ル・トロネ修道院
ル・トロネ修道院(ル・トロネしゅうどういん、仏語:L’abbaye Du Thoronet)は南仏プロヴァンス地方、ヴァール県・ル・トロネに設立されたシトー会修道院である。修道院北部の一部は崩壊したものの、現存する建物は1160年から1200年頃にかけて建築されたもので、中世建築の姿を今に残す。
目次 |
設立 [編集]
1136年に今日のル・トロネから約20km離れたフロリエージュに設立されたシトー会修道院が土地の寄進をうけ、1147年にル・トロネの地に移転した後、建設したのがル・トロネ修道院である。
建物 [編集]
聖ベルナルドゥスによって確立された、シトー会の建築に関する規則を遵守し、ル・トロネ修道院は石のみを建築材料に人里離れた丘のふもとの傾斜地に建てられ、内外部ともに装飾が排除されている。ただ多くの場合と異なり、中庭とそれを囲む諸施設が北側に配置されていることは丘の傾斜を利用した取水設備の利便を考慮したためと考えられる。また、中庭が水平ではなく傾斜をもつために、それを囲む回廊がそれぞれねじれの関係にあることも例外的である。聖堂北側の諸施設には書庫、聖具室、集会室、大寝室、談話室、大食堂、助修士の建物、貯蔵室があり、中庭北部には洗手堂が設けられている。
聖堂 [編集]
東西方向を軸に立てられた聖堂は身廊、側廊、翼廊からなり、東側には至聖所が設けられ、その左右には各二つの祭室が並ぶ。聖堂にはわずかに14の窓が厚い石壁に小さく開けられている。また、身廊の尖鋭アーチ断面のトンネル・ヴォールト天井とその全体を分節する横断アーチはロマネスク様式を反映している。
集会室 [編集]
建築年代が比較的遅い集会室の天井にはゴシック建築に顕現するリヴ・ヴォールトが架けられている。
影響 [編集]
ル・コルビュジエ(Le Corbusier)がラ・トゥーレット修道院の設計に際し、設計依頼主であるクチュリエ神父の指示によりル・トロネ修道院を訪れ、多大な影響を受けたことが知られている。
関連項目 [編集]
参考文献 [編集]
- 磯崎新著『磯崎新の建築談議#5 ル・トロネ修道院[ロマネスク]』六耀社,2004年
- 磯崎新、篠山紀信、三宅理一著『磯崎新+篠山紀信 建築行脚5 中世の光と石 ル・トロネ修道院』六耀社,1980年
- 鈴木元彦『鈴木元彦写真集 光と祈りの空間―ル・トロネ修道院―』株式会社サンエムカラー、2012年