ルーシー・ブラックマンさん事件

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

ルーシー・ブラックマンさん事件(ルーシー・ブラックマンさんじけん)は、2000年7月、神奈川県逗子市イギリス人女性のルーシー・ブラックマン(Lucie Blackman)が強姦されて死亡されたとされる事件。

事件の概要[編集]

事件[編集]

2000年7月1日、元英国航空乗務員で、ホステスとして六本木で働いていた被害者が友人に連絡後に行方不明になった。3日には、男から被害者の友人に電話があり、不審に思った友人が警察に捜索願を出した。被害者が失跡した直後の7月5日頃、容疑者がこのマンションを訪れて管理人とトラブルになったり、スコップを持って海岸を歩いているのが目撃されていた。
8月22日に被害者の妹が記者会見し、1万ポンド(当時160万円)の懸賞金をかけて有力情報の呼びかけを行った。9月下旬には、警視庁捜査一課と麻布署が被害者が勤めていたクラブの常連客で不動産管理会社社長の男を調査している事が明かになった。また、被害者の周辺で新たに外国人女性二人が行方不明になっている事が発覚した。

逮捕[編集]

10月12日には、別件の準強制わいせつ容疑で容疑者が逮捕された。後日、神奈川県三浦市内の所有するマンションの一室やモーターボート付近の海岸などを警察が捜索した。
11月17日に同容疑者が再逮捕された。東京地検は同日、英国人女性に対する準強姦罪で追起訴された。警視庁はDNA鑑定のため、ルーシーさんの家族に毛髪の提供を要請した。2001年1月26日、オーストラリア人女性に対する強姦致死容疑で再逮捕された。
2001年2月、容疑者のマンションから近い三浦市内の海岸にある洞窟内で、地面に埋められた浴槽内で遺体がバラバラに切断された状態で発見された。

裁判[編集]

その後、被疑者はルーシー・ブラックマンを含めた10人の女性に強姦又は強制わいせつをして、その内2人の女性(ルーシー・ブラックマンとオーストラリア人女性)を死亡させたとして立件された。
被疑者は他9事件については1人の致死罪を除いて概ね認めたものの、ルーシー・ブラックマン事件については検察側が死亡したとする時間の直前に自分のマンションの部屋で被害者と会ったことは認めたが、裁判時には死亡していた知人が関与した可能性を示唆した上で無罪を主張した。

その他[編集]

イギリスの『タイムズ』をはじめ、『Salon.com』や『ジャパンタイムズ』が、容疑者は元在日韓国人の帰化日本人であると報じている[1][2][3]

状況証拠[編集]

以下の状況証拠をどう評価するかが焦点となった。

  • 髪の毛などから、被害者が被疑者のマンションにいたこと
  • 被害者が死亡したとされる時期の直後に、遺体の損壊・遺棄に使ったとみられるチェーンソー・セメントなどを購入していたこと
  • 被疑者のパソコン記録では、被害者が死亡したとされる時期の直後にインターネットで死体の処理方法が検索されていたこと
  • 遺体の損壊が激しかったため、睡眠薬の代謝物が検出されたものの死因が特定できず、薬物や被疑者のDNAが検出されなかったこと
  • 被疑者が起こした他9事件に、ルーシー・ブラックマン事件と類似の犯罪性向があること
  • 他9事件では存在した、薬物を使って女性への乱暴を撮影したビデオテープが、ルーシー・ブラックマン事件では発見されなかったこと
  • 死亡したとされる時期の後にルーシー・ブラックマンの生存を偽装する電話をルーシー・ブラックマンの友人にかけたのは被疑者である可能性が高いこと

直接証拠に乏しいこの事件に対しては、2006年9月に被疑者の無罪を訴える内容のホームページが「真実究明班」名義で開設されており[4]、それらの主張は後に書籍としてまとめられている。「真実究明班」は、被疑者の行為は被害者と金銭において合意の上で行われたものであるとしているが、そのホームページには、裁判関係者でしか入手し得ないはずの資料も使用されている[4]

裁判[編集]

1審(東京地裁
  • 2007年7月24日 - 判決公判。東京地裁は、女性9人に対する準強姦罪や強制わいせつ罪とその内の1人に対して準強姦致死罪を認定して被告人に無期懲役を言い渡したが、当事件に関与した疑いがあるとしながらも、遺体から薬物や被疑者のDNAが検出されなかったことから証拠不十分として無罪を言い渡した。
2審(東京高裁
  • 2008年3月25日 - 控訴審初公判。弁護人は、当事件の被害者に関する全ての罪とオーストラリア人の致死罪に関して無罪を主張した。検察官は、有罪を求めた。
  • 2008年7月 - 一審で致死罪が認定されたオーストラリア人女性の遺族に、被告人が見舞金1億円を支払っていたことが明らかになった。被告人はこの見舞金を「お悔やみ金」としており、女性に対する殺害は関係ないと主張している。
  • 2008年12月17日 - 判決公判。一審判決を棄却。当事件について準強姦致死罪を認めなかったが、準強姦未遂罪と死体損壊罪と死体遺棄罪を認め、一部有罪とした上で被告人に無期懲役を言い渡した。
最終審(最高裁)
  • 2010年12月 - 上告を棄却。9事件の準強姦罪や強制わいせつ罪とその内の1人に対して準強姦致死罪、当事件の準強姦未遂罪と死体損壊罪と死体遺棄罪の有罪が確定した[5][6]

関連書籍[編集]

  • 松垣透『ルーシー事件 闇を食う人びと』(彩流社)ISBN 9784779112621
  • ルーシー事件真実究明班『ドキュメンタリー ルーシー事件の真実 近年この事件ほど事実と報道が違う事件はない』(真実究明班)ISBN 9784870317864

脚注[編集]

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]