ルナ3号

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ルナ3号
Lunik 3.jpg
ルナ3号。カメラの開口は上端にある。
所属 ソビエト連邦
国際標識番号 1959-008A
カタログ番号 00021
状態 運用終了
大気圏に突入済み
目的 探査
観測対象
打上げ機 ルナ
打上げ日時 1959年10月4日
最接近日 月 - 1959年10月6日
通信途絶日 1959年10月22日
消滅日時 1960年3~4月?
本体寸法 1.3m
質量 278.5kg
姿勢制御方式 回転/ジェット

ルナ3号(ロシア語:Луна-3、ラテン文字表記の例:Luna 3)はソ連無人月探査機1959年10月4日に打ち上げられ、世界で初めて裏側の様子を撮影した。

設計[編集]

探査機の本体は両端が半球状になった長さ1.3mの円筒形であった。円筒部分の直径は0.9m、最大径(本体上部の張り出し部分)は1.3mだった。質量は278.5kgで、ルナ1号2号より軽い。内部は0.23気圧に保たれ、搭載機器は与圧環境下に置かれた。また温度が25℃を超えるとカバーを開いて放熱板を露出させることで、内部の温度調整を行った。電力は本体の周りに貼り付けられた太陽電池パネルで供給した[1]

ルナ3号の最大の目的は月の裏側を撮影することで、観測機器は「イェニセイ-2」と呼ばれる撮影システムを中心に構成された。この他に流星物質宇宙線の検出器を積んでいた。姿勢制御は、スピン制御とガスジェットを使った制御を切り替えることができた。軌道修正のためのロケットエンジンは備えていなかった[1]

イェニセイ-2[編集]

ルナ3号に搭載された「イェニセイ-2」と呼ばれる撮影システムは、フィルムカメラ自動現像装置スキャナから成り立っていた。

カメラは焦点距離200mmF値5.6と、500mm F9.5の2種類のレンズを使い分けることができた。200mmのレンズは月の全体像を撮影するのに適しており、500mmレンズは一部地域のクローズアップに適していた。カメラは探査機本体に固体されたため、撮影方向を変えるために探査機全体の姿勢を制御する必要があった。センサーが月光を感知すると本体上端にあるカメラカバーが開き、自動で撮影を始める仕組みだった[1]

撮影結果は40フレームの35mmフィルムに記録され、撮影終了後に自動現像装置に送られた。現像後のフィルムは地上からの指令を受けてスキャナで読み取られ、地球に電送された[1]

飛行[編集]

1959年10月4日、ルナ3号はバイコヌール宇宙基地からルナ8K72ロケットで打ち上げられ、直接月へ向かう軌道に投入された。しかしこの時点で、探査機が送信する信号の強さが予定に満たない上、内部が異常な高温になっていることが判明した。温度を抑えるために重要性の低い装置の電源が落とされたが、送信の不調は解決できなかった。

ルナ3号が地球から6から7万kmの距離に達した段階で、姿勢制御方式がスピン制御からジェットを使った制御に切り替えられた。

10月6日、ルナ3号は月の南極付近に最接近した。最接近時の月表面からの距離は6200kmだった。この時点では月の自動撮影は始まらず、ルナ3号は月の引力で軌道を変えながら飛行を続けた。

10月7日、検出器が月の光を捉え、自動撮影システムが起動した。月からの距離は6万3500kmだった。ルナ3号はその後40分で29枚の写真を撮影した。一連の撮影を終えたルナ3号は、姿勢制御の方式をスピン制御に戻して飛行を続け、月を半周して地球へ再接近する軌道に乗った。

ルナ3号は地球に向かいながらデータの送信を行った。送信機の不調にもかかわらず10月18日までに17枚分の不鮮明な画像データを転送することに成功した。

10月22日、地上とルナ3号との交信が失われ、計画は終了した。ルナ3号は軌道を制御されないまましばらく地球近傍を飛行していたが、1960年3~4月に大気圏に突入したとみられている(大気圏突入は1962年以降という説もある)。

成果[編集]

ルナ3号の切手

月は常に地球に同じ面を向けているため(自転と公転の同期)、地上からの観測では月の裏側を見ることは不可能であり、その様子は長い間謎のままだった。ルナ3号の最大の成果は、月の裏側まで飛行し、世界で初めて月の裏側の撮影に成功したことである。

受信された画像は不鮮明だったが、月の表側と異なり、裏側には暗い月の海がほとんど存在しないことが明らかになった。判別できた地形には名称が与えられ、モスクワの海などロシアにちなむ地名も誕生した。不鮮明な画像から無理をして地形を読み取ったため、ソビエト山脈など後の探査で誤りが判明した地形もあった。

関連項目[編集]

参考文献[編集]

  1. ^ a b c d Luna 3” (英語). NASA - NSSDC. 2008年5月25日閲覧。