レット・イット・ビー

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レット・イット・ビー
Let It Be
ザ・ビートルズサウンドトラック
リリース イギリスの旗 イギリス1970年5月8日
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国1970年5月18日
日本の旗 日本1970年6月5日
録音 Twickenham Film Studios, Savile Row
1969年1月2日 - 31日
アビー・ロード・スタジオ
1970年1月3日 - 4日
1970年3月23日 - 4月1日
(overdubs)
ジャンル ロック
時間 35 13
レーベル Apple, Parlophone, EMI
プロデュース ジョージ・マーティン, フィル・スペクター
専門評論家によるレビュー
チャート最高順位
ビートルズ U.K. 年表
アビイ・ロード
(1969年)
レット・イット・ビー
(1970年)
ザ・ビートルズ1962年〜1966年
(1973年)
ビートルズ U.S. 年表
ヘイ・ジュード
(1970年)
レット・イット・ビー
(1970年)
ザ・ビートルズ1962年〜1966年
(1973年)
ビートルズ 日本 年表
ヘイ・ジュード
(1970年)
レット・イット・ビー
(1970年)
ミート・ザ・ビートルズ
(1970年)
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『レット・イット・ビー』"Let It Be")は、イギリスにおいて1970年5月8日に発売されたビートルズの13作目のオリジナル・アルバムである。(1987年のCD化においてイギリス盤公式オリジナル・アルバムと同等の扱いを受けたアメリカ・キャピトルレコード編集アルバムのマジカル・ミステリー・ツアー2009年9月9日にリリースされたデジタルリマスター盤において発売日順に従い9作目に順番付けられた。これにより、1順番押し出されて現在13作目とされている。しかし、イギリス盤公式オリジナル・アルバムとしては12作目である)映画レット・イット・ビー』のサウンドトラック・アルバムであり、ビートルズのラスト・アルバムとなった。

『ローリング・ストーン誌が選ぶオールタイム・ベストアルバム500』に於いて、392位にランクイン[1]

解説[編集]

レット・イット・ビー』は映画『レット・イット・ビー』のサウンドトラック盤として発表された。

本来のコンセプトは、原点に返って過剰なオーヴァー・ダビングを排したアルバム作りを行う試みであり、当初はそれに伴うレコーディング風景を収めた映画の撮影と同時進行で収録が行われた。そのため、レコーディングはスタジオ・ライヴやビルの屋上でのライヴ演奏(1月30日ルーフトップ・コンサート)を収録するものとなっていた。ビートルズが『ゲット・バック』のセッションに力を入れたのは1969年1月22日から2月5日のわずか2週間であり、事実上頓挫していくことになる[2]。アルバムは1969年5月28日には一応完成し『ゲット・バック』というタイトルが付けられテスト盤まで作成された。しかしあまりにも散漫な出来映えにリリースは延期され(シングル「ゲット・バック c/w ドント・レット・ミー・ダウン」のみ先行リリース)、その後もビートルズは断続的にレコーディングを続けるも『ゲット・バック』への熱意は冷め、徐々に新アルバムの制作へと移行していく。7月1日にはアルバム制作は本格的に進められ8月25日に完成し、9月26日にアルバム『アビイ・ロード』としてリリースされる。しかし『アビイ・ロード』リリースの後も『ゲット・バック』のプロジェクトは続けられ、1970年1月3 - 5日、8日には追加レコーディングも行われた。しかし最終的には自分たちで『ゲット・バック』を完成させることを断念し、アルバムはプロデューサーのフィル・スペクターに託され、『レット・イット・ビー』として完成された。後に、この一連のレコーディング・セッションはビートルズの歴史の中で「ゲット・バック・セッション」と称されるようになった。なおシングル盤「ゲット・バック/ドント・レット・ミー・ダウン」同様、本アルバムにもビリー・プレストンが参加しているがクレジットはなされていない。

スペクターは、音源にオーケストラコーラスなどのオーヴァー・ダビングを施し、本来のコンセプトとはまったく違った形でアルバムを完成させた[3]ジョン・レノンジョージ・ハリスンは、お蔵入り同然だった散漫なセッション音源を短期間のうちにアルバムとしてまとめあげたスペクターの仕事を高く評価しており、それぞれのソロ作品で彼をプロデューサーとして起用している。しかしポール・マッカートニーは「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」に加えられたオーケストラ・アレンジ[4] に強い不満を持つなど、スペクターの仕事を評価しなかった。ポ-ルはアルバム発売の中止を求めて訴訟を検討したが、アルバムリリース契約が1枚残っていたため、不本意ながらも発売を認めざるを得なかった。

ジョージ・マーティンも「『レット・イット・ビー』はいい曲も入っているが、失敗作だった。我々がやろうとしていたこととは全く違う形でアルバムにされてしまった不幸な作品だ」と語った。

ビートルズがオーケストラを起用する際にはジョ-ジ・マーティンがオーケストレイションを行うことを常としていたが、本作ではリチャード・ヒューソンが担当している[5]。オーケストラのレコーディングは1970年4月1日に行われており、その際にはリンゴ・スターがドラムスでセッションに参加している。ただし「レット・イット・ビー」にオーヴァー・ダビングされたオーケストラは本アルバム制作前の1970年1月4日にレコーディングされたもので、ジョージ・マーティンによるアレンジである。

2003年11月にスペクターの施したオーヴァー・ダビングを取り除き、本来の演奏にデジタル・テクノロジーによるいくらかの修正を施したものが、『レット・イット・ビー...ネイキッド』として発売された(新たな加工も加えられているという点では「ネイキッド」ではない)。

なお、前作『アビイ・ロード』に続いて、このアルバムもステレオ盤のみで制作された。

イギリスの「ミュージック・ウィーク」誌では3週連続1位を獲得。アメリカの「ビルボード」誌では4週連続1位を獲得し、1970年度年間ランキング31位だった。「キャッシュボックス」誌では6週連続1位、1970年度年間ランキング14位。アメリカだけで400万枚以上のセールスを記録し、全世界では1,000万枚以上のセールスを記録している。

収録曲[編集]

アナログA面[編集]

  1. トゥ・オブ・アス - Two of Us (Lennon - McCartney)
    演奏時間:(3'36")、リード・ヴォーカル:ポール・マッカートニー
    1969年1月31日、アップル・スタジオでのスタジオ・ライヴ録音。
    冒頭にジョンの"'I Dig a Pygmy', by Charles Hawtrey and the Deaf Aids... Phase One, in which Doris gets her oats!"の語りが入る(1月24日録音)。
  2. ディグ・ア・ポニー - Dig a Pony (Lennon - McCartney)
    演奏時間:(3'54")、リード・ヴォーカル:ジョン・レノン
    1969年1月30日、ルーフトップ・コンサートのライヴ録音。
    冒頭に"Alright - Yeah! - Okay! - A one two three...Hold it! - Uah - What do you... - A one two three"というカウントが入り、エンディングにジョンの"Thank you brothers! Put me hands getting too cold to record."というつぶやきが入る。
    フィル・スペクターの再制作に際し、冒頭およびエンディングの一部がトリミングされている。
  3. アクロス・ザ・ユニヴァース - Across the Universe (Lennon - McCartney)
    演奏時間:(3'48")、リード・ヴォーカル:ジョン・レノン
    1968年2月4日 - 8日に録音し、1970年4月1日にオーケストラとコーラスをオーヴァー・ダビングしたもの。
    非ゲット・バック・セッションであり、チャリティ・アルバム"No One's Gonna Change Our World"からの転用である。
    フィル・スペクターによる再制作に際し、テープ回転数を落としてピッチが下げられ元あったコーラスは消去され、オーケストラとコーラスがオーヴァー・ダビングされた。
  4. アイ・ミー・マイン - I Me Mine (Harrison)
    演奏時間:(2'25")、リード・ヴォーカル:ジョージ・ハリスン
    1970年1月3日に録音し、1970年4月1日にオーケストラをオーヴァー・ダビングしたもの。
    『ゲット・バック』のセッションを終えた約1年後の1970年1月3日に、ジョン・レノン不在で追加録音されたものである[6]
    フィル・スペクターによる再制作に際し、楽曲の一部が繰り返されオーケストラがオーヴァー・ダビングされた。
  5. ディグ・イット - Dig It (Lennon - McCartney - Harrison - Starkey)
    演奏時間:(0'50")、リード・ヴォーカル:ジョン・レノン
    1969年1月26日録音。
    エンディングにジョンによる裏声で"That was 'Can You Dig It?' by Georgie Wood, and now we'd like to do 'Hark, the Angels Come.'"という語りが入る(1月24日録音)。
    フィル・スペクターの再制作に際し元来12分25秒あったテイクから、8分52秒 - 9分41秒の部分のみが収録された。
  6. レット・イット・ビー - Let It Be (Lennon - McCartney)
    演奏時間:(4'02")、リード・ヴォーカル:ポール・マッカートニー
    1969年1月31日アップル・スタジオでのスタジオ・ライヴ録音に、1970年1月4日にオーヴァー・ダビングしたもの。
    シングル盤のヴァージョンとはミキシングが異なる。
    フィル・スペクターによる再制作に際し楽曲の一部が繰り返され、間奏のギター・ソロは1970年1月4日にオーヴァー・ダビングされたものが採用された[7]
  7. マギー・メイ - Maggie Mae (Traditional Arr. Lennon - McCartney - Harrison - Starkey)
    演奏時間:(0'39")、リード・ヴォーカル:ジョン・レノン
    1969年1月24日録音。
    クレジットが "Traditional Arr.The Beatles" と記される場合もある。
    オールディーズ』の「バッド・ボーイ」以来の非オリジナル曲収録である。

アナログB面[編集]

  1. アイヴ・ガッタ・フィーリング - I've Got a Feeling (Lennon - McCartney)
    演奏時間:(3'37")、リード・ヴォーカル:ポール・マッカートニー(主部)とジョン・レノン(中間部)
    1969年1月30日、ルーフトップ・コンサートのライヴ録音。
    エンディングにジョンの"Oh my soul, so hard."の語りが入る。
  2. ワン・アフター・909 - One After 909 (Lennon - McCartney)
    演奏時間:(2'53")、リード・ヴォーカル:ジョン・レノン
    1969年1月30日、ルーフトップ・コンサートのライヴ録音。
    エンディングの後、ジョンが"Oh Danny Boy, The ... [8]calling."と「ロンドンデリーの歌」の替え歌を歌う[9]
  3. ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード - The Long and Winding Road (Lennon - McCartney)
    演奏時間:(3'38")、リード・ヴォーカル:ポール・マッカートニー
    1969年1月31日アップル・スタジオでのスタジオ・ライヴ録音に、1970年4月1日にオーケストラをオーヴァー・ダビングしたもの。
    フィル・スペクターによる再制作に際してオーケストラとコーラスがオーヴァー・ダビングされた。
  4. フォー・ユー・ブルー - For You Blue (Harrison)
    演奏時間:(2'32")、リード・ヴォーカル:ジョージ・ハリスン
    1969年1月25日の録音をベースに、1970年1月8日に再録音したヴォーカル・パートをオーヴァー・ダビングしたもの。
    ジョンの"Queen says 'No' pot-smoking FBI members."の語りは非ゲットバック・セッションであり、1969年1月2日から16日までの間のトゥイッケナム映画撮影所におけるリハーサル・テープからの引用である。
  5. ゲット・バック - Get Back (Lennon - McCartney)
    演奏時間:(3'09")、リード・ヴォーカル:ポール・マッカートニー
    1969年1月28日録音。
    シングル盤と同一テイクであるが、フィル・スペクターの再制作に際しライヴ風に編集されている。イントロ前にポールの"Rosetta"、ジョンの"Sweet Loretta fart thought she was a cleaner but she was a frying pan. Yeah,... The picker, picture the finger, Greg. Okay"、ジョージの"One two three four"のカウント(1月27日録音)、エンディングにポールの"Thanks Mo"、ジョンの"I'd like to say "Thank you" on behalf of the group and ourselves and I hope we passed the audition."(1月30日のルーフトップ・コンサートのライヴ録音)の語りが入る。

各国での発売形態[編集]

日付 レーベル 発売形態 カタログ番号
イギリス 1970年5月8日 Apple Records LP box set PXS 1
アメリカ 1970年5月18日 Apple, Capitol Records LP AR 34001
日本 1970年6月5日 東芝音楽工業 (東芝EMI→現:EMIミュージック・ジャパン) LP box set AP 9009
イギリス 1970年11月9日 Apple Records LP PCS 7096
日本 1971年2月25日 東芝EMI LP AP 80189
Worldwide reissue 1987年10月10日 Apple, Parlophone, EMI CD CDP 7 46447 2
日本 1987年10月19日 東芝EMI CD CP32-5333
日本 2004年1月21日 東芝EMI Remastered LP TOJP 60143
  • イギリス、および日本盤初版は「THE BEATLES GET BACK」と題された写真集が付属した。LPは通常のシングル・カバー仕様だったが、写真集の付属しないアメリカ盤はゲートフォールド・カバーの内側に抜粋した写真が掲載されていた。日本再版はアメリカ盤と同仕様。

脚注[編集]

  1. ^ 500 Greatest Albums of All Time: The Beatles, 'Let It Be' | Rolling Stone
  2. ^ ただし、ビートルズは1969年1月2日から16日までの2週間、トゥイッケナム映画撮影所でリハーサルを行っている。このリハーサルの風景は一部映画『レット・イット・ビー』に収録された。なおこの際に録音されたテープはその後、非合法盤の音源になっている。
  3. ^ ただし、19694月30日に「レット・イット・ビー」へのオーヴァー・ダビングを行うなどしており、1969年1月時点での「一切オーヴァー・ダビングを行わない」というオリジナル・コンセプトはビートルズ自身が破棄している。
  4. ^ ライヴで「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」を演奏する際は、必ず本来のアコースティック・ヴァージョンで披露する。また、ある授賞式で「早く家に帰らないとフィルにオーケストラをオーヴァー・ダブされちゃう」という強烈な皮肉を残して帰ったこともある。
  5. ^ ポール・マッカートニーはアルバム『ラム』のオーケストラによるカヴァー・アルバム『スリリントン』で、リチャード・ヒューソンをアレンジャーに起用している。
  6. ^ 第1~16テイクまで録音されたが、第16テイクには大幅なオーヴァー・ダビングが行われており、ここでも『ゲット・バック』のオリジナル・コンセプトは破棄されている。
  7. ^ なお、シングル盤のヴァージョンのギター・ソロは1969年4月30日にオーヴァー・ダビングされたものが採用されている。
  8. ^ "The alter men are calling"や"The alter man is calling"、"The old summer is calling"、"The oats of Anne are calling"、"The old savanna's calling"との聴き取りがあり、正確には判明していない。
  9. ^ オリジナル歌詞は"Oh Danny Boy, the pipes the pipes are calling."

関連文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]