レース旗
レース旗(英: Racing Flags)は、自動車競技、あるいはモータースポーツにおいてレース状況を示すためにコース上でドライバーに対して重要なメッセージを伝えるために使用される旗。通常、マーシャルと呼ばれるレース委員の中に旗係がおり、その旗係が旗を振って状況を掲示する。スタート/フィニッシュライン、あるいはコース上の様々な箇所に彼等が駐留してレース旗を掲示する。レース開始時はスタート/フィニッシュラインにシグナルを採用しているサーキットも数多くあり、近年では競技上の視界性を考慮しいくつかの旗の種類に関しては「デジフラッグ」と呼ばれるLEDライトを使用した電光掲示レース旗を採用しているものもある。
(※:電光掲示レース旗に関しては、後述の#デジフラッグを参照。)
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概要 [編集]
レース旗はすべての自動車競技において採用されており、レースシリーズによって使用される旗の種類が異なる、あるいは使用する旗は同じであってもドライバーに伝えるメッセージの意味合いが全く違うものもある。逆にレース旗の種類によっては他のレースシリーズで共通したメッセージの伝達として使用するものもある。顕著な例としては「チェッカーフラッグ」が挙げられる。チェッカーフラッグはどのレースシリーズにおいても「スタート/フィニッシュラインを通過してレースが終了した」という意味で使用される共通な意味を持つレース旗の代表格である。又、一般的に全ての自動車競技の中でペナルティに対しては「黒旗」が採用され、「赤旗」もレース中断を知らせる為に使用される等、これらのレース旗は各レースシリーズ間で共通している。
レース旗は固定して掲示する「静止掲示」と、旗を振って表現でする「振動掲示」の2種類の掲示方法が存在し、特に振動掲示はより切迫した状況を伝達する場合に用いられる。レース旗はそのモータースポーツのシリーズ発祥の違いからヨーロッパが中心となるFIAが認可しているレース旗と、アメリカ発祥のインディカー・シリーズ、NASCARのレース旗とでは色味やその旗が意味するメッセージも微妙に異なる。FIAは「チャンピオンシップフラグ」という形でレース旗を厳格化しており、世界的にも知名度の高いF1、WRC、WTCCのような国際的な大会を全てカバーできるよう、モータスポーツ協会によってレース旗の種類が統一されている[1]。
| Flag | FIAカテゴリーのチャンピオンシップ | NASCAR | IndyCar |
|---|---|---|---|
| 緑旗。危険が取り除かれた区間の基点/終点で振られ、安全を伝える意味で表示される | レースが再開した意味で表示される | ||
| 黄旗。コース上の局部的な危険性を促す為に表示または振られる。あるいはコース全体の危険性がある場合は同時に「SC」のサインボードを掲示する場合もある。 | コース上に危険性があるため、全域で追い越し禁止 | ||
| オイル旗。コース上に残骸や破片などが散らばっている。あるいはオイルが撒かれてるなどをして滑りやすくなっている等の意味で表示。(※:但し、アスファルト舗装のコースのみ) | |||
| (未使用) | ピットレーン閉鎖 | ||
| 赤旗。セッションの中断を表す。 | |||
| 白旗。遅い車両がコース上にいることを示す。 | ファイナルラップ | ファイナルラップ。又は、遅い車がコース上にいることを示す。 | |
| (未使用) 但し、オーバルコースを使用したストックカーレース、又はピックアップトラックレースは、この旗をファイナルラップを掲示する際に使用する。 | (未使用) | コース上に救急車両が入っていることを示す為に表示される。 | |
| 黒旗。ピットに戻る事を指示する。(※ドライバーが失格である場合などに使われ、同時にカーナンバーが書かれたサインボードが掲出される) | 種類を問わず、何らかの形でペナルティがあることを示す。 | ||
| レース車両に危険性の高い問題が認められる場合、その車両に対してピットに戻るように指示する為に表示される。 | (未使用) | ||
| スポーツマンシップに欠ける行為をしたドライバーに対して表示される。 | (未使用) | ||
| (未使用) | ポイント獲得の権利が失効している事を示す。 | ||
| 青旗。後方から速い車(※:1周以上の周回差がある車)が迫ってきている事を警告する為に表示または振られる。一般的には進路を譲るように指示する旗。 | 局部的な危険性。又はコース上に遅い車がいることを示す旗。 | 後方から速い車が迫ってきている事を警告する意味。 | |
| (未使用) | 後方から速い車が迫ってきている事を警告。青旗に応じないドライバーに対してさらに警告する意味で使用される。 | ||
| チェッカーフラッグ。レースの終了(フィニッシュラインを通過した)という意味で振られる。 | |||
又、先述のようにレース旗を厳格に統一しているFIA直下の国際レース競技においては下記のように明確な規定が存在し、色味も他のレースカテゴリーのレース旗と違う。
| 規定の種類 | 規定の内容 |
|---|---|
| レース旗のサイズ | 最小寸法は60cm×80cm。80cm×100cmが好ましい。 尚、赤旗とチェッカーフラッグは必ず80cm×100cmなければならない。 |
| レース旗の色 | パントーン社のカラーコード(物体色用規格)に準拠 |
| 赤 | |
| 黄 | |
| 青 | |
| 緑 | |
| 黒 | |
| 橙 | |
| 白 |
ステータスフラッグ [編集]
ステータスフラッグ(英: Status Flags)は、セッション中にコースの一般的な状況を全てのドライバーへ知らせるために使用されるレース旗である。これらのステータスフラッグの内、いくつかのレース旗は下記の通り増強して使用される可能性もある。又、近年はランプの点灯によってステータスフラッグと同じ役割として使用されるレースシリーズも存在する。
緑旗(グリーンフラッグ) [編集]
緑色のレース旗(英: The Green Flag)は、通常はレースやセッションの開始を示すために表示される。セッション中に何らかの理由でコース上の注意(※:詳細は後述の#黄旗(イエローフラッグ)を参照)があった場合など、その危険性が解決して取り除かれた事が認められた場合のセッション再開を示す意味で表示される。又、ピットの入り口に緑旗が振られる場合、ピット閉鎖が解除されていることもある。
NASCARでは、緑と黄色のレース旗を同時に振って、慎重にレースの周回をカウントするように促す為に使用されることもある。代表的な例としては、トラック上がレース開始当初は雨の為にウェットコンディションだったが、後に雨がやんで次第に路面がドライコンディションに変化してゆく場合などでこのような形に振られるケースがある。他に、マーシャルが、黄旗が振られている区間の終点を示す為に終点で緑旗を振られる。
F1においてはでレース開始をシグナルを使用したものにしており、レース開始を示す為にシグナル点灯の直前に振られる旗を以前はレース開催国の国旗で行っていたが、現在ではこれを緑色の旗で代用しているのが一般的である。
黄旗(イエローフラッグ) [編集]
黄色のレース旗(英: The Yellow Flag)は「注意フラッグ」とも呼ばれる。ドライバーはトラック上の危険を回避する為には減速を行う必要があり、それを促す意味で掲示される。但し、レースカテゴリーによって黄旗を表示するための手順が異なる。
F1においては、危険が発生している区間の基点と終点で黄旗を表示する。この黄旗の表示方法は危険が発生している箇所・重度によって違いがある。
- 黄旗を1本固定して掲示させる場合、危険がコースから外れた箇所にあることを示す。
- 黄旗を1本振られている場合、コースの路面上に危険があることを示す。
- 黄旗を2本振られている場合、コースを完全にあるいは部分的にブロックするように危険が伴っていることを示す。必要ならば「SC(セーフティカー)」を導入したり赤旗(※:詳細は後述の#赤旗(レッドフラッグ)を参照)を掲示してレースを一時停止させるなどの措置をとる準備にかかる。
この危険区間の間、即ち危険区間の終わりを示す緑旗が振られている最終点までの間、各ドライバーは他のドライバーに対する追い越し行為が禁止されている。これらのレース旗がどの区間で必要なのか、あるいはどの程度の危険性なのかはマーシャルの駐留所の間隔やマーシャルの裁量によって若干の変化がある。
セーフティカー(英: Safety Car)は黄旗が振られた後、その危険性の度合いによって大きな白いサインボードで「SC」と大きく黒文字で表示される。これは直ちに無線によって知らされその周回にセーフティカーが出動する(している)ことを意味する。黄旗は危険区間のみに対してレースルールの効力が発生するが、セーフティカーはコース全体に対して黄旗と同様の効力が発生し、セーフティカー出動中は、全区間で黄旗が振られ同時にドライバーは全区間での追い越しが禁止される。そのセーフティーカーはトラック上の危険要素が全て取り除かれたことが確認された後にピットレーンに入りレースが再開される。尚、これら黄旗と共に「SC」のサインボードの効力が解除されるのはスタート/フィニッシュラインとなっており、この地点で競技長によって緑旗が振られている前を通過して追い越し禁止制限が正式に解除されるルールとなっている。したがってセーフティカーが再びピットレーン内に入ったから直ちに追い越しが許されるわけではない。
2010年よりセーフティカーが第1セーフティカーライン(ピットレーン入り口手前の白線)を越えたときから追い越しが可能となっていたが[2]、そのルールには曖昧な解釈も存在しており同年のモナコGPでは解釈の仕方によっては可とも非とも取れないルール上の問題も発生している[3]。
NASCARとインディカーシリーズでは、1つの黄旗をスタンドを基点として振られる。この時点でペースカー(F1でのセーフティーカーの役割)がコースを入力し、安全な速度でリードを保つ。オーバルコースでは、黄旗の代わりに黄色いライトをスタート/フィニッシュラインで点灯させて基点フラッグを補う役割として使用される。
黄色と赤色のストライプ旗(オイル旗) [編集]
黄色と赤色のストライプ旗はオイル旗、あるいはサーフェイス旗(英: Oil Flag, Surface Flag)とも呼ばれ、このレース旗が掲示される区間は滑りやすくなっているという注意の意味で扱われる。一般的にエンジンブローなどによってオイルやクーラントがコース上に撒き散らされたり、スピンによってコースの外から大量の砂が持ち込まれてしまった時、あるいはクラッシュで非常に細かなマシンパーツの破片が散らばってしまった為など、路面状況が著しく劣悪になりマシンのグリップ力が非常に低くなる可能性が発生し、尚且つ黄旗のように壊れたマシンを撤去するだけのような危険性排除行為では解決できそうにはない路面の問題に対して行われるケースが多い。この場合は旗は固定して表示される。他に例外としてコースに小動物が侵入した為、それをドライバーに伝える為にオイル旗を振って注意を促したことがある。このレース旗の掲示は「コースの表面に問題がある」のを認めた場合に表示する意味合いから欧米では「サーフェイス旗(表面旗)」と呼び名が付いた。一定時間が経過したら掲示しなくなる場合もある。
赤旗(レッドフラッグ) [編集]
赤色のレース旗(英: The Red Flag)は、あまりにもセッションを続行するには危険が孕む為にレースを中断する必要がある場合に表示される。レースシリーズによっては、この赤旗が掲示されたことによってピットなどの特定の場所に車両を移動させるように指示し停車するように定められているものもある。又、ピットやガレージエリア内で任意の修復作業を行う事を赤旗の条件下では許可されるシリーズもある。赤旗が掲示される顕著な例としては、非常に大きな多重クラッシュ、豪雨によってコース上でレースが続行不可能と認められた場合、クラッシュによるマシン炎上、甚大なクラッシュによってフェンスや壁が破壊され観客に対する危険性が高まった場合などに掲示される場合がある。又、ドライバーや監督などレースに直接携わっている関係者の方からマーシャルに対して赤旗を促す例もある。
いくつかのレースシリーズでは赤旗を重大な事故が発生したレースに対して、一時的な中断のために使用する。又、赤旗によってレースが終了した場合、そのトラック上の全ての車はコントロールラインでチェッカーフラッグを受けるのではなく、その旗が振られた時点より2周前のコントロールライン通過順によって順位が決定する。
F1においては、レースが2周を終えている時点で赤旗が掲出されレースが終了した場合はグランプリとして成立する事になっている。又、F1では潜在的な不安要素と重なって赤旗が掲出されたケースもあり、初開催となった2010年韓国GPでレース開始3周で赤旗が振られた。これは決勝日に雨が降った為であるが、サーキット建設工事の遅れからレース開催10日前に路面工事が終了し新舗装路面の油分が残る状態であった事と、十分な排水工事が行えなかった事が重なって比較的普通の降雨量であったにも関わらず著しく路面に水が張ってしまった状態となり、雨が収まるまで約50分間レースを赤旗によって中断した[4]。
白旗(ホワイトフラッグ) [編集]
白色のレース旗(英: The white flag)はFIAが主催する国際自動車スポーツ、あるいは北米で行われているインディカー・シリーズ、NASCARによって意味合いが違う。コース上に遅い車が存在する場合にその注意を促す為に使用されるケースもあれば、インディカー・シリーズ、NASCARのようにファイナルラップに入った為に白旗が振られるケースもある。一般的にはオフィシャルカー(故障車両を撤去する為のクレーン車、救急車などセーフティカー以外のオフィシャルカー)がコースに入る事を知らせる為に使用されるケースが多い。あるいは、コースオフしたレース車両がコースに復帰する際、初期加速中の為、後続のレーススピードの乗った車が追突事故を起こさないように、それを知らせる為に使用される場合もある。
インストラクションフラッグ [編集]
インストラクションフラッグ、(英: Instruction Flags)とは1人のドライバーに対してメッセージを伝達する(命令)意味で使用される。
黒旗(ブラックフラッグ) [編集]
黒色のレース旗(英: The Black Flag)は、ピットにドライバーを召喚するために使用される。一般的にはルールに背いたドライバーやチームを処罰する為に使用されるが、レース車両のボンネットが緩んだり、外れかかったバンパーを引きずっていたり、機械的に危険が認められる場合も使用される。又、見た目には軽微な故障でありながらも無線機器の故障のため、マシンを戻す為のメッセージとして黒旗が使用される場合もある。
黒旗が掲出される場合は、対象車両のカーナンバーも同時に掲出される。一般的にはスタート/フィニッシュラインの管制から競技長が黒旗とサインボードを掲示するが、コース上の各マーシャル駐留ポストからも黒旗が掲出されることもある。黒旗とサインボードに書かれたカーナンバーのドライバーは速やかにピットに戻らなければならない。尚、重大な事故などで全てのドライバーに対してピットに戻るように指示する場合は黒旗ではなく赤旗を振って各ドライバーにレースが中断したことを知らせる。
黒旗は、ドライバー(車両)が失格と裁定された場合にしばしば掲出される。
黒地にオレンジ玉の旗(オレンジサークルフラッグ) [編集]
黒地にオレンジ玉の旗(英: Black Flag with Orange Circle)は、FIA直下のカテゴリーのレースで使用されるレース旗である。先述の黒旗と同様にドライバーをピットに召喚する意味を持つ旗であるが、マシンから燃料が漏れているなど機械的な問題が見られるマシンを駆るドライバーに対してピットに戻るように指示する。同じく競技長が管制からサインボードと共に掲示して対象ドライバーを召喚する。
しばしばオレンジボールと呼ばれる。
黒/白旗(ブラック アンド ホワイトフラッグ) [編集]
黒と白のレース旗(英: Black / White Flag)スポーツマンシップに欠けるドライバーに対して使用される旗である。このレース旗もFIA直下のカテゴリーでのみ使用される旗であるが、先述までの黒旗やオレンジサークル旗と意味合いが違うのはあくまで「ドライバーの素行不良」に対して表示される旗であり、マシンの機械的問題やドライバーやチーム関係者のルール違反では表示されない点が大きな違いである。基本的には「警告」の意味で1度だけ使用され、次回も同じくスポーツマンシップに欠ける行為をしたドライバーは黒旗が掲示される。但し、この旗が使用されるケースは極めて稀である。
白十字旗(ホワイトクロスフラッグ) [編集]
黒地に白十字のレース旗(英: The White Cross Flag)はNASCARやインディカーシリーズ等のいくつかのレースシリーズで使用される。長時間黒旗が表示されピットに戻ることが指示されているにも関わらず、それも長時間にわたって無視し続けるとこの旗がカーナンバーが書かれたサインと共に掲示される。白十字旗の意味はすでにポイントを獲得する権利が失われている(即ち、失格)を意味する。厳密にはNASCARやIRLなどのシリーズでは黒旗はピットに戻る事のみを指示する旗であるため、黒旗を表示された段階では失格ではない。白十字旗を掲示することによって黒旗に対し応答をするまでポイント獲得の権利は失われている意味も持つ為、黒旗よりも重い意味を持つ失格と見てよい。
青旗(ブルーフラッグ) [編集]
青色のレース旗(英: The Blue Flag)は後続車両を抜かせるように指示する意味で使用される。レースでは周回遅れの車は速やかにより多くの周回を重ねたドライバーに進路を譲らなければならないルールがある(※:但し、レースシリーズによってはこの進路譲歩をルールではなく「マナー」にしているものもある)。しかし、先行する車両はミラーでたとえ後続車を確認出来てもそれがレースをすべき車なのか、あるいは追い抜かせるべき車なのかを確認するのが困難な場合もある。その為、マーシャルが駐留する各所で本部からの連絡によってどの車に青旗を掲示するかの指示がある。青旗による指示を出されたドライバーは速やかに後続車を抜かせる義務がある。NASCAR、インディではこの青旗の他に黄色の対角線が斜めに1本入った青旗を使用する場合もある。又、旗の意味の性質上、レースには使用されるが予選、フリー走行では使用されない為、タイムアタック前の速い車をウォームアップやクールダウン走行中の遅い車が抜かせるのはマナーに頼らざるを得ない面もある。(ただし、予選でタイム計測中の後続車に譲らないと、妨害したと見なされてペナルティーの可能性もある。)
F1では青旗を無視する行為を続けると、旗を振るあるいは次第に多くの旗を振って後続車に進路を譲る様よりドライバーの目にも映りやすい指示を出すが、マーシャル駐留ポスト3区間の青旗指示に対してドライバーが進路譲歩を無視をする場合、そのドライバーに対してドライブスルーペナルティが課せられる。
上記の理由で青旗が使用されるときは振動掲示だが、単に速い後続車がいる場合(同一周回などで譲る必要がないときなど)、ドライバーに注意を喚起する目的で振動ではなく掲示のみで使用されることもある(ピットレーン出口など)。
チェッカーフラッグ [編集]
チェッカーフラッグ(英: The Checkered Flag)とは、フィニッシュラインで振られる旗である。セッション(レース)が全て終了したことを示す意味で表示される。一般的にはこのレース旗は振って掲示されることが多くF1、NASCARでは1本のチェッカーフラッグを振り、インディカー・シリーズでは2本のチェッカーフラッグを振ってレースの終了を知らせる。又、「チェッカーフラッグを受ける」という表現(英語圏の "Driver to take the checkered flag.")は各国共通して「勝者」を表す比喩に使用される事も多い。
ドライバーはチェッカーフラッグを確認してフィニッシュラインを通過すると、安全速度に減速するように各レースシリーズのレギュレーションで法令化がされている。尚、この安全速度走行を「ウィニングラップ」や「ヴィクトリーラン」等と呼ぶ。チェッカーフラッグを受けたドライバーはウィニングラップ走行後、各シリーズのレギュレーションに応じた駐車場(※:F1のパルクフェルメなど)や、パドックなどレースシリーズに応じた車両保管所に停車させなければならないという明確なルールになっている。
チェッカーフラッグのデザイン [編集]
チェッカーフラッグには標準的な設計がある。チェッカーフラッグは白と黒の正方形または長方形を市松模様に配置交互に構成されている。この模様の構成はレースシリーズによってレース旗のサイズから、白/黒の四角形の数、サイズ、長さも幅も比率も異なるが、共通しているのは旗棒の竿頭に近い旗地最上部の四角形は必ず黒になるように定められている。
F1などの国際レースでは旗について明確な規定があるため、市松模様のみの典型的なチェッカーフラッグであるが、NASCARにおいては2004年からチェッカーフラッグの中心部にユニオン76やサンオコなど燃料サプライヤースポンサーのロゴが描かれたり、行われたレースの日付がチェッカーフラッグに縫い付けられたもの等、他のレースカテゴリーと違った特殊なチェッカーフラッグとなっている。又、NASCARにおいてはレースに使用されたチェッカーフラッグを優勝したチームに対してトロフィーと一緒に授与される。
チェッカーフラッグの起源 [編集]
チェッカーフラッグの起源についての説は様々なものがあるが、一般的に囁かれているのはアメリカ中西部の開拓史時代で多くの人々を集めた催事を行い、食事の支度が終わるまでの間の催しの中にダービーが行われた。多くの人々がダービーに熱中する中、食事の準備が終わっても人々の注目はその馬のレースにあった為、そのレースの終わりを知らせる為に大きな布地を振って知らせるのが良いと考えた人が食卓に敷くテーブルクロスで振って知らせた。そのテーブルクロスの柄が市松模様だった為、これが現在のチェッカーフラッグの起源だとする説。
そして、もう1つの起源説は、19世紀のフランスにおける自転車レースだといわれる。
いずれの説も検証するには歴史的にその資料が見当たらない為に失われてしまっているが、高い可能性として多くの群集、レースを行う当事者が黒と白などのコントラストの高い目立つものを表示することで視界にそれが映り、レースの終了を知らせるには効果的であったという認識がある。
チェッカーフラッグが確認できる最古の写真記録は1904年にニューヨークのロングアイランドで行われたヴァンダービルトカップレースであり、レースの終了のために使用しているのが様子が収められている。但し、この写真について、一部の歴史研究家は1906年、あるいは1908年に撮影されたものと主張する。
2006年にフレッド・エグロフによって書かれ出版された「The Origin of the Checker Flag - A Search for Racing's Holy Grail チェッカーフラッグの起源 - レースの「聖杯」を探索する」によると、ワトキンズ・グレン・インターナショナルに勤めるシドニー・ウォルドンとの会話の中で、それまでレースで使われていた「チェッキングステーション (Checking Station) =現在のチェックポイント (Check point)」がチェッカーフラッグの起源であり、その目印ということでパッカードモーターカンパニーが「Check」にちなんだレース旗を1906年に考案したと語られている。
尚、インディカー・シリーズで2本のチェッカーフラッグを振ってレースの終了を合図するようになったのは、1980年のインディ500のスターターを務めたデュエイン・スウィーニーが起源となっている。それまでは1本のチェッカーフラッグを振ってレース終了を合図していたが、スウィーニーは2本のチェッカーフラッグを振ってレースの終了を知らせた。又、レースの開始に関してもスウィーニーは2本の緑旗を振ってスタートを知らせた。
レース以外でのチェッカーフラッグ [編集]
チェッカーフラッグはしばしばレースとは無関係なものに使用されるケースがある。1つは「Finish(完了)」を表す意味でチェッカーフラッグが使用される。代表的な例として、いくつかのソフトウェアのインストールプログラムが、正常にインストールされると完了を表す為にチェッカーフラッグが表示される。又、アメリカ合衆国内において、1956年から1973年までヤンキー・スタジアムの各コーナーにやエンドゾーンにチェッカーフラッグが表示されていた。
市販車においては、シボレー・コルベットのエンブレムは旗が交差するようにデザインされ、その片側の旗はチェッカーフラッグをモチーフにされているものである。
日本においては、市松模様の若者向けファッションアイテムに関して、しばしば「チェッカーフラッグ柄」と表記される。欧米にも同様の柄のファッションアイテムは当然ながら存在するが、こちらでは「Checkerboard Pattern(チェッカー盤柄)」と呼ぶ。これはチェッカーフラッグが由来するものではなく、チェス盤が由来する為である。
デジフラッグ [編集]
冒頭でも触れたとおり、近年ではLEDを使用した電子レース旗が採用されるレースも見受けられる。電光掲示板と同じ原理で光源となるLEDを密集させてレース旗として掲示する。この形式のレース旗を初めて採用したのはF1で、2008年のF1世界選手権にて初開催となったシンガポールGPが最初となる。尚、デジフラッグとはイタリアのバレリオ・マイオーリ社の登録商標である[5]。デジフラッグが使用された理由はシンガポールGPがF1初のナイトレースとなる為に競技進行上レース旗掲示の問題が発生した為である。当初は安全性の問題も指摘されたが、MTBF5万時間、明度も3000ルクスを確保し夜間の連続使用でも十分な安全であると様々な危険を分析した上で安全を認めて使用した[6]。その後、F1初のトワイライトレースとなった2009年アブダビGPでもデジフラッグが採用され、その後は昼間に開催されるいくつかのレースでもデジフラッグが採用されており、今後は多くのレーシングカテゴリでデジフラッグの採用が検討されている。
イエローフラッグ(デジ) [編集]
グリーンフラッグ(デジ) [編集]
レッドフラッグ(デジ) [編集]
ブルーフラッグ(デジ) [編集]
その他の旗(デジ) [編集]
上記の通り、1枚のデジフラッグで黄旗、緑旗、赤旗、青旗、白旗、オイル旗、そして「SC」の表示が可能となっている。静止掲示の場合は点灯、振動掲示の場合は点滅で表現する。これらのレース旗掲示はマーシャルコントロールボックスと呼ばれる操作パネルで行う。電子化に伴い集中管理も可能となる為、マーシャル長(競技主催者)がレース全体に早急なメッセージの伝達を行う必要がある場合は、マーシャル長のコントロールボックスでサーキット全体のデジフラッグを遠隔操作することも可能である。尚、黒旗に関しては、別途で黒旗掲示専用のディスプレイが必要となる。
その他のレース競技に使用されるレース旗 [編集]
- カート
- カート競技においても他レースカテゴリーと同じように多くのレース旗は共通した意味合いも持っているが、カート競技ならではの旗もいくつか存在する。
- オートバイによるレース
- 国際レースに関しては、旗の大きさ、色は自動車レースと変わらないが一部の旗に関しては自動車レースで使用されるレース旗のメッセージ性と意味が違うものが存在する。又、オートバイレースにしか使用しないレース旗も存在する。
- ボートなど船舶によるレース
- 船舶レースに使用されるレース旗は海上で使用される国際信号旗に準拠し、国際セーリング連盟の競技規則とその船舶レースに必要性が認められるレース旗を選定して使用される。つまりヨットやカヌーなどレース種目によって競技の在り方や性質も違ってくる為であり、どのようなレース旗が使用されるかは参加選手に予め「帆走指示書」を手渡されレース旗についても明記される。一般的にレース旗を「視覚信号」と呼び、これを参加選手に対して指示される。レース旗とは別に「音響信号」(※:ホーン・号砲・ブザーなど)で知らされるが、これはあくまでレース旗、つまりは視覚信号に対する注意を選手達に向けさせる為に音響信号が発せられる為、副信号の役割である[7]。
(※:詳細は国際信号旗、ヨット#ヨットレースなどを参照。)
脚注 [編集]
- ^ a b “ARTICLE 4 - SIGNALLING”. Federation Internationale de l'Automobile(FIA 国際自動車連盟 公式ホームページ 一般公開用FIAレースルール第4条「シグナルについて」) 2010年7月29日閲覧。
- ^ “混乱を招いたセーフティカー・ルールの変更”. F1 Gate.com. (2010年5月17日) 2010年10月26日閲覧。
- ^ “メルセデスGP、「F1の利益のため」控訴断念”. ESPN F1. (2010年5月18日) 2010年10月26日閲覧。
- ^ “F1韓国GP、雨で赤旗中断”. F1 Gate.com. (2010年10月24日) 2010年10月26日閲覧。
- ^ “デジフラッグ…F1シンガポールGPで導入”. レスポンス自動車ニュース. (2008年4月20日) 2011年2月16日閲覧。
- ^ “DIGIFLAG® SYSTEM: TO SUPPLY TO PILOTS, THROUGH LIGHT DISPLAYS, THE SAME INFORMATION PROVIDED BY COLOURED FLAGS”. Valerio Maioli 2011年2月16日閲覧。
- ^ “レースで使用される信号旗(国際信号旗の用途と種類)”. NPO法人 湘南港マリンセンター公式ホームページ 2010年7月28日閲覧。
参考文献 [編集]
- 《Wikipedia内の参考文献》
- 英語版Wikipedia en:Racing flags - 記事の文章構成、FIA直下以外のレーシングカテゴリー(※:NASCAR、インディカー等)について、又は各レース旗の用途、意味などの翻訳。(20:30, 29 July 2010 UTC)
- 《他の参考文献》
- ARTICLE 4 - SIGNALLING [1] - Federation Internationale de l'Automobile(FIA 国際自動車連盟 公式ホームページ 一般公開用FIAレースルール第4条「シグナルについて」の第4条の1項「旗」の翻訳。)(20:30, 29 July 2010 UTC)
- The incomplete history of the Checkered Flag - チェッカーフラッグの歴史について翻訳。(22:30, 28 July 2010 UTC)
- Flags in the NASCAR series - NASCARにおけるレース旗について翻訳と意味抽出。(19:40, 26 July 2010 UTC)
- Definitions of flags used in most forms of motor racing - 他カテゴリーなど、日本に馴染みが薄いレースにおけるレース旗の意味を知る為の参考文献として。(22:40, 26 July 2010 UTC)
- F1-Page.com F1レギュレーション