レバノン山脈

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レバノン杉が残るカディーシャ渓谷の「神の杉の森」

レバノン山脈Jebel Lubnān)は、レバノンの中央を南北に走る全長約160kmの山脈ジェベル・エル・ガールとも呼ばれる。中東であるのにもかかわらず、標高3,000m級の山々にはが積もるため、アラム語で「白」を表すラバンがレバノンの語源となった。最高峰はカーネット・アッサウダー山Qurnet as Saudā’)の3,088mである。東側にペガーと言われるヨルダン地溝帯が走り、その東側にアンチレバノン山脈ヘルモン山脈が連なる。山脈の西側は東側よりも降水量が多い。

レバノンの山脈にはかつてレバノン杉が鬱蒼と繁っていたが、腐りにくいのと頑丈であることから、古代エジプトピラミッド製造に大量伐採され、保護地区に僅かに残るのみである。レバノンの象徴でもあるこの杉の植林作業が進められている。

かつてはキリスト教マロン派イスラム教ドルーズ派の住民が混住していたが、19-20世紀の両宗派の対立やドルーズ派のシリアへの移住などから、現在は北部にマロン派が、南部にはドルーズ派が集中して居住する。山腹には階段耕作によって果樹ジャガイモ栽培されている。

西麓には2009年に登録された「ジャバル・ムーサー生物圏保護区」があり、重要野鳥生息地にも指定されている。その一帯にスズカケノキシリアハンノキ英語版セイチガシ英語版トルコカシ英語版が多く生え、ニシオオノスリなどの鳥類ケープハイラックスシマハイエナなどの哺乳類が生息する[1][2]

脚注[編集]

  1. ^ A Walk Through Jabal Moussa”. MAB Med (2015年). 2023年1月25日閲覧。
  2. ^ Jabal Moussa Biosphere Reserve, Lebanon” (英語). UNESCO (2018年10月23日). 2023年1月25日閲覧。