リリコン

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リリコン(Lyricon)は、管楽器を模した電子楽器の一種である。

概要[編集]

リリコンは1970年代米国で開発されたアナログシンセサイザーを用いた電子楽器で管楽器と同様の吹奏楽器である。Lyriconという名称は米国コンピュトーン社(Computone Inc. )固有の商品名で、Lyrical+Controlの造語。電子楽器で一般的なキーボードによる演奏とは異なり息遣いによる繊細な演奏が可能だったが、高額でセッティングが煩雑なこともあってあまり普及せず、最終的にメーカーが倒産して製造中止になった。現在は中古品が取引されるのみである。後にヤマハがコンピュトーン社の特許を買い取り、MIDI規格に対応したWX7を開発した。AKAI professionalなどでもニール・スタイナーのEVI、EWIのライセンス製造(AKAI EWIシリーズ)を行い、この種の楽器を総じてウインドシンセサイザーと呼ぶ。

リリコンはリードを持つ管楽器であり、形状はソプラノサックスに似ているが、クラリネットなどとは異なり、リードは発音体ではなく演奏者の唇の圧力をリップセンサーに伝える役割を果している。またキーも電気スイッチであり、一般的な管楽器の様に穴の開閉を行うわけでは無い。さらに吹き込んだ息の圧力を検知するブレスセンサーが付いている。リリコンは管の末端から伸びたケーブルでシンセサイザーに接続され、リップセンサー、ブレスセンサー、キーの状態の情報を元にオシレータからの発振音を加工して演奏する。一般的なセッティングとして、リップセンサーの情報をVCO、ブレスセンサーの情報をVCFとVCA、キーの状態をVCOに入力することで、シンセサイザーの音源を管楽器のアーティキュレーションで演奏することができる。

当初発売されたリリコンI、リリコンIIには音源として専用のシンセサイザーが付属しており、独特な味わいのある音色が得られた。後に当時の一般的なシンセサイザーを外部接続するコントローラーとして、ウインドシンセサイザードライバーが発売された。

有名な演奏者[編集]

リリコンを多用していた当時のミュージシャンは、ジャズフュージョン系のサックス奏者であるトム・スコットウィンダム・ヒル・レコードに所属していたシャドウファックスのチャック・グリーンバーグが挙げられる。トム・スコットは、スティーリー・ダンの「麗しのペグ」でリリコンを演奏している。日本ではザ・スクエア(現T-SQUARE)のサックス奏者、伊東たけしが使用したことで一躍有名になった。リリコンを使用したT-SQUAREのナンバーに「OMENS OF LOVE」(アルバム『R・E・S・O・R・T』収録)、F1グランプリのテーマ曲に採用され有名となった「TRUTH」(アルバム『TRUTH』収録)などがある。

関連項目[編集]