものを一般的に翠冠玉の種小名で「デフューサ」と呼ぶ事が多い。植物学的に種として記載されているものは、次の3種である。