ラシード・ドワイヤー

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ラシード・ドワイヤー Portal:陸上競技
選手情報
ラテン文字 Rasheed Dwyer
国籍 ジャマイカの旗 ジャマイカ
競技 陸上競技短距離走
種目 200m
大学 ジャマイカの旗 GCフォスター大学
生年月日 (1989-01-29) 1989年1月29日(35歳)
出身地 ジャマイカの旗 セント・メアリー教区
身長 188cm[1]
体重 80kg[1]
成績
世界選手権 200m:準決勝1組9着(2017年
4x100mR:予選2組1着(2015年
地域大会決勝 英連邦競技大会
200m:優勝(2014年
4x100mR:2位(2010年
国内大会決勝 ジャマイカ選手権
200m:優勝(2014年)
最高世界ランク 200m3位(2015年)
自己ベスト
100m 10秒10(2016年)
10秒08w(2016年)
200m 19秒80(2015年)
獲得メダル
陸上競技
ジャマイカの旗 ジャマイカ
世界選手権
2015 北京 4x100mR
世界リレー
2014 ナッソー 4x200mR
2015 ナッソー 4x200mR
2017 ナッソー 4x200mR
英連邦競技大会
2014 グラスゴー 200m
2010 デリー 4x100mR
パンアメリカン競技大会
2015 トロント 200m
北中米カリブ選手権
2015 サンホセ 200m
中米カリブ競技大会
2010 マヤグエス 200m
2010 マヤグエス 4x100mR
中米カリブ選手権
2009 ハバナ 4x100mR
ユニバーシアード
2011 深圳 200m
2013 カザン 200m
北中米カリブU23選手権
2010 ミラマー 4x100mR
2010 ミラマー 200m
世界ジュニア選手権
2008 ブィドゴシュチュ 4x100mR
アメリカ大陸
コンチネンタルカップ
2014 マラケシュ 200m
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ラシード・ドワイヤーRasheed Dwyer1989年1月29日 ‐ )は、ジャマイカセント・メアリー教区出身の陸上競技選手。専門は短距離走100mで10秒10、200mで19秒80(ジャマイカ歴代4位)の自己ベストを持つ。2015年北京世界選手権男子4×100mリレーの金メダリストである。

200mがメインのスプリンターで、2014年に初の19秒台となる19秒98をマークすると、2015年にはジャマイカ歴代4位の19秒80をマーク。200mでは2017年ロンドン世界選手権で準決勝進出、2014年英連邦競技大会と2015年北中米カリブ選手権で金メダル獲得などの実績を持つ。リレー種目では2015年北京世界選手権の4×100mリレー予選で世界選手権初出場を果たし、ジャマイカの決勝進出に貢献している(予選のみの出場)。

経歴[編集]

2008年[編集]

7月の世界ジュニア選手権男子4×100mリレー予選で3走(オシェイン・ベイリーデクスター・リー、ドワイヤー、ヨハン・ブレーク)を務め、今季ジュニア世界最高記録(当時)の39秒62をマークしての決勝進出に貢献したが、決勝での出番はなかった[2]。決勝でジャマイカは銀メダルを獲得し、予選を走ったドワイヤーもメダルを手にした。

2010年[編集]

7月の中米カリブ競技大会男子200m決勝で20秒49(0.0)の自己ベスト(当時)をマークし、チュランディ・マルティナ(20秒25)に次いで銀メダルを獲得した[3]。3走を務めた男子4×100mリレーも38秒78をマークしての銀メダル獲得に貢献した[4]

10月の英連邦競技大会(コモンウェルスゲームズ)に出場すると、男子200mは準決勝で敗退したが、3走を務めた男子4×100mリレーは38秒79をマークしての銀メダル獲得に貢献した[5]

2011年[編集]

8月のユニバーシアード男子200m決勝を20秒20(-0.3)の自己ベスト(当時)で制し、この種目ではジャマイカ勢初の金メダリストとなった[注 1][6]

2013年[編集]

2連覇がかかった7月のユニバーシアード男子200m決勝で20秒23(+2.4)をマークするも、アナソ・ジョボドワナ(20秒00)に敗れ銀メダルに終わった[7]

2014年[編集]

5月の世界リレー男子4×200m予選で1走(ドワイヤー、ジャーメイン・ブラウンジェイソン・リバーモアウォーレン・ウィア)を務め、1分20秒15の大会記録(当時)をマークしての決勝進出に貢献したが、決勝での出番はなかった[8]

6月のジャマイカ選手権男子200m決勝で20秒04(+0.5)の自己ベスト(当時)をマーク。ウサイン・ボルトやヨハン・ブレーク、前回大会2位のニッケル・アシュミードなどは不在だったものの、前回大会チャンピオンのウォーレン・ウィア(20秒17)や前回大会3位のジェイソン・リバーモア(20秒25)らを破り初優勝を成し遂げた[9]

7月の英連邦競技大会男子200m決勝で20秒14(+0.5)をマークし、同じジャマイカのウォーレン・ウィア(20秒26)とジェイソン・リバーモア(20秒32)を破り金メダルを獲得した[10]

アメリカ大陸代表として出場した9月のコンチネンタルカップ男子200mでは、自身初の19秒台となる19秒98(+0.2)をマーク。アロンソ・エドワードに同タイム着差ありで敗れ2位に終わったが、20秒の壁を突破した9人目のジャマイカ人となった[11]

2015年[編集]

5月の世界リレー男子4×200m決勝で2走(ニッケル・アシュミード、ドワイヤー、ジェイソン・リバーモア、ウォーレン・ウィア)を務め、1分20秒97をマークしての金メダル獲得に貢献した[12]

7月のパンアメリカン競技大会男子200m準決勝でジャマイカ歴代4位の記録となる19秒80(+2.0)をマークし、自己ベストを0秒18も更新するとともに、同じジャマイカ人のドン・クォーリーが1971年大会でマークした19秒86の大会記録も塗り替えた[13]。迎えた決勝では連続での19秒台となる19秒90(+0.3)をマークしたが、アンドレ・ドグラス(19秒88)に敗れ金メダルを逃した(3位のアロンソ・エドワードには同タイム着差ありで競り勝った)[14]

8月の北中米カリブ選手権男子200m準決勝を20秒17(+0.8)の大会タイ記録(当時)で突破すると、決勝では20秒12(+1.8)の大会記録を樹立して優勝し、2014年英連邦競技大会に続いて主要国際大会(シニア)の個人種目で金メダルを獲得した[15]

8月の世界選手権男子200mジャマイカ代表に選出[16]。しかし、19秒80という今シーズン世界ランク2位(当時)の記録を持ち、北中米カリブ選手権チャンピオンというワイルドカードも持っていながら、6月のジャマイカ選手権で20秒69(-2.6)の5位に終わっていたため、5番手の選手として出場はかなわなかった。しかし、男子4×100mリレーでは枠(6枠)が空いたためリレーメンバーに選出されると[17]、予選で3走(ネスタ・カーターアサファ・パウエル、ドワイヤー、ニッケル・アシュミード)を務め、37秒41をマークしての決勝進出に貢献したが、決勝での出番はなかった[18]。決勝でジャマイカは金メダルを獲得し、予選を走ったドワイヤーもメダルを手にした。

2016年[編集]

7月のジャマイカ選手権男子200m予選で20秒46(+1.0)をマークし、タイムで拾われて決勝に進出したが[19]、決勝には出場していない[20]

2017年[編集]

6月のジャマイカ選手権男子200m決勝ではヨハン・ブレーク(19秒97)に次ぐ20秒26(+1.0)で2位に入り、ロンドン世界選手権ジャマイカ代表の座を掴んだ[21]

世界選手権個人種目初出場となった8月のロンドン世界選手権男子200mは、予選を20秒49(-0.6)で突破したものの準決勝は20秒69(+2.1)とタイムを落とし敗退した[22]

自己ベスト[編集]

記録欄の( )内の数字は風速m/s)で、+は追い風を意味する。

種目 記録 年月日 場所 備考
屋外
100m 10秒10 (+1.4) 2016年4月16日 ジャマイカの旗 キングストン
10秒08w (+2.6) 2016年3月12日 ジャマイカの旗 スパニッシュ・タウン 追い風参考記録
200m 19秒80 (+2.0) 2015年7月23日 カナダの旗 トロント ジャマイカ歴代4位

主要大会成績[編集]

備考欄の記録は当時のもの

大会 場所 種目 結果 記録 備考
2008 世界ジュニア選手権 ポーランドの旗 ブィドゴシュチュ 4x100mR 予選 39秒62 (3走) 決勝進出[注 2]
2009 中米カリブ選手権 (en キューバの旗 ハバナ 4x100mR 2位 39秒31 (3走)
2010 北中米カリブU23選手権 (en アメリカ合衆国の旗 ミラマー 200m 3位 20秒64 (+2.8)
4x100mR 2位 39秒36 (4走)
中米カリブ競技大会 (en アメリカ合衆国の旗 マヤグエス 200m 2位 20秒49 (0.0)
4x100mR 2位 38秒78 (3走)
英連邦競技大会 (en インドの旗 デリー 200m 準決勝 21秒13 (+0.4)
4x100mR 2位 38秒79 (3走)
2011 ユニバーシアード (en 中華人民共和国の旗 深圳 200m 優勝 20秒20 (-0.3) 自己ベスト
ジャマイカ男子初優勝
4x100mR 予選 DQ (3走)
2013 ユニバーシアード (en ロシアの旗 カザン 200m 2位 20秒23 (+2.4)
2014 世界リレー (en バハマの旗 ナッソー 4x200mR 予選 1分20秒15 (1走) 決勝進出[注 3]
英連邦競技大会 (en イギリスの旗 グラスゴー 200m 優勝 20秒14 (+0.5)
コンチネンタルカップ (en モロッコの旗 マラケシュ 200m 2位 19秒98 (+0.2) 自身初の19秒台
アメリカ大陸代表
2015 世界リレー (en バハマの旗 ナッソー 4x200mR 優勝 1分20秒97 (2走)
パンアメリカン競技大会 (en カナダの旗 トロント 200m 2位 19秒90 (+0.3) 準決勝19秒80 (+2.0):大会記録・自己ベスト
北中米カリブ選手権 (en コスタリカの旗 サンホセ 200m 優勝 20秒12 (+1.8) 大会記録
世界選手権 中華人民共和国の旗 北京 4x100mR 予選 37秒41 (3走) 決勝進出[注 4]
2017 世界リレー (en バハマの旗 ナッソー 4x200mR 3位 1分21秒09 (3走)
世界選手権 イギリスの旗 ロンドン 200m 準決勝 20秒69 (+2.1)
2018 英連邦競技大会 (en オーストラリアの旗 ゴールドコースト 200m 準決勝 20秒82 (+0.3)

ダイヤモンドリーグ[編集]

ダイヤモンドリーグの総合成績を記載。獲得ポイント欄の( )内は出場したポイント対象レースの数を意味する。

種目 総合順位 獲得ポイント
2013 200m 6位 1 (1レース)
2014 200m 4位 3 (2レース)
2015 200m 3位 4 (1レース)

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 女子は1985年神戸大会グレース・ジャクソンが優勝している。
  2. ^ 予選のみ出場。決勝のジャマイカは39秒25で2位。
  3. ^ 予選のみ出場。決勝のジャマイカは1分18秒63で優勝。
  4. ^ 予選のみ出場。決勝のジャマイカは37秒36で優勝。

出典[編集]

  1. ^ a b MAR Continental Cup 13-14SEP2014 - Media Guide.pdf (PDF, 2.3 MB) 国際陸上競技連盟 2015年8月30日閲覧
  2. ^ 第12回世界ジュニア選手権男子4×100mリレー予選リザルト”. 国際陸上競技連盟. 2016年2月21日閲覧。
  3. ^ Martina completes dash double as Brenes runs 44.84 at the CAC Games”. 国際陸上競技連盟 (2010年7月29日). 2016年2月21日閲覧。
  4. ^ Smith on target for CAC decathlon gold”. Jamaica Observer (2010年7月31日). 2016年2月21日閲覧。
  5. ^ Relay men grab silver”. Jamaica Gleaner (2010年10月13日). 2016年2月21日閲覧。
  6. ^ Jamaica's medal tally now seven”. Jamaica Gleaner (2011年8月20日). 2016年2月21日閲覧。
  7. ^ ATHLETICS: Jamaica cops two more medals on day five of World University Games”. Jamaica Gleaner (2013年7月10日). 2016年2月21日閲覧。
  8. ^ 2014年世界リレー男子4×200m予選リザルト”. 国際陸上競技連盟. 2016年2月21日閲覧。
  9. ^ Dwyer upstages Weir to claim 200 crown”. Jamaica Gleaner (2014年6月30日). 2016年2月21日閲覧。
  10. ^ 'Sweepers' brush aside any doubt about Jamaica's sprint dominance”. Jamaica Observer (2014年8月1日). 2016年2月21日閲覧。
  11. ^ Dwyer joins sub-20 club”. Jamaica Gleaner (2014年9月15日). 2016年2月21日閲覧。
  12. ^ Men's 4x200m – IAAF/BTC World Relays, Bahamas 2015”. 国際陸上競技連盟 (2015年5月4日). 2016年2月21日閲覧。
  13. ^ Dacres captures Pan Am discus gold”. Jamaica Observer (2015年7月24日). 2016年2月21日閲覧。
  14. ^ Dwyer cops silver, Facey bronze in 200m finals”. Jamaica Observer (2015年7月25日). 2016年2月21日閲覧。
  15. ^ Dwyer, Jefferson and Burks the stars of the final day of NACAC Championships”. 国際陸上競技連盟 (2015年8月9日). 2016年2月21日閲覧。
  16. ^ Bolt and Fraser-Pryce front Jamaica’s team for IAAF World Championships, Beijing 2015”. 国際陸上競技連盟 (2015年8月11日). 2016年2月21日閲覧。
  17. ^ Watts clears air on Chambers' exclusion from World Championships team”. Jamaica Gleaner (2015年8月13日). 2016年2月21日閲覧。
  18. ^ 第15回世界選手権男子4×100mリレー予選リザルト”. 国際陸上競技連盟. 2016年2月21日閲覧。
  19. ^ #NatlTrials: Favourites advance to men’s 200m final”. Jamaica Observer (2016年7月2日). 2016年8月7日閲覧。
  20. ^ Supreme Ventures/National Senior Championships Jamaica Athletics Administrative Association National Stadium — 06/30/2016 to 07/03/2016”. Jamaica Observer (2016年7月5日). 2016年8月7日閲覧。
  21. ^ 2017年ジャマイカ選手権リザルト”. ジャマイカ陸上競技連盟 (2017年6月27日). 2017年6月27日閲覧。
  22. ^ 2017年世界選手権男子200m準決勝リザルト”. 国際陸上競技連盟 (2017年8月10日). 2017年8月10日閲覧。

外部リンク[編集]