リュビ級原子力潜水艦

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リュビ級原子力潜水艦
カサブランカ
艦級概観
艦種 攻撃型原子力潜水艦
(SNA: sous-marins nucléaires d'attaque
艦名 宝石の名
前級 ダフネ級潜水艦
次級 シュフラン級原子力潜水艦
性能諸元
排水量 水上:2,385t
水中(原型/アメティスト改正後):2,670t/2640t
全長 72.1m/73.6m
全幅 7.6m
吃水 6.4m
機関 原子力タービン・エレクトリック方式 - K48型加圧水型原子炉(48MW)×1基
ターボ交流発電機×2基
9,500shp
最大速力 水中25kt(46km/h
航続距離 (平均/最大):45日/60日
運用深度 300~500m
乗員 65名(士官8名、下士官兵57名)
兵装 533mm(21inch魚雷発射管×4基 - 魚雷L5
F17)およびSM39エグゾセ対艦ミサイル×14、
または機雷
探索装置 DMUX20(複合ソナー
DSUV62C(曳航ソナー・アレイ)
DRUA33(水上探索レーダー
電子機材 TITAC(戦闘情報システム)
SEAO/OPSMER(指揮支援)
Minicin(統合航海)
Syracuse2(衛星通信)
ARUR13(ESM)

リュビ級原子力潜水艦(-きゅうげんしりょくせんすいかん Les sous-marins nucléaires du type Rubis)はフランス海軍最初の攻撃型原子力潜水艦(SNA: sous-marins nucléaires d'attaque)。

概要[編集]

本級の排水量は2,000トン程度で、現用の他国の攻撃型原子力潜水艦に比べてかなり小さい(他国の攻撃型原子力潜水艦は少なくとも4,000トン超の排水量を持つ)。2005年現在、実用の戦闘用原子力潜水艦としては間違いなく最小であり、おそらく今後ともこの記録を保持しつづけるであろう。動力に制限のない原子力潜水艦にとって、過小なサイズは、運用の経済性を損ねるものとなる。事実、本級の兵装搭載量・連続航海日数はかなり小さい。にもかかわらず、このような設計がなされているのは、フランス原子力潜水艦隊の歴史と深く関連している。

第2次大戦後のフランス海軍における原子力潜水艦隊の建設は1950年代に開始され、1958年には最初の船体が発注されているが、ド・ゴール政権成立の翌年(1959年)に、この発注は取り消された。というのも、独自外交路線のもと、フランス独自の管理の下に置かれた核戦力を確保する目的で陸上・航空・海中システムが並行して開発されていたが、とりわけ海軍が重視されたため、つまりはド・ゴールの政治的圧力のもとで弾道ミサイル原子力潜水艦の開発が最優先されたためであった。

まず弾道ミサイル原子力潜水艦を開発し、攻撃型原子力潜水艦の開発を後回しにするというのは明らかに定石破りである。フランス海軍は、弾道ミサイル原子力潜水艦が一定の成功を収めたと評価されるまで、攻撃型原子力潜水艦の開発に着手しなかったため、本級の獲得も1970年代半ばと相当に遅い。また、このことに伴い、本級の開発は、最小限の資源で最も迅速に達成されることが要求されたため、またもや定石破りな手法が用いられた。すなわち、船体設計に通常型潜水艦のアゴスタ級のそれを流用し、さらにソナーや兵装管制システムについても同様のことがなされた。本級の特異性はこうした歴史的経緯によるものである。

また、本級はその推進方式についても独自性がみられる。すなわち、世界的に珍しい原子力タービン・エレクトリック推進の採用である。この方式は、静粛化の面では有利だが、システムの複雑化、信頼性の低下、重量の増大などの問題があるため、他の原潜運用国では一般的ではない。2005年現在、本級の後継のシュフラン級原子力潜水艦も含めて、フランス海軍の原子力潜水艦はすべてこの方式を採用している。

発展と運用[編集]

エグゾセ運用能力[編集]

1984年に就役した2番艦サフィールは、本級で最初にSM39エグゾセ対艦ミサイルを装備した艦となった。1番艦リュビも後日改装により、エグゾセ運用能力を獲得している。

アメティスト改正[編集]

本級5番艦アメティストおよび6番艦ペルルは、4番艦までよりも全長がやや大きく(+0.5m)、水中排水量がやや小さく(-30t)、船型も異なる(クジラ型に対し涙滴型)ので、アメティスト・バッチ、改リュビ級、またはアメティスト級と呼ばれる。本級の命名法(宝石の名にちなむ)に従って、アメティスト(Améthyste)とはもちろん宝石の名であるが、同時に「戦術、流体力学、静粛性、通信、聴音の改良」(Amélioration Tactique, Hydrodynamique, Silence, Transmission, Écoute)の頭文字でもあって、列挙されたような性能向上を目的としたものである。なお、19881995年には、先に就役した4隻にも遡って適用されているので、両者を併せてリュビ=アメティスト級と呼ばれることもある。いずれにせよ、開発および運用上、同一の系列に属していることに変わりはない。

改リュビ級原子力潜水艦の側面図

運用[編集]

本級は、ツーロンおよびロリアンを母港とする2個戦隊に編成されている。また、攻撃型原子力潜水艦としては余り例を見ないが、本級には1隻あたり、完全編成の乗員が2組——赤(Rouge)チームと青(Bleu)チーム——用意されており、少数の艦の稼動効率を高める努力がなされている。

2016年から本級とシュフラン級原子力潜水艦が1対1で置き換えられ、2026年前後に全ての艦が退役する予定である。

事故[編集]

1994年3月30日、本級4番艦エムロードが原子炉事故を起こし、水蒸気爆発のため10名が死亡している。

同型艦[編集]

本級の艦名はすべて宝石の名にちなんでいる。当初は地名がつけられる予定で、1番艦から3番艦には、順にプロヴァンス(Provence)、ブルターニュ(Bretagne)、ブルゴーニュ(Bourgogne)の名が割り当てられていた。艦名の後の日付は順に起工/進水/就役。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]