レナウン級巡洋戦艦

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レナウン級巡洋戦艦
竣工当時の巡洋戦艦レナウン
艦級概観
艦種 巡洋戦艦
艦名 レナウン
レパルス
前級 タイガー級巡洋戦艦
次級 アドミラル級巡洋戦艦
性能諸元
排水量 基準:27,650トン
満載:32,000トン
全長 242.0m
全幅 27.4m
吃水 7.6m
機関 バブコック・アンド・ウィルコックス石炭・重油混焼水管缶42基
+ブラウン・カーチス直結タービン(低速・高速)2組基4軸推進
最大出力 112,000hp
最大速力 31.5ノット
航続距離 15ノット/9,400海里
燃料 重油:4,289~4,500トン
石炭:100トン
乗員 953名
兵装 38.1cm(42口径)連装砲3基
10.2cm(45口径)3連装速射砲5基+同単装速射砲2基
7.6cm(50口径)単装速射砲2基
4.7cm(40口径)単装砲1基
53.3cm水中魚雷発射管2基(1921年に53.3cm四連装水上魚雷発射管2基に換装)
装甲 舷側:152mm(水線部主装甲)、38mm(艦首尾部)
甲板:76mm(機関区のみ)、51mm(弾薬庫のみ)
主砲塔: 279mm(前盾)、-mm(側盾)、-mm(後盾)、-mm(天蓋)
バーベット部:178mm(甲板上部)、102mm(甲板下部)
司令塔:254mm(前盾)、51mm(後盾)、152mm(天蓋)
近代化改装後の巡洋戦艦レナウン
近代化改装後の性能諸元
排水量 常備:31,988トン(レパルスは32,000トン)
満載:38,945トン(レパルスは38,200トン)
全長 242.1m
全幅 31.3m(レパルスは27.4m)
吃水 8.2m(レパルスは7.6m)
機関 レナウン:アドミラリティ式重油専焼三胴缶8基+パーソンズ式ギヤード・タービン4基4軸推進
レパルス:バブコック・アンド・ウィルコックス式重油専焼水管缶42基
+ブラウン・カーチス式直結タービン(低速・高速)2組基4軸推進
最大速力 130,000hp(レパルスは112,000hp)
最大速力 1939年:29ノット、1945年:26ノット
(レパルスは28.3ノット)
航続距離 18ノット/6,000海里(レパルスは10ノット/3,650海里)
燃料 重油:4,289~4,500トン
乗員 1,264名
兵装 レナウン:38.1cm(42口径)連装砲3基
11.4cm(45口径)連装高角砲10基
4cm(39口径)8連装ポンポン砲3基(1942年に2基)
(1945年にボフォース 4cm(56口径)単装機関砲4基
(1943年にエリコン 2cm(76口径)連装機銃16基&同単装機銃24基追加)
12.7mm四連装機銃4基
53.3cm四連装水上魚雷発射管2基(1944年に全撤去)
レパルス:38.1cm(42口径)連装砲3基
10.2cm(45口径)三連装速射砲4基
10.2cm(45口径)連装高角砲4基
4cm(39口径)連装ポンポン砲16基
12.7mm四連装機銃4基
53.3cm四連装水上魚雷発射管2基
装甲 舷側:228mm(水線部主装甲)
甲板:127mm
主砲塔: 279mm(前盾)、178~228mm(側盾)、279mm(後盾)、108mm(天蓋)
主砲バーベット部:-mm
副砲塔:51mm(最厚部)
司令塔:51mm(最厚部)

レナウン級巡洋戦艦(レナウンきゅうじゅんようせんかん Renown class battlecruiser)は、イギリス海軍巡洋戦艦。同型艦は2隻。1番艦レナウン、2番艦レパルス共に1916年に竣工した。第二次世界大戦に参加し、レパルスは1941年のマレー沖海戦で日本軍機の攻撃により撃沈された。

本級はイギリス海軍フィッシャー第一海軍卿第一次世界大戦中に巡洋戦艦の追加建造を要求したことから、建造予定だったリヴェンジ級戦艦の資材を流用して建造することとなった。そのため、6番艦と7番艦の名前を流用した為にリヴェンジ級と同様にRから始まる艦名である。

艦形について[編集]

写真は竣工当時の「レナウン」。2番主砲塔上に陸上機を発艦させる台が設けられている。

本級は軽巡洋艦からデザインが発展したため、軽快でスタイリッシュな印象である。船体は長船首楼型船体で、水面下に浮力確保の膨らみを持つ艦首から艦首甲板上に新設計の「Mark I 38.1cm(42口径)砲」を連装式の主砲塔に収めて背負い式に2基を配置。2番主砲塔の基部から甲板よりも一段高い艦上構造物が始まり、その上に操舵装置を組み込んだ司令塔が立つ。天蓋部に測距儀を乗せた司令塔を組み込んだ八角柱型の操舵艦橋の背後から、三脚式の前部マストが立つ。構成は頂上部に射撃方位盤室を持ち、中部に三段の見張り所をもっていた。前部マストの左右に副砲の10.2cm速射砲を三連装砲架で片舷1基ずつ2基を配置。船体中央部に2本煙突が立ち、2番煙突の背後に10.2cm三連装砲を1基配置した。左右舷側甲板上が艦載艇置き場となってり、前向きの三脚式の後部マストを基部とするクレーン1本により運用された。後部マストの後方に後部見張所が設けられ、後向きの三連装副砲が間隔の開いた背負い式2基を配置したところで船首楼と上部構造物は終了し、そこから甲板一段分下がって3番主砲塔1基を配置した。

レパルス 1919年
レナウン 1939年
近代化改装後のレナウンの艦橋

第二次世界大戦前に「レナウン」のみ艦上構造物を新戦艦に準じた近代化改装が行われた。旧態化した容積不足の艦橋は近代的な塔型艦橋へと更新されて容積が増したために測距儀は艦橋上部に、射撃指揮装置は艦橋内に設けられたために三脚式の前部マストは簡略化されて艦橋の後方に移設された。この時に老朽化した機関をアドミラリティ式重油専焼三胴型水管缶8基とパーソンズ式ギヤード・タービン4基4軸推進に更新した際に、追い風時に艦橋に煤煙がかかる不具合が報告されていた2本煙突は後方に移動された。2番煙突の基部には艦載艇や水上機を収められる大型の格納庫が設けられ、その上に片舷1基ずつのトラス構造のクレーン計2基により運用された。中央部に甲板を左右に横切るカタパルトにより水上機は射出された。三脚式の後部マストは撤去され、替わりに後部上部構造物は箱型に拡大され、その上に簡素な単脚式の後部マストが立った。副砲の10.2cm三連装砲は全て撤去され、替わりに新型の「Mark III 1938年型 11.4cm(45口径)高角砲」を連装砲架で艦橋側面から1番煙突側面にかけて片舷3基ずつと後部構造物上に片舷2基ずつの計10基を配置した。近接戦闘用に「ヴィッカーズ Mark VIII 4cm(39口径)ポンポン砲」を8連装砲架で1番・2番煙突の間に片舷1基ずつと後部マストの後方に後向きで1基を配置していた。

一方、「レパルス」竣工当時と大しては変わらず、前部マストの基部のフラット部分は拡大されて1番煙突を基部とする巨大な三角形状のものとなった。機関区は「レナウン」と同様に水上機格納庫を組み込んだ構造とした。新たに対空兵装として「10.2cm(45口径)高角砲」を防盾の付いた連装砲架で1番煙突の片舷に1基ずつ、後部マストの後方に片舷1基ずつの計4基を搭載した。

主砲[編集]

写真は1929年に撮影された「レパルス」。主砲斉射訓練中の写真。

本級の前述通りに新設計の「Mark I 38.1cm(42口径)砲」を採用している。これを連装砲塔に納めた。その性能は重量871kgの主砲弾を最大仰角20度で射距離21,702mまで届かせる事ができる性能で、射距離13,582mで舷側装甲305mmを、射距離18,020mで279mmを貫通できる性能であった。装填機構は自由角度装填で仰角20度から俯角5度の間で装填でき、発射速度は竣工事は毎分2発であった。砲身の仰角は15度・俯角5度で動力は蒸気ポンプによる水圧駆動であり補助に人力を必要とした。旋回角度は左右150度の旋回角が可能であった。

「リヴェンジ級」で採用された「1912年型38.1cm(42口径)砲」は元設計では4基搭載の予定であったが、高速性能の為に主砲塔1基と戦艦並の装甲を下ろし、替わりに浮いた重量を機関重量に充てた為に3基となった。遠距離での公算射撃に必要な門数は最低6門であり、これ以上は削れないギリギリの選択であった。これを前2基、後1基搭載した。

副砲等[編集]

写真は1916年に撮影された「レパルス」の後部副砲。一見して三連装砲塔に見えるが、後部は開放された装甲カバーである。

副砲は当時の英国戦艦の備砲としてやや時代遅れの感があるが、速射性を重視して「1913年型 10.2cm(45口径)速射砲」を採用し、これを3連装砲架で5基と単装砲架で2基の計17門を、三脚檣の両脇に3連装砲架を1基ずつ、二番煙突と後部三脚檣との間の中央部甲板上に1基、後部三脚檣の背後に背負い式で2基を配置した。同単装砲は副甲板の2番煙突脇に1基ずつである。最大、前方向に8門、左右方向に13門、後部方向に6門の充分な火力を有していた。尚、この砲架は機力装填でなく人力装填だが、乗員の練度によっては機力に負けない速射成績を出せた。

写真は「レナウン」の7.6cm砲。

その他に対水雷艇用に「7.6cm(50口径)砲」を単装砲架で2基で副甲板の2番主砲塔脇に1基ずつ装備した。「7.6cm(50口径)砲」を16門、「7.6cm(40口径)高角砲」を6門、礼砲用に4.7cm(40口径)単装砲1基、53.3cm水中魚雷発射管2基を1番主砲塔手前に1門ずつ装備した。

近代化改装後の「レナウン」のみ新たに副砲兼高角砲として新設計の「Mark III 1938年型 11.4cm(45口径)高角砲」を採用した。その性能は重量39.5kgの主砲弾を仰角45度で最大射程18,970mまで、最大仰角80度で最大射高い12,500mまで届かせる事ができる性能であった。装填機構は自由角度装填で発射速度は毎分12発であった。砲身の仰角は80度・俯角5度で動力は電動駆動であり補助に人力を必要とした。旋回角度は左右方向を0度として左右150度の旋回角が可能であった。一方、「レパルス」は7.6cm高角砲の代わりに新型の「10.2cm(45口径)高角砲」を採用した。その性能は重量39.5kgの主砲弾を仰角45度で最大射程18,970mまで、最大仰角80度で最大射高い12,500mまで届かせる事ができる性能であった。装填機構は自由角度装填で発射速度は毎分12発であった。砲身の仰角は80度・俯角5度で動力は電動駆動であり補助に人力を必要とした。旋回角度は左右方向を0度として左右150度の旋回角が可能であった。

艦体と防御様式[編集]

艦体は艦首甲板にシア(傾斜)が若干付き、艦首水面下は凌波性向上の為に膨らみがあった。船体は1番主砲塔に向けて軽く傾斜しており荒天時には容赦なく波に流された。ただ、元々軽量な艦であったために荒天時の凌波性と安定性は申し分なかった。本級の防御様式は船体中央部にのみ装甲を配置する集中防御を採用していた。前級よりも火力と高速力に重量を割いたために防慮重量は犠牲となり、舷側水線部には中央部に152mm、艦首尾部には38mm装甲が張られた。主甲板部には機関区の上面のみ76mm装甲が張られ、弾薬庫上面は51mmと格段に薄かった。主砲塔は前盾と後盾には279mmと厚かったが、側盾は178mmから228mm、天蓋部のみ108mmであった。主砲塔のバーベットは甲板上に露出した箇所のみ178mm装甲が張られたが、甲板から下は102mmでしかなかった。司令塔は前部のみ254mmで後部は51mmでしかなく、天井部のみ152mmであった。

全体的に本級の防御はそれ以前の13.5インチ砲巡洋戦艦「ライオン級」や「タイガー級」と比較しても薄く、本級よりも防御に優れた「クイーン・メリー」が格下の12インチ砲巡洋戦艦からの1発であっけなく爆沈した事実を戦訓と照らし合わせると本級の防御力は格下の相手に対し不十分なものであった。

そのため、第一次大戦後の1923年から1926年に小改装時に舷側装甲を前級並みの229mm装甲に換装すると共に潜水艦からの雷撃対策に舷側にバルジを追加して対水雷防御を強化した。元の152mm装甲は無駄にせずに229mm主装甲の上に張る事で最上甲板側面部の防御強化とした。この改装実績を元に1930年代に2隻とも 甲板防御を機関区上面は127mmに、弾薬庫上面は102mm装甲に換装して強化した。

同型艦[編集]

フェアフィールド造船所にて1915年起工、1916年進水、同年竣工。1923年5月から1926年4月にかけてポーツマス海軍工廠にて小改装実施、1936年から1939年にかけて近代化改装実施。1945年に除籍後、宿泊艦として使用。1948年に解体業者に売却され解体処分。

クライドバンク造船所にて1915年起工、1916年進水、同年竣工。1918年5月から1921年4月にかけて小改装実施、1933年から1939年にかけて近代化改装実施。1941年に東洋艦隊に編入され、日本海軍機からの航空攻撃により魚雷5本が命中して南シナ海((c 3-30'N, 104-30'E))で撃沈される。

参考図書[編集]

  • 「世界の艦船増刊第30集 イギリス戦艦史」(海人社)
  • 「世界の艦船増刊第22集 近代戦艦史」(海人社)
  • 「世界の艦船増刊第67集 第2次大戦時のイギリス戦艦」(海人社)
  • 「世界の艦船増刊第83集 近代戦艦史」(海人社)

関連項目[編集]