ルパン三世 風魔一族の陰謀
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『ルパン三世 風魔一族の陰謀』は、漫画家モンキー・パンチ原作の人気アニメ『ルパン三世』の劇場映画第四作として、東宝系で1987年12月に劇場公開された。もともとはシリーズ初のオリジナルビデオアニメ(OVA)作品として企画されていた。
注意:以降の記述で物語・作品・登場人物に関する核心部分が明かされています。
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[編集] あらすじ
飛騨の山奥にある神社で、石川五ェ門と墨縄家の跡取り娘である紫との結婚式が行われていた。いにしえの習わしに従い、墨縄家の壺が五ェ門に手渡されようとしたその時、覆面装束の一団が壺を奪おうと現れた。ルパン達の活躍で何とか壺を取り返したのもつかの間、花嫁の紫がさらわれてしまう。
その壺には墨縄一族の先祖が残した財宝のありかが記されていたのだ。 そして、それらを狙う風魔一族は、四百年もの間その財宝を狙っていたのだ。それを知ったルパンたちは、墨縄家の隠し金庫から壺を盗み出して紫との交換へ向かう。
一方、風魔はルパンが死亡したと思いこんで警察官を引退し、山寺の住職となった銭形警部を呼び寄せた。ルパンと風魔、双方ともあわよくば壺と紫を両方手に入れようと思っていたが、交換場所である機関車整備庫に銭形警部がやってきたため、壺は風魔、紫はルパンへと入れ替わるだけになった。その後、五ェ門がルパンに財宝から手を引けと迫るが、ルパンはすでに壺の秘密を解読しており、五ェ門・紫とは別行動をとることになる。
不二子は単独で風魔を調査し、財宝の秘密に探ろうとするが逆に捕まってしまい、不二子につけた発信器を逆手に取られたルパンは銭形率いる警官隊と派手なカーチェイスを演じるハメになる。
不二子は自力で風魔のアジトを脱出し、壺の底に隠されていた黄金の鍵を手に入れていた。その鍵こそ、財宝が隠された洞窟の落盤を防ぐ安全装置だったのだが、それはすでに風魔に財宝を奪われまいとする墨縄老人の手によって破壊されていた。 財宝が眠る洞窟へ乗り込んでいく風魔、五ェ門と紫、そしてルパンたち。そこに仕掛けられた様々な罠や迷路、幻覚ガスなどを突破し、ついにたどり着いた地下空洞には、すべてが黄金でできている巨大な財宝の城が建っていた。
刻々と地下空洞の落盤が迫る中、ルパンと風魔の最終決戦が開始された。ルパンか?風魔か?はたして黄金城のお宝を手中に収めるのはどっちだ!?
[編集] 概要
アニメーションの制作は『ルパン三世 カリオストロの城』、『ルパン三世 くたばれ!ノストラダムス』を担当した東京ムービー新社の子会社テレコム・アニメーションフィルムが請け負った。テレビシリーズ放映中の劇場版やテレビスペシャルとは異なり、テレビ局は製作に名を連ねず、東宝と東京ムービー新社が製作している。
本作品はもともとOVAとして企画されていたのだが、ビデオ販売に先駆けて劇場公開されることになり、1987年12月18日に東宝系で封切られが、上映館数はごくわずかに留まった。テレコムのホームページではOVA作品と扱われているが、実際にビデオリリースがなされたのは劇場公開の後、1988年4月である。本作がOVA作品なのか劇場映画作品なのか、論者によって判断は分かれている。
本作品が一番特徴的なのは、声優陣が従来のシリーズから一新されたことである。ルパン三世に古川登志夫、次元大介に銀河万丈、峰不二子に小山茉美、石川五ェ門に塩沢兼人、銭形警部に加藤精三がそれぞれ起用され、「ニュールパン」と銘打って発表され、後述のように様々な波紋を呼んだ。ルパン三世シリーズで声優陣総入れ替えが行われたのは、2009年現在、本作品のみとなっている。
また、本作には作品の責任者である監督が存在せず、代わりにテレコムを率いるアニメーターの大塚康生が監修を務め、 原画マンや作画スタッフが、シークエンスごとにアイデアを出し合い作画する、というかつての東映動画的なスタイルとなった。これは大塚の著書「作画汗まみれ 増補改訂版」によると、当初監督に抜擢された演出家の提示した絵コンテが、テレビアニメ的なアップや口パクを中心とした枚数を省略するスタイルだったため、劇場長編のクオリティ(例えば宮崎駿や高畑勲が監督作品)の作画スタイルで育って来たテレコムの作画スタッフの要求に応えらなかったため、とのことである。
TV第1シリーズの作画監督である大塚康生が参加していることもあり、ルパンのジャケットの色は、TV第2シリーズの赤ではなく、第1シリーズの緑色である。声優陣総入れ替え、五ェ門の結婚という内容などから、異色作や番外編といった扱いを受けることが多いが、ふんだんに枚数をかけた作画、カーチェイスシーンの優れた描写や、劇場映画第二作『ルパン三世 カリオストロの城』を彷彿とさせる内容となっている。
なお、銭形警部がルパンが死んだ事をきっかけに引退し寺に仕えるという設定は(死刑→死亡、寺男→住職の違いはあるが)劇場映画第一作『ルパン三世 ルパンVS複製人間』の初期設定を受け継いだものと思われる。この作品で坊主頭となった銭形だが、前者では髭や髪の毛が無造作に伸びた状態のデザインであった。設定では、この墨縄家がその後もルパン逮捕に世界中を飛び回る銭形警部の家族の後見を引き受けている事になっている。
雑誌発表されていた、公開前の仮タイトルは「五ェ門紫変化」というものであった。
[編集] ゲストキャラクター
- 墨縄紫
- 飛騨に住む墨縄家の跡取りの孫娘。五ェ門と結婚することが決まり婿養子として迎えようとするが、墨縄家の財宝である壺を狙ってきた風魔一族にさらわれてしまう。
- 作中では結婚しないままであるが、結婚延期を申し出た五ェ門に「待っててあげないからね」と言いながらも、ルパンの「また会おうね~」という台詞に頷いたり、墨縄老人の「(五ェ門が)時機に帰って来られる、しばらくの間のことじゃ」の言葉にも笑顔で答えている。
- 墨縄老人
- からくり細工で有名な墨縄家の当主で、紫の祖父。遙か昔より伝えられている墨縄家の財宝の隠し場所を示した壺を家宝とし、それを守るためだけに生きていて、孫娘の命よりも壺を優先しようとする。
- 設定では、その後ルパンや五ェ門を追って再び世界中を飛び回る銭形警部の家族の後見を、現在も引き受けている事になっている。
- 風魔一族ボス
- 大仏をスキンヘッドにしたような顔をした大男。一党を建築会社に偽装し、世間の目を欺いていた。自身も六節棍を自在に操る格闘家で、五ェ門との一騎打ちを繰り広げた。結局五ェ門の斬鉄剣で斬られ、その後崩れた洞窟と運命を共にした。
- 風見刑事
- 本庁所属の刑事。死んだ(ということになっている)ルパンを供養するために出家した銭形にルパンを発見したという報告をして復職させる。しかし、実は風魔一族の一員で墨縄家の財宝を狙っている。
- 黄金の城から転落し、消息不明。
- ガクシャ
[編集] 声優陣入れ替えに関して
一部では声優陣の若返りを目的としてルパンファミリーの声優陣の総入換えが実施されたといわれるが、新キャストもそれほど年齢が若くなかったため、それは表向きの理由とされる。原作者モンキー・パンチは、製作側からギャラが高騰した山田康雄らを降板させて、制作費を抑えるためと説明を受けたと語っているが、この件に関しては関連書籍ごとに記述が異なる。
新しいルパンの声優に抜擢された古川登志夫が山田に挨拶に行った際、山田には何も知らされていなかったことが発覚。古川から事の次第を聞かされた山田はスタッフや原作者のモンキー・パンチが内緒で事を運んだものと激怒、パンチに怒りの電話をかけ、後々まで両者の関係をギクシャクさせた。パンチによれば声優陣交代の知らせを受けたとき、山田に必ず了承を得るようスタッフに釘を刺したのだが、山田には伝わっていなかった。パンチは必死に説明をしたそうであるが、2年後に放送されたTVスペシャル第一弾『ルパン三世 バイバイ・リバティー・危機一発!』で顔合わせをした際にもギクシャク感が残ってしまったという。ちなみに本作の後に制作された劇場映画第五作『ルパン三世 くたばれ!ノストラダムス』では本編のアフレコに入る直前に山田が倒れ、そのまま急死したため、結果的に山田康雄が劇場版の『ルパン三世』シリーズを降板した形になってしまった。パンチは山田の死後もこの事件に対し、山田に十分な説明ができなかったことを後悔し、葬儀では号泣していた。他のレギュラー陣にも山田同様知らされていなかったらしく、銭形役の納谷悟朗は山田に近い怒りの感想を述べ、次元役の小林清志は「将来そういう時も来るかもしれないが、自分たちが現役の今降ろされる理由が解らん」とキャスト交代に不満を述べた。不二子役の増山江威子と五エ門役の井上真樹夫は「自分たちは途中参加なので、後輩たちに譲る事になっても仕方ないとも思うが、せめて一言知らせて欲しかった」と、交代そのものよりスタッフの通知がなかった事を残念に思っていたようである。
新声優陣も健闘してレベルの高い演技をしたが、上記のような確執、またこれまでの声優陣の印象が強すぎたことや、再放送での「TV第2シリーズ」の人気の高さから、本作では製作から外れていた日本テレビが中心となって製作することになったその後のテレビスペシャルシリーズでは、全員元の声優に戻った。このようなことから、現在でも声優を無計画に入れ替えるアニメ作品の悪例として本作が引き合いに出されることも多い。しかし、新声優陣の、特に古川登志夫の個性的なルパンを評価する声は今でもある。
[編集] スタッフ
- 原作 - モンキー・パンチ(双葉社刊)
- 監修 - 大塚康生
- 脚本 - 内藤誠
- 音楽 - 宮浦清、小田敏文
- 作画監督・キャラクターデザイン - 友永和秀
- 撮影監督 - 斎藤秋男
- 録音監督 - 浦上靖夫
- 美術監督 - 小林七郎
- プロデューサー - 竹内孝次
- 編集 - 瀬山武司
- 演出 - 大関雅幸
- 演出助手 - 難波桂子
- 演出補佐 - 富沢信雄
- 撮影
- 旭プロダクション
- 高橋秀子、伊藤修一、梅田俊之、奥井敦、古林一太、酒井幸徳
- 色指定 - 山本智子
- 製作進行 - 高野武
- 効果 - フィズ・サウンド
- 原画 - 道籏義宣、八崎健二、石井邦幸、小野昌則、野口寛明、辻野芳輝、丸山昇一、桜井陽子、植田均、宮崎なぎさ、増田敏彦、富沢恵子、矢野雄一郎、青山浩行、鷲田敏弥、滝口禎一、楠本祐子、森友典子
- 動画 - 堤純子、原田俊介、土岐弥生、上ノ山順子、梅田隆司、中込利恵、斉藤紀生、吉沢広子、粉川剛、末永宏一、川口隆、西見祥示郎、柳川由美、横堀久雄、河内明子、林雅子、武馬康裕、富永拓生、佐々木昇、中村祐治、長嶋陽子、高谷博子、平間久美子、向井雅人、大沢正幸、志村正義、高橋夏子、藤井ゆかり、長屋侑利子、斉藤喜代子、奥野元子、矢野順子、細山正樹、田口裕美子、駒場浩、粟田勉、萩原啓子、斉藤百合子、星裕一、星野真砂子、白川宏
- 背景
- 小林プロダクション
- 木村真二、形山正、柴田聰、白石誠、田中貞彦、大塚伸弘、松室剛
- 仕上 - 橋本直子、菅原智子、高野佳子、木村郁代、杉井正子、大久保香代、飯塚晶子、坪田真奈、中村静子、ヨーリー・ホアン、パティ・パレリオ、ルイーザ・スー
- スタジオエンジェル - 藤川千奈実
- 遊民社 - 中山しほ子
- 大阪アニメ・ワールド - 米澤貴美子
- タイトル - 高具アトリエ
- 録音 - APUスタジオ
- 製作デスク - 南部正昭
- 現像 - 東京現像所
- 主題歌「セラヴィと言わないで」
- 配給 - 東宝株式会社
- 製作 - 東京ムービー新社
[編集] 声の出演
- ルパン三世 - 古川登志夫
- 次元大介 - 銀河万丈
- 峰不二子 - 小山茉美
- 石川五ェ門 - 塩沢兼人
- 銭形警部 - 加藤精三
- 墨縄紫 - 荘真由美
- 墨縄老人 - 宮内幸平
- ボス - 広瀬正志
- 風見刑事 - 千葉繁
- ガクシャ - 中原茂
- 警官隊隊長 - 島香裕
- 警官A - 小出和明
- 警官B - 山寺宏一
- 警官C - 西村智博
- 風魔A - 目黒裕一
- 風魔B - 橋本晃一
- 風魔C - 桜井敏治
- 風魔D - 坂東耕一郎
- 奥さん - 江森浩子
- 男の子 - 小粥よう子
- 女の子 - 神代智恵
- 女 - 江崎えりい
[編集] 登場メカについて
この作品は、TV第1シリーズ末期や劇場映画第二作『ルパン三世 カリオストロの城』に登場した、フィアット 500が再登場している。しかし、今回のフィアット500はスーパーチャージャー付きエンジンではなく、水陸両用仕様だった(水上では車体が半分ほど水没するのでマフラーを延長する)。ナンバーは日本が舞台なので「R-33」ではなく「岐5 へ2150」であった。分類番号が50~59ではなく、1960年代に見られた5であることを考えると、登録年度はかなり古いと思われる(偽造だとする説もある)。また、銭形警部が乗車するパトカーも『カリオストロの城』と同じ410型日産ブルーバードを使用しているが、埼玉県警ではなく舞台の設定上岐阜県警となっている。しかし、中盤のカーチェイスでたくさんの車両がクラッシュしたり、立往生したりし、最後には全ての車両が破壊してしまう。実際の警察車両が全て単一車種というのはありえないという意見もあるが、地方ではメーカー、地元販売会社が(パトカーを寄贈するなど)自治体と密接な関係にあり、ありえる話とも言える。それよりも、ナンバープレートが1両ごとに違うという点(つまり、セルの使い回しではない)に製作側のこだわりが見られる。また、銭形とルパンが再会した直後のカーチェイスで登場した暴走車両(銭形が危うく轢かれそうになる)は、『カリオストロの城』の冒頭でクラリスが使用していたシトロエン2CVである(ナンバーも「F-73」になっている)。
銃は、「落盤の危険がある」ということで殆ど使用されていないが、風魔はウージーを所持している。
[編集] 脚注
[編集] 関連項目
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