ルイ・ボナパルトのブリュメール18日

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ルイ・ボナパルトのブリュメール18日』(ドイツ語: Der 18te Brumaire des Louis Bonaparte)は、カール・マルクスの著書。フランス第二共和制における諸階級の政治闘争がフランス皇帝ナポレオン3世クーデターフランス語版英語版を成立させた過程について分析した評論で、「ボナパルティズム」という言葉を世の中に定着させた。

冒頭部分は有名である。

世界史上の有名人物は二度現れるとヘーゲルは書いた。だが、ヘーゲルは次の言葉を付け加える事を忘れていた。一度目は悲劇として、二度目は茶番劇としてと

原文は以下の通りである。

<115> Hegel bemerkte irgendwo, daß alle großen weltgeschichtlichen Tatsachen und Personen sich sozusagen zweimal ereignen. Er hat vergessen, hinzuzufügen: das eine Mal als Tragödie, das andere Mal als Farce.

最新翻訳者の市橋秀泰はこの部分を以下のように翻訳している。

ヘーゲルはどこかで言っている。すべての世界史的な大事件と巨人は二回現れるというようなことを。ただしヘーゲルは、それに加えて次のように言うのを忘れている──一回目は偉大な悲劇として、二回目は安っぽい茶番狂言として、と。

この冒頭部分をどう解釈するかが問題であるが、「偉大な悲劇」が、ナポレオン・ボナパルトフランス革命をクーデタで流産させたことを意味しており、「安っぽい茶番狂言」が、その甥のルイ・ボナパルトが、第二共和制の下で民主的に大統領に選出されながら、同じくクーデタで共和制を流産させ、大統領権限を大幅に強化した新憲法を制定して独裁体制を樹立し、翌年には国民投票を経て皇帝に即位し第二帝政を樹立して、ナポレオン3世と自らを称したことを意味していると考えられる。そしてマルクスのこの著作の表題はこのような解釈を行って初めて理解出来る。

共和暦8年霧月(Brumaire)18日(Dentelaire)は、ナポレオン・ボナパルトがクーデタでフランス革命を流産させ、自らを皇帝と称しはじめた悲劇の日であるから、ルイ・ボナパルトとは直接には関係ないが、マルクスの目から見れば、クーデタで民主的制度を崩壊させた点では伯父と甥とは歴史的に同じ役割を果たしたことになるから、「ルイ・ボナパルトのブリュメール18日」という表現には「大きな皮肉」が込められていることになる。

マルクスは第2版へのマルクスの序文の中でこの著作の特徴を、ヴィクトル・ユゴーの「小ナポレオン」とプルードンの「クーデタ」と比較して、以下のように述べている。

<359>Ich weise dagegen nach, wie der Klassenkampf in Frankreich Umstände und Verhältnisse schuf, welche einer mittelmäßigen und grotesken Personage das Spiel der Heldenrolle ermöglichen.

市橋秀泰訳は以下の通りである。

私が証明しているのは逆であって、フランスにおける階級闘争というものが事態や情況を作り出して、そのおかげで、平凡で馬鹿げた一人物が主役を演じることができるようになったということなのだ。

市橋は、「馬鹿げた」と翻訳しているが、原語は、'grotesken'であり、小学館独和大辞典の訳語には、グロテスクな・怪奇(異様)な・奇妙な・ばかげた・滑稽な等が掲載されている。

ただ、ナポレオン・ボナパルトのクーデタとは異なり、ルイ・ボナパルトのクーデタが彼の能力や実力によってではなく、フランスにおける階級闘争の結果が彼にそれを可能にした事実を示したと本人が述べている事は確かであり、この記述を念頭に置けば、何故、マルクスが、ルイ・ボナパルトとブリュメール18日とを意図的に関連づけ表題としたのかより理解が深まると考える。

最後にナポレオン1世・2世・3世とナポレオン・ボナパルトの出自を記述しておく。ナポレオン1世、ナポレオン・ボナパルトは、シャルル・マリ・ド・ボナパルトの四男としてフランス領コルシカ島に生れた。ナポレオン3世、シャルル・ルイ=ナポレオン・ボナパルトは五男ルイ・ボナパルトの息子であるから、両者は伯父と甥の関係にあった。ナポレオン2世、ナポレオン・フランソワ・シャルル・ジョゼフ・ボナパルトはナポレオン・ボナパルトの嫡男で、1815年6月22日から7月7日まで名目上のフランス皇帝であった。

日本語訳[編集]

http://e-hon.cloudpages.jp/viewer/asp/9784_406_057707

関連項目[編集]