リカステ・アロマティカ

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リカステ・アロマティカ
リカステ・アロマティカ
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 単子葉類 monocots
: キジカクシ目 Asparagales
: ラン科 Orchidaceae
亜科 : セッコク亜科 Epidendroideae
: Maxillarieae
亜連 : Lycastinae
: リカステ属 Lycaste
: リカステ・アロマティカ Lycaste
学名
Lycaste aromatica (R. C. Grah. ex Hook.) Lindl.

リカステ・アロマティカ Lycaste aromatica (R. C. Grah. ex Hook.) Lindl. は、リカステ属ランの一つ。香りがよくこの属のものとしては普及している種である。

特徴[編集]

多年生着生植物[1]落葉性で、開花時には葉がない。偽鱗茎は密集して生じ[2]、卵形でやや扁平、高さ7-8cmで、先端に2ないし3枚の葉をつける。また、偽鱗茎の表面には花後に縦溝を生じる[3]。葉は草質、披針形で長さは40-55cmに達する。葉幅は約10cmで、ひだが多い。

開花期は春で、落葉後の新芽が動くと同時に出る[4]。花茎は偽球形の基部から出て直立し、高さは約15cm。花茎には一つだけ花をつけるが、花茎が一つの偽球形から多数出て、一つの株からは同時に多数の花をつける[5]。花は径6-7cm、蝋質で萼片は黄緑色で花弁は濃黄色。側萼片は水平に伸びる[3]。花は斜め上に向いて咲くので、正面から見ると、唇弁の裏側が見える[5]

花は香りが強い。ちなみに学名は「香りがある」の意である[6]

分布と生育環境[編集]

中央アメリカのメキシコ、グアテマラ、ホンジュラスに分布する[7]。高地の雲霧林ではなく、より低い標高のカシ類を主体とする森林に生育する。森林としては乾燥した環境にある[5]

利害[編集]

洋ランの一つとして栽培される。リカステ属では比較的よく普及している種である。 本種は古くから知られた種であり、1826年頃にNeprer により紹介された[6]

この属には高地性で夏の暑さに弱い種が多い中、本種は低標高の地域に生育するものであり、夏の暑さにも強く、栽培がしやすいものである[5]。また、花はやや小輪ながら多数付ける上、香りがよいのが美点である。その香りは「レモンのような」[2]とも、「ニッキのような」[8]とも、あるいは「癖のある刺激臭と甘い香りをミックスしたような」[9]とも言われるが、要するにすっきりしたよい香りである。

本種そのものが原種として普及もしているが、交配親としてもよく使われる。

出典[編集]

  1. ^ 以下、主として土橋(1993)p.236
  2. ^ a b ガーデンライフ編(1969)p.201
  3. ^ a b 唐沢監修(1996)p.337
  4. ^ 青山(1997)p.168
  5. ^ a b c d 斎藤(2009)p.42
  6. ^ a b 塚本他(1956)p.117
  7. ^ 土橋(1993)p.236
  8. ^ 岡田(2010)p.132
  9. ^ 河村(2012)p.44

参考文献[編集]

  • 土橋豊、『洋ラン図鑑』、(1993)、光村推古書院
  • 『綜合種苗ガイド⑤ 洋ラン編 ガーデンライフ別冊』、(1969)、誠文堂新光社
  • 唐澤耕司監修、『蘭 山渓カラー図鑑』(1996)、山と渓谷社
  • 塚本洋太郎・椙山誠治郎・坂西義洋・脇坂誠・堀四郎、『原色薔薇・洋蘭図鑑』、(1956)、保育社
  • 青山幹雄、「マクシラリア」『植物の世界9』〈朝日百科〉、1997年、p.167-169