ラ・メルポメーヌ級水雷艇

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ラ・メルポメーヌ級水雷艇
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艦級概観
種別 水雷艇
艦名
建造者
運用者  フランス海軍
 イギリス海軍
 自由フランス海軍
Flag of Philippe Pétain, Chief of State of Vichy France.svg ヴィシー・フランス海軍
 イタリア王国海軍(Regia Marina)
 ナチス・ドイツ海軍(Kriegsmarine)
建造期間
就役期間
同型艦 12隻
前級
次級 無し
主要諸元
排水量 基準:610t
満載:895t
総トン数 {{{総トン数}}}
全長 80.70m
全幅 7.96m
吃水 3.07m
深さ
機関 蒸気ボイラー×2基
ギヤードタービン×2基
機関出力 22,000馬力、2軸推進
電力
速力 34ノット
燃料
航続距離 1,000海里 / 20ノット
650海里 / 25ノット
潜航深度 {{{潜航深度}}}
乗員 105名
搭載量
装甲
兵装 100mm単装砲×2基
2連装13.2mm対空機関銃×2基
2連装550mm魚雷発射管×1基
搭載機
搭載総数
搭載艇
C4ISTAR
レーダー
ソナー
電子戦
対抗手段
特殊装備
その他

ラ・メルポメーヌ級水雷艇フランス語: Torpilleur classe La Melpomène)とは、第二次世界大戦中にフランス海軍が運用した水雷艇である。

概要[編集]

フランスは1930年にアメリカ・イギリス・日本・イタリアと共にロンドン軍縮会議に出席したが、フランスとイタリアは条件に不満を持っていたため、米英日と違い部分参加にとどまった。

そしてロンドン海軍軍縮条約においては、基準排水量600トン以下の艦艇は規制対象外であることに着目したフランス海軍は、日本海軍の千鳥型水雷艇イタリア海軍スピカ級水雷艇と同様に基準排水量600トン以下にまとめた船体に魚雷をはじめとする武装を施した小型艇を建造することで戦力の強化を図ることにした。

主兵装は船体の大きさによる安定性を考慮してか、魚雷発射管は2連装550mm魚雷発射管が1基のみであり、主砲も100mmの単装砲2基だけである。これはほぼ同一の基準排水量を持つ千鳥型(2連装533mm魚雷発射管×2基、127mm砲×3門)やスピカ級(単装450mm魚雷発射管×4基、100mm砲×3門)よりも軽武装である[1]。ただし、海が荒れる嵐天下での航行には危険が伴っていたようで、1940年12月にはイギリス沖で荒天下航行を行っていた「ブランルバ」が沈没事故を起こしている。

戦歴[編集]

ラ・メルポメーヌ級水雷艇は1933年から起工が開始され、1936年から1938年にかけて12隻が就役した。

1940年のドイツ軍侵攻においては、地上戦主体であったため他のフランス海軍艦艇同様戦局には何ら寄与できず、イギリスへ亡命(一時拿捕され、一部はイギリス海軍に接収されるが多くは後に自由フランス海軍に参加)するか、ヴィシー政府の指揮下に留まるかの二者択一を迫られた。

1942年11月27日、ドイツがヴィシー・フランス海軍の艦艇を接収を試みたため、ヴィシー・フランス海軍に所属していた6隻のうちトゥーロンに停泊中の3隻は自沈したがイタリアによって浮揚され、うち2隻がイタリア海軍に再就役した。さらにイタリアはチュニジアビゼルトにて鹵獲した3隻を含めて5隻のラ・メルポメール級を就役させた。これらは1943年のベニート・ムッソリーニ失脚とイタリア無条件降伏に伴いドイツ海軍に再度接収され、TA9~TA13[2]の識別番号を与えられたうえでドイツ海軍の水雷艇として活動し、全てが撃沈されるか自沈した。

第二次世界大戦を無事に生き延びフランス海軍に再編入された5隻も、そのあまりに小ぶりな船体では近代化改修の余地がほとんど無いこともあり、1950年には全て退役し解体された。



同型艇[編集]

艦名 起工 進水 就役 その後
ラ・メルポメーヌ
La Melpoméne
1933年12月13日
ナントブルターニュ造船所
1935年1月24日 1936年11月20日 1940年7月3日、ポーツマスにてイギリス海軍に拿捕後、同海軍に編入。
同年8月31日、自由フランス海軍に編入。
1950年5月15日、退役。
ラ・フロール
La Flore
1934年3月26日
ナント、ブルターニュ造船所
1935年3月5日 1936年11月25日 1940年7月3日、ポーツマスにてイギリス海軍に拿捕後、同海軍に編入。
同年、自由フランス海軍に編入。
1950年8月31日、退役。
ラ・ポモーヌ
La Pomone
1933年11月22日
サン=ナゼールロワール造船所
1935年1月25日 1936年12月1日 1942年12月8日、ビゼルトにてイタリア海軍に鹵獲。FR42と改名されイタリア海軍に再就役。
1943年4月6日、ドイツ海軍に接収。TA10と改名されドイツ海軍に再就役。
1943年9月23日、イギリス駆逐艦と交戦し大破。同月27日にロドス島に座礁の後自沈。
リフィジェニ
L'Iphigénie
1933年12月14日
サン=ナゼール、ロワール造船所
1935年4月18日 1936年11月1日 1942年12月8日、ビゼルトにてイタリア海軍に鹵獲。FR43と改名されイタリア海軍に再就役。
1943年4月6日、ドイツ海軍に接収。TA11と改名されドイツ海軍に再就役。
1943年9月10日、ピオンビーノ港にてイタリア軍の魚雷艇(MAS)戦車による攻撃を受け、撃沈。
ラ・バヨネーズ
La Bayonnaise
1934年10月18日
ボルドー、シュド=エスト造船所
1936年1月28日 1938年4月1日 1942年11月27日、ドイツ海軍による接収を避けるためトゥーロンにて自沈。
1943年4月28日、イタリア海軍によって浮揚され、修理を受けFR44と改名される。
同年にドイツ海軍に接収。TA13と改名される。
1944年8月25日、トゥーロンにて再度自沈。
ラ・コルドリエール
La Cordeliere
1934年8月16日
ル・アーヴルオーギュスタン・ノルマン造船所
1936年9月9日 1937年12月1日 1940年7月3日、ポーツマスにてイギリス海軍に拿捕後、同海軍に編入。
同年、自由フランス海軍に編入。
1950年2月17日、退役。
ランコンプリーズ
L'Incomprise
1934年10月20日
Le Traitラ・セーヌ=マリタイム造船所
1936年4月14日 1938年3月16日 1940年7月3日、ポーツマスにてイギリス海軍に拿捕後、同海軍に編入。
、自由フランス海軍に編入。1950年8月31日、退役。
ラ・プールシュイヴァント
La Poursuivante
1934年8月13日
ダンケルクフランス=ダンケルク造船所
1936年8月4日 1937年11月5日 1942年11月27日、ドイツ海軍による接収を避けるためにトゥーロンにて自沈。
1943年7月、イタリア海軍によって浮揚されるが、修理されずそのまま廃棄。
ボンバルド
Bombarde
1935年2月18日
サン=ナゼール、ロワール造船所
1936年3月23日 1937年8月16日 1942年12月8日、ビゼルトにてイタリア海軍に鹵獲。FR41と改名されイタリア海軍に再就役。
1943年4月6日、ドイツ海軍に接収。TA9と改名されドイツ海軍に再就役。
1944年8月23日、トゥーロンにて連合軍の爆撃を受け撃沈。
ブランルバ
Branlebas
1934年8月27日
ル・アーヴル、オーギュスタン・ノルマン造船所
1937年4月12日 1938年3月16日 1940年7月3日、ポーツマスにてイギリス海軍に拿捕後、同海軍に編入。
1940年12月14日、エディストーン岩礁沖にて、南南西25ノットの強風下を航行中に沈没。
ブークリエ
Bouclier
1934年10月18日
Le Trait、ラ・セーヌ=マリタイム造船所
1937年8月9日 1938年8月6日 1940年7月3日、ポーツマスにてイギリス海軍に拿捕後、同海軍に編入。
1940年8月31日、オランダ海軍に供与。
1941年1月11日、オランダ海軍からイギリス海軍に返還され、即日自由フランス海軍に編入。
1950年8月31日、退役。
バリスト
Baliste
1934年9月20日
ダンケルク、フランス=ダンケルク造船所
1937年3月17日 1938年5月24日 1942年11月27日、ドイツ海軍による接収を避けるためトゥーロンにて自沈。
1943年5月13日、イタリア海軍によって浮揚され、修理を受けFR45と改名され再就役。
同年9月9日にドイツ海軍に接収。TA12と改名され再就役。
同年11月24日、トゥーロンにてアメリカ軍の爆撃により撃沈。

脚注[編集]

  1. ^ 千鳥型は船体の大きさに比して過剰なまでの重装備が災いして演習中に転覆事故を起こしており、後の改修で兵装削減を強いられた経緯がある。スピカ級については、元々イタリア海軍が波風穏やかな地中海を主要作戦行動海域としていたこともあり、このような転覆・沈没事故は起こっていない。
  2. ^ TAとは、Torpedoboot Ausland:外国製水雷艇の略号。このTA記号を割り振られた船の大半は、イタリア海軍から接収された水雷艇もしくは駆逐艦である。

関連項目[編集]

第二次世界大戦中に運用された水雷艇

大日本帝国海軍

イタリア王国海軍(Regia Marina)

ドイツ海軍(Kreigsmarine)

外部リンク[編集]