ロシアサッカー・プレミアリーグ

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ミール・ロシアン・プレミアリーガ
Mir Russian Premier Liga
Мир Российская премьер-лига
加盟国 ロシアの旗 ロシア
大陸連盟 UEFA
創立 1992年
参加クラブ 16
リーグレベル 第1部
下位リーグ ファースト・リーグ
国内大会 ロシア・カップ
ロシア・スーパーカップ
国際大会 なし[注釈 1]
最新優勝クラブ ゼニト・サンクトペテルブルク (9回目) (2022-23)
最多優勝クラブ スパルタク・モスクワ (10回)
最多出場選手 イゴール・アキンフェエフ (543試合)
最多得点選手 アルテム・ジューバ (157得点)
公式サイト 公式サイト
2023-24英語版

ロシア・プレミアリーグロシア語: Российская премьер-лига; РПЛ, ラテン文字転記:Rossijskaja Futbolnaja Premier-Liga, 英語: Russian Premier League)、もしくはロシアン・プレミアリーガ(Russian Premier Liga)は[1]ロシアサッカー連合(RFU)が主催している、ロシアにおけるプロサッカーの最上位リーグである。

概要[編集]

リーグ戦は16チームによるホーム・アンド・アウェーの、2回総当り方式で争われている。下位2チームは翌シーズンにファースト・リーグ(2部相当)の上位2チームと自動昇降格し、13位・14位チームは2部リーグ4・3位チームと入れ替え戦を行う。

リーグ戦はヨーロッパで一般的な秋→春制ではなく、春→秋の暦年制[注釈 2]で争われていたが、2012年から他の欧州諸国と同様に秋→春制へと移行した。また、天然芝が育ちにくい地域もあるため、人工芝を使用したスタジアム本拠地としているクラブも存在する。

地理的条件[編集]

FCゼニト・サンクトペテルブルクが優勝した2007年シーズンでも、2位から7位までをモスクワないしモスクワ州のクラブが占め、プレミアリーグでのモスクワ勢優位を裏付けている。一方、2006年シーズンにFCルチ・エネルギア・ウラジオストクが13年ぶりにプレミアリーグ(当時はヴィシャヤリーガ)へ復帰し、極東連邦管区地域で唯一のプレミア所属となった。ウラジオストクモスクワ時間GMT+3)よりも7時間早いウラジオストク時間(GMT+10)の地域にあり、ロシアプレミアリーグは世界一時差の大きなトップリーグとなっており、1部リーグでは東西8時間の時差がある。

歴史[編集]

かつてはソビエト連邦リーグといい、15の連邦構成共和国の強豪チームが名を連ね、FCスパルタク・モスクワFCディナモ・モスクワPFC CSKAモスクワ首都モスクワ勢のチームや、FCディナモ・キエフウクライナ)といったチームがヨーロッパのカップ戦などにも進出し、ナショナルチームとともに東欧諸国の雄といわれた。しかしソ連が1991年に崩壊すると、それぞれの構成共和国のサッカーリーグも独立するようになり、ロシアにも国内サッカーリーグが誕生するようになる。2001年までは国内の最上位リーグを「トップリーグ」や「トップディヴィジョン」と称していたが、2002年に現在の「プレミアリーグ」に名称を変更した。

ロシアリーグ以後はスパルタク・モスクワが最初の10シーズンで9回の優勝を果たすなど圧倒的な強さを見せ、その後もFCスパルタク・モスクワPFC CSKAモスクワFCロコモティフ・モスクワが三つ巴でタイトルを争うなど例年モスクワ勢が上位を独占してきた。しかし2000年代に入ってから国内の好景気を背景として各クラブに大手企業の資本が投入されるようになると有力資本の参入を受けた地方クラブの勃興が目立ち始め、2007年シーズンはサンクトペテルブルク唯一のプレミアリーグクラブ、FCゼニト・サンクトペテルブルクが初優勝、2008・2009年シーズンはタタールスタン共和国カザンに本拠地を置くFCルビン・カザンが優勝するなど勢力図は変りつつある。ブラジルや西ヨーロッパからの有名選手の獲得も増え、2004-05シーズンのUEFAカップにおいて、PFC CSKAモスクワがロシア勢として初めてヨーロッパのカップ戦に優勝、2007-08シーズンのUEFAカップではFCゼニト・サンクトペテルブルクが再び欧州カップ制覇を果たすなどしている。

2010年9月13日、ロシアサッカー連盟は、3月から11月まで開催されているリーグのシステムを変更し、2012年以降のリーグ期間を、欧州各国で実施されている8月から5月までとする「秋春制」を導入すると発表した。2011年は春に開幕を迎え、秋まで継続して行なわれる。そしてそのままリーグは続き、12年春に閉幕することとなる。以降は、2012年8月上旬に開幕し、12月から2013年2月まで3か月間のウィンターブレイクを挟み、5月下旬にシーズンを終えるという。このため、2011-12年度のシーズンは、11月まで16チーム2回総当りで予選リーグを開催し、その後次年度の出場チーム順位を決定するための「決勝リーグ」をまず2011年11月に2試合のみを行い、ウィンターブレークを挟んで2012年3-5月に残りの12試合を行う。1-8位のチームが「優勝決定プレーオフ」、9-16位が「残留・降格決定プレーオフ」としてそれぞれに8チームが出場して行う[注釈 3]。これは、スコットランドスコティッシュ・プレミアリーグとほぼ同じ仕組みである。

所属クラブ[編集]

2020-21シーズン
クラブ名 ホームタウン ホームスタジアム 収容人数
FCアフマト・グロズヌイ グロズヌイ アフマド・アレーナ 30,597
FCアルセナル・トゥーラ トゥーラ ツェントラーリヌィイ・スタディオーン・アルセナールロシア語版 19,241
PFC CSKAモスクワ モスクワ VEBアレーナ 30,457
FCディナモ・モスクワ モスクワ VTBアレーナ 26,319
FCヒムキ ヒムキ アレナ・ヒムキ 18.636
FCクラスノダール クラスノダール スタディオンFKクラスノダール 35,074
FCロコモティフ・モスクワ モスクワ ロコモティフ・スタジアム 27,320
FCロストフ ロストフ・ナ・ドヌ ロストフ・アリーナ 45,000
FCロートル・ヴォルゴグラード ヴォルゴグラード ヴォルゴグラード・アリーナ 45,568
FCルビン・カザン カザン カザン・アリーナ 45,379
PFCソチ ソチ フィシュト・オリンピックスタジアム 47,659
FCスパルタク・モスクワ モスクワ オトクリティ・アリーナ 45,360
FKタンボフ タンボフ モルドヴィア・アリーナ 43,958
FCウファ ウファ ネフチャニクロシア語版 15,234
FCウラール・スヴェルドロフスク・オーブラスチ エカテリンブルク セントラル・スタジアム 35,061
FCゼニト・サンクトペテルブルク サンクトペテルブルク ガスプロム・アリーナ 67,800

歴代優勝クラブ[編集]

※1991年までは「ソビエト連邦サッカーリーグ」である。リーグの名称は、1992年から1997年までが「ヴィシャヤリーガ」(ロシア語でトップリーグ)で、1998年から2001年までが「ヴィシーディヴィジョン」(ロシア語でトップディヴィジョン)であった。
シーズン 優勝 2位 3位
1992 FCスパルタク・モスクワ FCスパルタク・ウラジカフカス FCディナモ・モスクワ
1993 FCロートル・ヴォルゴグラード
1994 FCディナモ・モスクワ FCロコモティフ・モスクワ
1995 FCスパルタク・アラニア・ウラジカフカス FCロコモティフ・モスクワ FCスパルタク・モスクワ
1996 FCスパルタク・モスクワ FCスパルタク・アラニア・ウラジカフカス FCロートル・ヴォルゴグラード
1997 FCロートル・ヴォルゴグラード FCディナモ・モスクワ
1998 PFC CSKAモスクワ FCロコモティフ・モスクワ
1999 FCロコモティフ・モスクワ PFC CSKAモスクワ
2000 FCトルペド・モスクワ
2001 FCゼニト・サンクトペテルブルク
2002 FCロコモティフ・モスクワ PFC CSKAモスクワ FCスパルタク・モスクワ
2003 PFC CSKAモスクワ FCゼニト・サンクトペテルブルク FCルビン・カザン
2004 FCロコモティフ・モスクワ PFC CSKAモスクワ クリリヤ・ソヴェトフ・サマーラ
2005 PFC CSKAモスクワ FCスパルタク・モスクワ FCロコモティフ・モスクワ
2006
2007 FCゼニト・サンクトペテルブルク PFC CSKAモスクワ
2008 FCルビン・カザン PFC CSKAモスクワ FCディナモ・モスクワ
2009 FCスパルタク・モスクワ FCゼニト・サンクトペテルブルク
2010 FCゼニト・サンクトペテルブルク PFC CSKAモスクワ FCルビン・カザン
2011-12 FCスパルタク・モスクワ PFC CSKAモスクワ
2012-13 PFC CSKAモスクワ FCゼニト・サンクトペテルブルク FCアンジ・マハチカラ
2013-14 FCロコモティフ・モスクワ
2014-15 FCゼニト・サンクトペテルブルク PFC CSKAモスクワ FCクラスノダール
2015-16 PFC CSKAモスクワ FCロストフ FCゼニト・サンクトペテルブルク
2016-17 FCスパルタク・モスクワ PFC CSKAモスクワ
2017-18 FCロコモティフ・モスクワ FCスパルタク・モスクワ
2018-19 FCゼニト・サンクトペテルブルク FCロコモティフ・モスクワ FCクラスノダール
2019-20
2020-21 FCスパルタク・モスクワ FCロコモティフ・モスクワ
2021-22 PFCソチ FCディナモ・モスクワ
2022-23 PFC CSKAモスクワ FCスパルタク・モスクワ

クラブ別優勝回数[編集]

クラブ 優勝回数 準優勝回数 優勝年度
FCスパルタク・モスクワ
10
6
1992, 1993, 1994, 1996, 1997, 1998, 1999, 2000, 2001, 2016-17
FCゼニト・サンクトペテルブルク
9
3
2007, 2010, 2011-12, 2014-15, 2018-19, 2019–20, 2020–21, 2021–22, 2022-23
PFC CSKAモスクワ
6
9
2003, 2005, 2006, 2012-13, 2013-14, 2015-16
FCロコモティフ・モスクワ
3
6
2002, 2004, 2017-18
FCルビン・カザン
2
0
2008, 2009
FCアラニア・ウラジカフカス
1
2
1995
FCロートル・ヴォルゴグラード
0
2
FCディナモ・モスクワ
0
1
FCロストフ
0
1
PFCソチ
0
1

歴代得点王[編集]

シーズン 選手名 所属クラブ 得点数
1992 アゼルバイジャンの旗 ヴェリ・ガスモフ FCディナモ・モスクワ/FCスパルタク・モスクワ
16
1993 ロシアの旗 ヴィクトル・パンチェンコ FC KAMAZナーベレジヌイェ・チェルヌイ
21
1994 ロシアの旗 イーゴリ・シムテンコフ FCディナモ・モスクワ
21
1995 ロシアの旗 オレグ・ヴェレテンニコフ FCロートル・ヴォルゴグラード
25
1996 ロシアの旗 アレクサンドル・マスロフロシア語版 FCロスツェルマシュ
23
1997 ロシアの旗 オレグ・ヴェレテンニコフ FCロートル・ヴォルゴグラード
22
1998
22
1999 ジョージア (国)の旗 ゲオルギ・デメトラーゼ FCアラニア・ウラジカフカス
21
2000 ロシアの旗 ドミトリ・ロスコフ FCロコモティフ・モスクワ
15
2001 ロシアの旗 ドミトリー・ヴャジミキンロシア語版 FCトルペド・モスクワ
17
2002 ロシアの旗 ロラン・グセフ
ロシアの旗 ドミートリー・キリチェンコ
PFC CSKAモスクワ
PFC CSKAモスクワ
15
2003 ロシアの旗 ドミトリ・ロスコフ FCロコモティフ・モスクワ
14
2004 ロシアの旗 アレクサンドル・ケルジャコフ FCゼニト・サンクトペテルブルク
18
2005 ロシアの旗 ドミートリー・キリチェンコ FCモスクワ
15
2006 ロシアの旗 ロマン・パヴリュチェンコ FCスパルタク・モスクワ
18
2007 ロシアの旗 ロマン・パヴリュチェンコ
ロシアの旗 ロマン・アダモフ
FCスパルタク・モスクワ
FCモスクワ
14
2008 ブラジルの旗 ヴァグネル・ラヴ PFC CSKAモスクワ
20
2009 ブラジルの旗 ウェリトン FCスパルタク・モスクワ
21
2010
19
2011-12 コートジボワールの旗 ドゥンビア・セイドゥ PFC CSKAモスクワ
28
2012-13 アルメニアの旗 ユーラ・モフシシャン
ブラジルの旗 ワンデルソン
FCクラスノダール/FCスパルタク・モスクワ
FCクラスノダール
13
2013-14 コートジボワールの旗 ドゥンビア・セイドゥ PFC CSKAモスクワ
18
2014-15 ブラジルの旗 フッキ FCゼニト・サンクトペテルブルク
15
2015-16 ロシアの旗 フョードル・スモロフ FCクラスノダール
20
2016-17
18
2017-18 オランダの旗 クインシー・プロメス FCスパルタク・モスクワ
15
2018-19 ロシアの旗 フョードル・チャロフ CSKAモスクワ
15
2019-20 イランの旗 サルダル・アズムン
ロシアの旗 アルテム・ジューバ
FCゼニト・サンクトペテルブルク
FCゼニト・サンクトペテルブルク
17
2020-21 ロシアの旗 アルテム・ジューバ FCゼニト・サンクトペテルブルク
20
2021-22 ロシアの旗 ガミド・アガラロフ英語版 FCウファ
19
2022-23 ブラジルの旗 マウコム FCゼニト・サンクトペテルブルク
23

シーズン別大会名[編集]

  • Tinkoff Russian Premier Liga(2019-20 ~ 2021-22)[2]
    • ロシアの投資銀行「ティンコフバンク」がスポンサー
  • Mir Russian Premier Liga(2022-23 ~ 2025-26)[3]
    • ロシアの決済システム「ミール」がスポンサー

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 2022年ロシアのウクライナ侵攻以来、ロシアのクラブはUEFA大会への参加を禁止されている。
  2. ^ 3月ないし4月ごろ開幕~10月ないしは11月ごろ閉幕。
  3. ^ Foot!の2011年11月1日放送の説明より。

出典[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]