ラーガ

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ラーガ (रागा / rāga) は、インド音楽音楽理論に現れる旋法

北インドではラーグ (rāg) という。単数形ラーグあるいはラーガ、複数形ラーガム (रागं / rāgam)。

理論[編集]

ラーガは、インドで使用される非常にきめの細かい旋法であり、音階と混同してはならない。音階はあくまでもラーガの1要素に過ぎない。

ラーガは基本的に旋律を構築するための規則で、音列と同時に、メロディーの上行・下降の動きを定めるものである。つまり、音列上の特定の音をより強調する、より控え目にする、装飾音をつける、ビブラート等の規則があり、さらに使用すべき旋律形および避けるべき旋律形等の規則が存在する。それらの規則の枠組みの中で作曲や即興演奏がなされることにより、そのメロディーがどのラーガであるかが判別することが可能となり、その規則のなかでの無限の変奏が可能となる。また、1日の朝、午後、夕方および夜ごとに、特定のラーガがある。

ラーガを西洋の音階で正確に表すことはできないが、ほぼ対応する音があるので、ここでは便宜的に西洋の音階を援用して説明する。

インド音名[1] 略号  西洋音名
シャドジャ Sa
ヴィクリタ・リシャバ ri レ♭
リシャバ Ri
ヴィクリタ・ガーンダーラ ga ミ♭
ガーンダーラ Ga
マディヤマ Ma ファ
ヴィクリタ・マディヤマ ma ファ#
パンチャマ Pa
ヴィクリタ・ダイヴァタ dha ラ♭
ダイヴァタ Dha
ヴィクリタ・ニシャーダ ni シ♭
ニシャーダ Ni

この12の音はスヴァラと呼ばれる。基本のスヴァラSa Ri Ga Ma Pa Dha Niは、西洋のドレミファソラシとほぼ同じものである。

この12のスヴァラから、5–7音を取って音階とする。音階にはそれぞれ名前も付いており例えば

  • ブーパーリー: ドレミソラ / ラソミレド (夜)
  • ドゥルガー・カリヤーン: ドレミファ#ソラシド- / ド-シラソファ#ミレ ファレラ-ド (夜)

である。音が上昇する時、下降する時には決まったスヴァラが用いられ、上昇途中、下降途中にはこれから外れる音は入らない。ただし、奏者が時々あえてこの規則を崩して芸術性を持たせることもある[1]

また、この12の音がスヴァラから外れた音を指定することができ、よりフラットな第2音、よりシャープな第7音に変更も可能である。更に、そのような変化がスタイル間に生じ、演奏者、あるいは単に演奏者のムードに続く。絶対音高は存在せず、各実行は単に基本音を取り、他の音階程度は基音に比べて続く。

地域差[編集]

インド文化はざっと北と南に分割することができ、ラーガ:北インドは1つのセットを持っている。また、南インドは別のものを持っている。ラーガ名が重複していても、ラーガ形式は重複しない。北インドでは、ラーガが、10のタート(thaats)または親の音階(ヴィシュヌ・ナラヤン・バートカンデ(Vishnu Narayan Bhatkhande、1860-1936)による)へ最近分類され、南インドは、72の親ラーガを誇示して、メーラカルタ(melakarta)分類と呼ばれるより古くより系統的な分類スキームを使用する。

実態[編集]

ラーガはこれまでに成文化されたことがなく教師から生徒へ口頭で伝えられたために、中には地域、伝統および様式に応じて非常に異なる変種が存在する。

インドの古典音楽は常にラーガで編曲されるが、すべてのラーガ音楽は必ずしも古典であるとは限らない。

関連項目[編集]

参考文献[編集]

  1. ^ a b B.C.デーヴァ 『インド音楽序説』 東方出版1994年