リズ・オルトラーニ

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リズ・オルトラーニ
Riz Ortolani
基本情報
出生 1926年3月25日
出身地 イタリア王国の旗 イタリア王国 マルケ州ペーザロ・エ・ウルビーノ県ペーザロ
死没 2014年1月23日(満87歳没)
学歴 ジョアキーノ・ロッシーニ音楽院
ジャンル 映画音楽
職業 作曲家指揮者
担当楽器 ピアノフルート指揮
活動期間 1962年 - 2014年
公式サイト Il sito ufficiale di Riz Ortolani

リズ・オルトラーニRiz Ortolani, 1926年3月25日 - 2014年1月23日)は、イタリア作曲家である。映画音楽で特に知られる。

モンド映画イタリア製サスペンス映画マカロニ・ウェスタンといった大衆娯楽映画から芸術映画まで、200以上に及ぶ幅広い分野の映画に楽曲を提供。エログロ映画の多いイタリア娯楽映画を底上げするような流麗で美しい曲によって知られる他、イタリアの巨匠プピ・アヴァティ監督の映画に提供した格調高い音楽への評価も高い。特に『世界残酷物語』(1962年)の主題曲「モア」ではアカデミー賞にノミネートされ、名声を博した。

経歴[編集]

イタリアペーザロで生まれ、同地のジョアキーノ・ロッシーニ音楽院で映画音楽の大家アンジェロ・フランチェスコ・ラヴァニーノイタリア語版に作曲を師事する。音楽院を卒業後にオペラ指揮者としてキャリアをスタートさせた後、ジャズ・オーケストラの編曲者兼指揮者として活躍する。カンツォーネ歌手のカティーナ・ラニエリと結婚後はカンツォーネの作曲・編曲において妻の歌手活動を支えた。

1962年に映画音楽に進出する。初めて映画音楽を担当したグァルティエロ・ヤコペッティ監督の『世界残酷物語』(1962年)は、美しいメロディが話題となり世界的大ヒットとなる。この映画の作曲クレジットはオルトラーニとイタリアのジャズ・ミュージシャンのニーノ・オリヴィエロとの共同名義であるが、サウンドトラックの核となるメロディはオルトラーニが作曲した。この映画にオルトラーニが提供した美しいメロディに、アメリカの音楽プロデューサー兼作詞家のノーマン・ニューウェルが英語の歌詞をつけ、「モア」(More )というタイトルでイギリスの歌手ダニー・ウィリアムズ(「ホワイト・オン・ホワイト」 White on White のヒットで知られる黒人歌手)が歌ったところ、大ヒットとなる。その後、アンディ・ウィリアムズフランク・シナトラといったアメリカの人気歌手もレパートリーに入れたことでさらに楽曲の知名度は高まり、世界中で歌詞がつけられて多くの歌手によってカバーされた。イタリア語版は「心の奥底に」(Ti guarderò nel cuore )という曲名で知られ(マルチェッロ・チョルチョリーニ作詞)、オルトラーニ自身の編曲によって妻のカティーナ・ラニエリも歌っている。

『世界残酷物語』の映画音楽が世界的にヒットしたことによってハリウッドにも進出する。アラン・ドロンイングリッド・バーグマンなど豪華キャストによる『黄色いロールス・ロイス』(1964年)をはじめ、丹波哲郎が出演したイギリス映画『第七の暁』(1964年)、ジーナ・ロロブリジーダ主演の『想い出よ、今晩は!』(1968年)、シャーリー・マクレーン主演の『おかしな夫婦・大逆転!?』(1968年)、ロバート・ミッチャム主演の『アンツィオ大作戦』(1968年)、レナード・ホワイティング主演の『昨日にさようなら』(1970年)、チャールズ・ブロンソン主演の『バラキ』(1972年)など多くのヒット作に華麗な音楽を提供した。

ハリウッドやイギリスの映画音楽を手掛けながら、ハリウッドのプロデューサーからの米国移住の誘いを断ってイタリアに腰を落ち着け、多くのイタリア映画に優れた音楽を提供した。マカロニ・ウェスタンの名作と名高い『怒りの荒野』(1967年)や、ダミアーノ・ダミアーニ監督による政治サスペンス映画『警視の告白』(1971年)など、主にスリリングな映画やアクションの多い映画に流麗なメロディを提供することで知られた。また、フランコ・ゼフィレッリ監督の『ブラザー・サン シスター・ムーン』(1972年)に提供した華麗な音楽も名高く、主題歌は讃美歌としてヨーロッパの教会で歌われている。

晩年はイタリア映画界のベテラン監督プピ・アヴァティの文芸ドラマへの楽曲提供が中心的な活動となり、アヴァティ監督作品の映画音楽で多数の作曲賞・歌曲賞を受賞した。

2014年1月23日、気管支炎の合併症のためローマで死去した[1][2]。生年月日は長らく1931年9月4日とされていたが、死去の際の報道によって実際は1926年3月25日生まれと判明した[3]。87歳没。

主な映画作品[編集]

  • ボローニャの夕暮れIl papà di Giovanna (2008)
  • 『二度目の結婚』 La seconda notte di nozze (2005)
  • 『クリスマスの雪辱』 La rivincita di Natale (2004)
  • 『心は彼方に』 Il cuore altrove (2003)
  • 『ナイト・オブ・ゴッド』 I cavalieri che fecero l'impresa (2000)
  • 『真夏の夜のダンス』 La via degli angeli (1999)
  • 『恋は結婚式の後で…』 Il testimone dello sposo (1997)
  • 地獄の女スナイパーL'angelo con la pistola (1992)
  • キラー・クロコダイル/怒りの逆襲Killer Crocodile 2 (1990)
  • キラー・クロコダイルKiller Crocodile (1989)
  • 『いつか見た風景』 Storia di ragazzi e di ragazze (1989)
  • 『インクアイリー/審問』 L'inchiesta (1987)
  • 『結婚はしたけれど』 Sposi (1987)
  • 『クリスマス・プレゼント』 Regalo di Natale (1986)
  • 『若妻の匂い』 La Bonne (1986)
  • 『卒業パーティ』 Festa di laurea (1985)
  • 『追憶の旅』 Una gita scolastica (1983)
  • 『ゼダー 死霊の復活祭』 Zeder (1982)
  • 『トリエステから来た女』 La ragazza di Trieste (1982)
  • 『バレンチナ物語』 Valentina (1982)
  • 『生体ジャンク!狂殺の館』 Madhouse (1981)
  • 『警告』 L'avvertimento (1980)
  • 『真夜中の殺意』 La casa sperduta nel parco (1980)
  • 食人族Cannibal Holocaust (1980)
  • 『戦争と友情』 Contro 4 bandiere (1978)
  • 『濡れたウィークエンド/女子学生寮半裸惨殺死体の謎』 Enigma rosso (1978) ※"Si può essere più bastardi dell'ispettore Cliff?" (1973)の音楽を流用。
  • 『サハラクロス』 Sahara Cross (1977)
  • 『スキャンダル』 Lo scandalo (1976)
  • 『残酷人喰大陸』 Nuova Guinea, l'isola dei cannibali (1974) ※『甘く危険な女』 (1969)の音楽を流用。
  • ヤコペッティの大残酷Mondo Candido (1974)
  • 『アマゾネス』 Le guerriere dal seno nudo: Le amazzoni di Terence Young (1973)
  • バラキJoe Valachi: I segreti di "Cosa Nostra" (1972)
  • ブラザー・サン シスター・ムーンFratello sole sorella luna (1972)
  • 『マッキラー』 Non si sevizia un paperino (1972)
  • 『警視の告白』 Confessione di un commissario di polizia al procuratore della repubblica (1971)
  • 『さらば荒野』 The Hunting Party (1971)
  • 『裸のチェロ』 Il merlo maschio (1971)
  • ヤコペッティの残酷大陸Addio zio Tom (Zio Tom) (1971)
  • 『昨日にさようなら』 Say Hello to Yesterday (1970)
  • 『ジュールの恋人』 La ragazza di nome Giulio (1970)
  • マッケンジー脱出作戦The McKenzie Break (1970)
  • 『甘く危険な女』 Così dolce... così perversa (1969)
  • 『女の秘めごと』 Una sull'altra (1969)
  • 『アンツィオ大作戦』 Anzio! (1968)
  • 『大泥棒』 The Biggest Bundle of Them All (1968)
  • 『おかしな夫婦・大逆転!?』 The Bliss of Mrs. Blossom (1968)
  • 『想い出よ、今晩は!』 Buona Sera, Mrs. Campbell (1968)
  • 『ミラノの銀行強盗』 Banditi a Milano (1968)
  • 怒りの荒野I giorni dell'ira (1967)
  • 『女と女と女たち』 Sette volte donna (1967)
  • 『ヤコペッティの さらばアフリカ』 Africa addio (1966)
  • 『ブルドッグ作戦』 The Spy with a Cold Nose (1966)
  • 黄色いロールス・ロイス』 -The Yellow Rolls-Royce (1964)
  • 『第七の暁』 The 7th Dawn (1964)
  • 『幽霊屋敷の蛇淫』 Danza macabra (1964)
  • 『顔のない殺人鬼』 La vergine di Norimberga (1963)
  • 世界女族物語La donna nel mondo (1963)
  • 世界残酷物語Mondo cane (1962)
  • 『地球の皮を剥ぐ』Mondo senza veli (1962)

受賞/ノミネート[編集]

  • アカデミー賞
    1964年歌曲賞 『世界残酷物語』ノミネート
    1971年歌曲賞 『MADRON』ノミネート
  • グラミー賞
    1964年映画音楽賞 『世界残酷物語』ノミネート
  • ゴールデン・グローブ賞
    1966年歌曲賞 『黄色いロールス・ロイス』受賞
    作曲賞 『黄色いロールス・ロイス』ノミネート
    1969年歌曲賞 『想い出よ、今晩は!』ノミネート
    1971年歌曲賞 『MADRON』ノミネート
  • ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞
    1986年作曲賞 『卒業パーティ』受賞
    1987年歌曲賞 『クリスマス・プレゼント』受賞
    作曲賞 『クリスマス・プレゼント』ノミネート
    1988年歌曲賞 『ULTIMO MINUTO』受賞
    1990年作曲賞 『いつか見た風景』ノミネート
    1991年作曲賞 『NEL GIARDINO DELLE ROSE』ノミネート
    1993年作曲賞 『MAGNIFICAT』ノミネート
    2003年作曲賞 『心は彼方に』ノミネート
    2004年作曲賞 『クリスマスの雪辱』ノミネート
    2005年作曲賞 『MA QUANDO ARRIVANO LE RAGAZZE?』受賞
    歌曲賞 『MA QUANDO ARRIVANO LE RAGAZZE?』ノミネート
  • 銀のリボン賞
    1972年作曲賞 『裸のチェロ』ノミネート
    1981年作曲賞 『AIUTAMI A SOGNARE』受賞
    1983年作曲賞 『追憶の旅』受賞
    1985年作曲賞 『卒業パーティ』ノミネート
    1987年作曲賞 『インクアイリー/審問』受賞
    1993年作曲賞 『MAGNIFICAT』ノミネート

脚注[編集]

外部リンク[編集]