リュードベリ定数

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リュードベリ定数
Rydberg constant
記号 R
10,973,731.568539(55) m-1
相対標準不確かさ 5.0×10−12
語源 ヨハネス・リュードベリ
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リュードベリ定数(リュードベリていすう、: Rydberg constant)は、原子の発光および吸収スペクトルを説明する際に用いられる物理定数である。一般に、R で表される。名称はスウェーデンの物理学者ヨハネス・リュードベリに因む。

リュードベリ定数の値は

\begin{align}R_\infty &= 10\ 973\ 731.568\ 539(55)\ \text{m}^{-1} \\
 &=1.097\ 373\ 156\ 8539(55)\times 10^7\ \text{m}^{-1}\end{align}

である(2010CODATA推奨値[1])。

リュードベリの公式[編集]

原子は特有な線スペクトルの配列をもつ。 水素原子の線スペクトルはもっとも簡単な配列をしており、バルマーは可視光域の線スペクトルの波長 λ

\lambda =\frac{n^2}{n^2-4}\times 364.56\ \text{nm}

と表されることを発見した。

リュードベリは他の原子の線スペクトルの波長 λ が、適当な正の整数 m, n (n>m) を用いて

\frac{1}{\lambda} =\frac{\nu}{c}
 =R_\infty \left( \frac{1}{(m+a)^2} -\frac{1}{(n+b)^2} \right)

と表されることを発見した[2]。これはリュードベリの公式と呼ばれる。 係数 R は原子の種類によらない普遍定数であり、これがリュードベリ定数である。 a, b は原子ごとの線スペクトルの系列によって近似的に一定の値をとる定数である。 水素原子では a=b=0 であり、バルマーが示した式は m=2 の特別の場合である。

量子論からの導出[編集]

観測結果から求められたリュードベリ定数であったが、20世紀に入り量子力学が発展すると、ボーアゾンマーフェルトによって理論的に他の物理定数と関係づけられることが示された。 ボーアの原子模型によれば、リュードベリ定数は、電子質量 me電気素量 e光速度 cプランク定数 h真空の誘電率 ε0 を用いて、

R_\infty  =\frac{m_\text{e} e^4}{8\epsilon_0^2h^3c}

と表すことができる。 微細構造定数 α を用いると、

R_\infty = \frac{\alpha^2 m_\text{e} c}{2h}

と簡略化できる。また、ハートリーエネルギー Eh を用いて、

R_\infty = \frac{E_\text{h}}{2hc}

と表すこともできる[3]

水素原子のスペクトル[編集]

水素原子の線スペクトルについて、a=b=0 となる。

\frac{1}{\lambda} = \frac{\nu}{c} = R_\infty \left( \frac{1}{m^2} - \frac{1}{n^2} \right)

という関係が成り立つ。

整数 m に関して

と呼称される。

水素原子以外での重要性[編集]

原子や分子において、その中の電子の1つを主量子数 n の大きい原子軌道に励起すれば水素型の励起状態となる。この状態をリュードベリ状態といい、その状態にある原子をリュードベリ原子という。

リュードベリ原子において、軌道半径は n2 に比例して非常に大きく、原子・分子で最も簡単な系でありながら、長さ・時間・エネルギーの尺度について基底状態の原子・分子から大きくかけ異なる性質を示す[4]

脚注[編集]

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参考文献[編集]

関連記事[編集]

外部リンク[編集]