ロザリオ

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ロザリオ
ロザリオ
ロザリオ
ロザリオの祈り

ロザリオポルトガル語: rosárioイタリア語: rosarioラテン語: rosārium)は、カトリック教会における祈りの種別、および使用される数珠状の祈りの用具である。日本ではキリシタン時代から「コンタツ」(:contas=ポルトガル語で「数える」の意味) とも呼ばれてきた。

目次

[編集] 使い方・形状

ロザリオは、聖母マリアへの祈りを連ねて唱えることによって聖母マリアに霊的なバラの冠を捧げる祈りを指す言葉であると同時に、その祈りの際に祈りの回数を確認するために用いる数珠状の用具の名称でもある。

ロザリオは手で手繰って祈るもので、文化・地域により受け取り方には差はあれど、首にかけるのはふさわしくないとされることが多い。形状としては、小さなものは数珠10個に十字架だけというシンプルなもの、大きなものでは十字架だけでなく、キリストの像や不思議のメダイ (miraculous medal) がついているものもある。

カトリック教会以外のキリスト教教派においては、プロテスタントのごく一部の教派を除いてロザリオはまず用いられない。正教会にはコンボスキニオン(チョトキ)と呼ばれる数珠状の祈りの用具があるが、ロザリオとは形状や用い方・祈りが異なる。ただし手で手繰って祈ることや、首にかけるなどはしないことでは、ロザリオと共通点がある。なお、コンボスキニオンはロザリオの起源ともされる[1]

[編集] カトリック

カトリックでは定型文の祈祷を毎日捧げることを習慣にしている人が多い。

Rosary-Madonna-Atzwang.jpg

伝統的には、カトリック信者はロザリオを肌身離さず持ち歩き、仕事の合間などに時間があればロザリオを唱えていた。

ロザリオの玄義(神秘)およびその配分は、伝統的に、三つの玄義が定められていた時は、一日一環(一玄義)を唱える場合、「喜びの玄義」を月曜と木曜、「苦しみの玄義」を火曜と金曜、「栄えの玄義」を水曜、土曜、日曜に黙想する習慣がある。

教皇ヨハネ・パウロ2世によって「光の神秘」が提案されてからは、「喜びの神秘」を月曜と土曜、「光の神秘」を木曜、「苦しみの神秘」を火曜と金曜、「栄えの神秘」を日曜と水曜に黙想することが提案されている。

各玄義(神秘)の内容は以下の通りである。

<喜び> 1、聖母マリアの受胎告知 2、聖母のエリザベト訪問 3、主の誕生 4、聖母、主を神殿に奉献 5、神殿での主イエスの発見

<光> 1、主の洗礼 2、カナの婚礼での奇跡 3、主の宣教開始 4、主の変容 5、最後の晩餐での聖体の制定

<苦しみ> 1、主のゲッセマネの祈り 2、鞭打ち 3、茨の冠 4、十字架の道行き 5、十字架上での死去

<栄え> 1、主の復活 2、主の昇天 3、聖霊降臨 4、聖母の被昇天 5、聖母の戴冠(または主の再臨

各連を唱えるにあたってどのような恩恵を願うかは、祈祷書によって異なり、特に記されていないことも多い。

五連(一環)のロザリオを用いた基本的な祈り方は以下の通りである。

十字架の印(いわゆる「十字を切る」)をしたあと、十字架の箇所で「信仰宣言」を唱える(洗礼式の信仰宣言、使徒信条ニケア・コンスタンチノープル信条のどれでもよい)。次の珠で「主の祈り」、次の3個の珠で信仰・希望・愛の三元徳を願い「アヴェ・マリア」(天使祝詞・聖母マリアへの祈り)を3回、最後に「栄唱」を唱える。ここまでが導入部分となる。

次の珠で第一の玄義と「主の祈り」を唱える。連結しているメダイを持って唱えることも多いが、導入部分の最後の珠が起源的には最初の玄義を唱える箇所である。その後、珠を繰りながら「アヴェ・マリア」を10回唱える。締めくくりに「栄唱」を唱え、これが「一連」となる。これに、「ファティマの祈り」や「大天使聖ミカエルへの祈り」をつけ加えることがある。

同様にして、第二の玄義、「主の祈り」、10回の「アヴェ・マリア」、「栄唱」、第三玄義……、第四玄義……、第五玄義……と珠を繰って祈る。このように一環祈った後、 サルヴェ・レジーナSalve Regina 元后あわれみの母)、聖マリアの連願などをつけ加えることがある。

[編集] メダイ

ロザリオの中心部分を連結しているメダイは、「不思議のメダイ」をはじめ聖ベネディクトのメダイ、ルルドの聖母と聖ベルナデッタのメダイなど、様々なものがある。

「不思議のメダイ」は、聖母のメダイ(=ポルトガル語・(:「メダイユ」)・(:「メダル」))とも呼ばれ、1830年にフランスシスターカタリーナ・ラブレ (Catherine Labouré) のもとに聖母マリアが現れ、製作を依頼したと言われる。ラブレが見たマリアは、様々な色の指輪をはめて地球の上に立ち、その指輪の多くが地球に光を注ぎ、「原罪無くして宿り給いし聖マリア、御身に寄り頼み奉る我らのために祈りたまえ(フランス語: O Marie, conçue sans péché, priez pour nous qui avons recours à Vous.)」というフレーズの入った楕円形の枠の中に浮かび上がっていた。そして枠が回転したかのように今度は12の星の輪と、十字架が乗った大きなMという字、その下にイエスの心臓(Sacred Heart) とマリアの心臓 (Immaculate Heart of Mary) が見えたという。

ラブレは『その姿をモチーフにしたメダイを作って身に着けると多大な恵みがある』とマリアに告げられ、その後2年間調査を行ったラブレの聴罪司祭大司教を通してメダイ製作の許可が下りた。このメダイを着けた人間が多くの祝福を受けたというので「不思議のメダイ」と呼ばれ、世界中に広まった。

[編集] 関連する祈り

カルメル会アビラの聖テレジアは、著書『完徳の道』(ISBN 4003381718)で祈りの際は熱心に雑念を払って強く断固とした態度で祈るようにと強く勧めている。アビラの聖テレジアは、祈る際の雑念を悪魔達と呼び、祈りに集中することに専心すべきで雑念には決して注意を払うべきではないことを強調している。

[編集] プロテスタント

プロテスタント諸派の信徒の間では通常使用されていない。理由は概して次の通りである。

聖母信心の有無
プロテスタントには、聖人崇敬を拒否する教派が多いため、聖母マリアの取次ぎを祈るロザリオに対して違和感がある。
自由祈祷・定型祈祷の差
カトリックでは、個人で祈りを捧げる場合でも教会が定めた定型文を用いることが推奨される。それに比して、プロテスタントでは定型文を用いず、信徒それぞれの自由な祈りが重視されている傾向にある。そのため、定型祈祷文言を何度唱えたかを数えるための器具としてのロザリオが必要とされなかった。
聖公会におけるロザリオ
英国教会およびその系列にある聖公会の一部ではロザリオに似た数珠を用いる祈り方が存在する。1980年代半ばに聖公会の牧師が考案した比較的新しい祈りで、Anglican Prayer Beads(聖公会の数珠)、クリスチャン・プレイヤー・ビーズ、あるいはロザリオとの形状の類似からアングリカン・ロザリーとも呼ばれる。個々の球で何を祈るかの選択は自由に決められる。一部のプロテスタントの信徒にもその使用は広まっている。一部の聖公会では、カトリック教会のロザリオと同型のもの、ローマン・ロザリーを用いる場合もある。

[編集] 正教会

正教会においてはロザリオは用いられない。生神女マリヤ聖母マリア)への崇敬は正教会においても行われており、定型の祈祷文を用いる点でもカトリック教会と共通しているが、単にロザリオの祈りが正教会・東方教会には伝承・継承されて来なかったことによる。

チョトキコンボスキニオンといった数珠状の用具が祈りにあたって用いられるが、ロザリオとは形状が異なるものの、手で手繰って祈るものであり、首にかけるものではない点では、ロザリオと共通している。

ただし正教会においては、一般信徒・妻帯司祭はあまりチョトキ・コンボスキニオンを用いない。修道士が用いるケースがほとんどである(ただし、一般信徒も用いることが禁じられている訳では無い)。このことにより、修道士から選ばれる主教も修道士と同様に、チョトキ・コンボスキニオンといった数珠状の祈りの用具を手首に掛けていることが多い。

[編集] 起源についての説

ドイツのインド学者アルブレヒト・ヴェーバーは、インド仏教で用いられていた数珠(japa-mālā 、字義は「低い声で念じ唱える+(花)輪」)が西洋に伝えられた際に「バラの花輪(japā-mālā)」と解釈され、それがラテン語のrosariumとして直訳され、他の西洋諸語に取り入れられたのだとしている[2][3]

しかしこのロザリオのインド起源説に対し、

(1)サンスクリット話者が、キリスト教のラテン語話者との間に、母音の長短を聞き間違えるほどの言語的接触の必要性および蓋然性が存在したとは考えにくいこと (2)ヴェーバーの仮説では東方諸教会に対するインドからの数珠状の祈祷用具の浸透が説明できないこと (3)ロザリオの「先祖」である「主の祈り」を数える道具であったPaternosterは、数珠のような環状のものではなく一本の「直線状」のものだったこと (4)すでに一部地域では8世紀ころからThong-and-ringという動物の皮と骨を材料にした計算具で祈りの回数を唱えていたこと (5)ローマ・カトリックと東方諸教会の両者は共に、エジプトの修道士たちが小石を使い祈祷を数えていたというPalladius(c.363-c.431)の証言に自分たちの祈祷の回数を数える道具の起源を求めていること

などの理由から、キリスト教のロザリオはインドから借用されたものではなく、キリスト教の浸透した各地において独自に工夫がされた結果として、現在の数珠に似たロザリオの形状に発展し定着したと主張する者もいる[4]

[編集] 関連項目

[編集] 関連図書

  • ロザリオのこころ 松永久次郎著 聖母の騎士社
  • 『ロザリオの神秘』 聖ルイ・デ・モンフォー著、斎田靖子訳、エンデルレ書店、1998 ISBN 4-7544-0273-1
  • 『カトリックの祈り』サンパウロ(編・発行)、1995 ISBN 978-4-8056-1484-6
  • 『公教会祈祷文』 天主公教会編、光明社、昭和23年

[編集] 参照項目

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  1. ^ 出典:高橋保行著『ギリシャ正教』(29頁・30頁)講談社学術文庫 ISBN 4061585002
  2. ^ 中村元『現代語訳 大乗仏教1 般若経典』東京書籍 ISBN 4-487-73281-6
  3. ^ Albrecht Friedrich Weber, Über die Krishnajanmâshtamî (Krishna's Geburtsfest)(Berlin, 1868) 340-01.
  4. ^ 溝田悟士「ロザリオと数珠の起源に関する仮説」(『愛知論叢』第84号、2008年)43-67。

[編集] 外部リンク

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