リード・シート

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リード・シート: lead sheet)は、の実際の演奏のうち、メロディ和音歌詞という基本的な部分のみを取り出して紙などに書きあらわす記譜法の一種。ポピュラー音楽の歌や、ジャズの曲を楽譜にするときによく使われる。

和音は、ポピュラー音楽やジャズの世界でよく使われるコードネーム: chord name または: chord symbol)を使って書きあらわされる。メロディーは五線記譜法で書きあらわされる。歌詞は、声を出すタイミングを表現するために、声に対応するメロディーの音符の位置と、左右の位置を合わせて書かれる。日本語では、元の歌詞をひらがなに変換して、書かれる。コードネームは、その和音が使われる場所に書かれる。その他には、テンポ調号などが書かれ、さらにリズムに関する標語が書かれていることもある。

作曲者が意図する本来の演奏にできるだけ同じになるように演奏する必要がある場合には、コードネームではなく音符で記譜するべきであり、リード・シートの使用は不適切である。メロディーとコードネームだけではうまく表現できない曲には、リード・シートは向いていない。コードネームを演奏する場合に実際にどのような音をどんなタイミングで出すのかは、リード・シートの楽譜では指示されず、演奏者が決める。即興で編曲することはジャズでよく行なわれるが、編曲する場合は楽譜通りには演奏しないので、楽譜に和音が正確に音符で記録されていなくても、困ることはなく、むしろその和音がコードネームで表現されていたほうが、どのような和音を出すべきなのかを素早く読み取ることができる。コード・ネームは即興演奏アンサンブルを行うためにも用いられる。ポピュラー音楽やジャズ以外の世界の音楽家も、リード・シートを使うことがあるが、クラシック音楽ではあまり使われない。

リード・シートは俗に英語でフェイク・シート(: fake sheet)と呼ばれる。フェイクとは、偽物とか、本物のふりをするという意味である。歌の伴奏を急に頼まれたが元の曲を聴いたことがないという演奏者が、リード・シートを手渡されたような場合、その演奏者は、本物の伴奏とは違うけれど、一応伴奏のように聞こえる演奏ができることがある。そのような伴奏が、本物のふりをしているという意味で、フェイクなのである。

リード・シートの曲集は俗に英語でフェイク・ブック: fake book)と呼ばれることがあり、「The Real Book」という曲集がもっとも有名である。これは、fakeの対義語としてrealがあるため、皮肉になっている。