リカンベント

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リカンベント(ホイールベースが小さいタイプで乗車位置はハイレーサー、ハンドル位置はOSS)
自転車旅行装備のリカンベント

リカンベント英語: recumbent bicycle)とは、自転車の一種である。通常の自転車がサドルに臀部を乗せ直立に近い状態で、足の上下の屈伸運動を動力とするのに対し、リカンベントはサドルの代わりとなる背もたれつきのシートにもたれるように坐り、足を前方に向けた姿勢での屈伸運動を動力とする。英単語の「recumbent」はもたれかかるという意味の言葉であり、もたれかかって運転することからその名が付いた。

解説[編集]

1920年代のリカンベント(ベェロラマ英語版

リカンベントは通常の自転車に比べると運転者の着座位置が低く前面投影面積が小さいことから、空気抵抗が少ない。脚でペダルを押す反力をシートに支えられた腰や背中で受けられるため、脚力の伝達効率が安定している。また、臀部だけでなく腰の広い範囲に体重を分散して支えるので長時間の走行でも負担が少ない。こうした特徴により、平坦で滑らかな道を巡航する用途には適している。一方で、立ちこぎ(ダンシング)ができない構造であるため瞬発的な駆動力を得難く、運転者の重心を左右に移動させにくいため極低速ではバランスを取るのが難しい。こうした特徴から、登坂能力は比較的低いとされている。こぎ方やバランスの取り方に通常の自転車とは違う要領が必要で、通常の自転車に乗れる人でも慣れるまでに数分から一時間程度の練習が必要となる。

前輪駆動式

通常の自転車と同様にクランクから駆動輪へはチェーンで動力を伝達するが、車体の前方にクランクが配置されるリカンベントでは後輪を駆動するとチェーンが長くなり、伝達効率やレイアウトなどの点で不利な点もあることから前輪駆動を採用している車種もある。

前輪駆動を採用する車種の中には操舵輪を後輪とするものも存在するが、一般的な自転車やリカンベントの前輪操舵車種とは全く異なるステアリング特性で、いわば自動車のバック入庫や運搬用台車と同じであり、機敏なコーナリングはできない(事故目前の緊急回避などが不得手ということ)、自在なステアを切れない、自在なバンク角を狙いにくい、など欠点も多く、この不安定性の払拭のため前輪を2輪にする(輸送向けの三輪の自転車やオートバイと同じ三輪化)対策を施している車種もある(ちなみに前輪操舵で前輪二輪の三輪車も存在し、公道向けに市販もされている)。競技用にごくまれに後輪操舵で二輪のモデルが存在するが、これもオーバルトラックやストレートコースでの競技では、急な回避動作や急旋回などが不要のため実現できることであり、駆動系部品が減ることでの軽量化や空力抵抗減が主たる目的であり、公道向けの仕様では無い。

極低速で走行してもバランスを崩さない三輪の車種もあり、そのなかには登坂路などでは減速比を大きくして低速で登れるように81段の変速機を搭載した車種もある[1]

うつぶせに乗る「プローン」型

「リカンベント」とは「仰向け」を意味する"recumbent"に由来していて、乗車姿勢は仰向けに寝そべった形のものである。うつぶせに乗るものは、「うつぶせ」を意味する英語の"prone"に由来してプローン英語版と呼ばれる。2人乗車で1人はうつぶせ、1人は仰向けで乗車するというものも存在した。[要出典]

リカンベントの種類[編集]

リカンベント・トライク(タドポール型)。ハンドル位置はUSS

リカンベントには二輪のものと三輪のものがあり、三輪のものはリカンベント・トライクと呼ばれ、前1輪のものをデルタ(: delta)型、前2輪を「オタマジャクシ」を意味する英語の"tadpole"に由来してタドポールと呼ぶ。

ペダルは前輪より前方、あるいは上方に位置しているものが多い一方、普通の自転車に比べると前寄りだが前輪の後方に位置したものもあり、セミ・リカンベントと呼ばれる。

リカンベントのハンドルは、通常の自転車のようにシートより高く、運転者の前にあるもの (OSS: Over Seat Steering / ASS: Above Seat Steering) とシートより低い位置にあるもの (USS: Under Seat Steering) とがある。シートより高いステアリングの場合はステムを前方に倒すことができる構造で乗り降りの際に運転者の体と干渉しないようにできているものが一般的であるが、一部に固定式のものも存在する。シートより低いステアリングの場合は、腕の力を使ってシートから腰がずれないように姿勢を保つことが容易であるが、舵角が制限される構造で、操縦感覚が一般の自転車と大きく異なる。競技用のもの[要出典]や三輪のもの[2]には後輪操舵のものも存在する。

ローレーサーの一種

乗車位置の高さによりハイレーサーミッドレーサーローレーサーなどと分類する場合がある。乗車位置が低いほど前面投影面積が小さく、空気抵抗を受けにくくなる。ローレーサーの中には、地上から十数センチという低い位置に座面が設置された車両が販売されている。一方で、公道などでは自動車など他者から見落とされて事故に至る危険があるため、相手に目立つように旗を立てる必要もある。また、最低地上高が低くなるので路面の凹凸が大きい場合は車体の一部が路面に接触する可能性もある。

ローレーサーよりさらに空気抵抗を低くするため、車体全体をカーボンファイバー製などのスムーズなフェアリングで覆ったストリームライナーという車種もある。自動車の車体のようにほぼ密閉されているため地面に足をつくことができず、発進、停止には第三者の補助が必要となる。全体を覆うのではなくシートの後ろやクランクの前に取り付けるフェアリングも市販されている。フルカバーの2輪のストリームライナーは量産されておらず、個人による製作がほとんどである。

ストリームライナーと同様に車体全体がフェアリングで覆われているが、日常利用で使いやすいように自立できる3輪にして、サスペンションや荷物スペースなどを設けたものをベロモービルという。数社から組み立てキットなどが販売されている。

有名な愛用者[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 2006”. China Mascot Products Co., Ltd.. 2011年8月10日閲覧。
  2. ^ Mobo Triton Pro The Ultimate Three-Wheeled Cruiser”. ASA Products Inc.. 201108-10閲覧。

関連項目[編集]