ヨーネ病

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

ヨーネ病(Johne's disease−paratuberculosis)は、マイコバクテリウム属ヨーネ菌(Mycobacterium avium subsp. paratuberculosis)の感染によって起こる慢性肉芽腫性腸炎である。感受性動物は山羊などの反芻類。分娩1~数週間後の発症が多く、慢性的な下痢、削痩、泌乳量の低下を呈し、発症数ヶ月から1年以内に死亡する。家畜伝染病予防法における法定伝染病。搾乳牛および種畜を対象に5年ごとのELISAによる検査が義務付けられている。感染動物の治療は行わず、淘汰する。

なお、「ヨーネ病」の名前は、この細菌を発見したドイツ人の細菌学者で獣医の Heinrich A. Johne に由来する。

診断方法[編集]

細菌学的診断方法[編集]

  • 直接鏡検法
  • 培養方法
    • マイコバクチン添加Middlebrook7H10卵黄寒天培地が適する。
  • PCR診断法

免疫学的診断方法[編集]

ELISA法
血清中のヨーネ菌に対する抗体を検出するヨーネ病の診断法。
共立製薬が生産販売しているヨーネライサ2を購入して実施する。
市販の牛ヨーネ病診断用エライザキットを使用する。使用方法は製品添付の説明書に従う。
ヨーニン検査
皮内反応によりヨーネ菌感染個体の細胞性免疫反応を検出するヨーネ病の診断法。
ヨーニン皮内反応用抗原を使用して検査する。使用方法は製品添付の説明書に従う。
インターフェロンγ検査

病理学的検査方法[編集]

肉眼的な観察[編集]

病理解剖に際しては空腸回腸・回盲部粘膜の肥厚、顕著な雛壁の形成の有無を確認する。

腸間膜リンパ節の髄様腫脹があることもあるので注意が必要。

病理組織学的検査[編集]

粘膜固有層、粘膜下識及び腸リンパ節における類上皮細胞の「び慢性増殖」とラングハンス巨細胞の出現が特徴所見である。牛の場合には結核のような乾酪性の肉芽腫はほとんど見られない。

1)肉眼観察後に以下の各部位を病理組織検査用として採材する。
  1. 回腸末端部 回盲部より10cm位上
  2. 回盲部から30cm上
  3. 回盲部から50cm上
  4. 回盲部から1m上
  5. 回盲リンパ節
  6. 回腸部腸間膜リンパ節
  7. 空腸部腸間膜リンパ節
  8. 雌の場合には乳房上リンパ節

腸管の採取、固定方法[編集]

腸管は消化酵素に富む組織であるため死後変化をおこしやすいので、以下のとおりに採材する。

病理検査用の腸管は約10cmの長さで、管状に切り取り、管状のまま開かないで、切り取ったあと、一端をピンセットでつまんだまま腸を静かにホルマリン容器に入れ、ピンセットで固定している開口部から50mlのディスポ注射筒で10-20%中性緩衝ホルマリンを注ぎ込み、掴んだピンセットで腸組織を固定液に静かに沈め少し揺する。さらに2回ホルマリンを流し込み、静かに固定ビンに沈める。

2)パラフィンブロック作製、染色、鏡検
病理組織を見るための組織の切り出しでは、腸管固定標本からは2〜3カ所切り出すことが望ましい。そして通常の方法でパラフィン包埋を作り、ミクロトームにて薄切後、ヘマトキシリン・エオジン染色、必要に応じてチール・ネルゼン染色を行い鏡検する。腸の粘膜組織や腸間膜リンパ節において最も高頻度に肉芽腫病変が認められる。

(参考資料:2006年11月に農水省より出された、ヨーネ病検査要領)

国内における発生状況[編集]

昭和5年(1930年)、イギリスから輸入された牛により国内へ侵入した。近年では定期的な検査と消毒により発生は散発的だが、多い年には年間で数百頭の感染も見られる。

平成19年(2007年)10月26日、日本ミルクコミュニティが10月24日から25日にかけて製造した牛乳の中に、ヨーネ病の疑いのある牛から採ったものが入っている可能性があるとして、東京、神奈川、千葉、埼玉、茨城、静岡、長野に出荷された計62万1088本の自主回収を発表した。

海外における発生状況[編集]

クローン病との関連[編集]

近年、Mycobacterium avium subsp. paratuberculosisと、ヒトにおけるクローン病との関連が指摘されている。

参考文献[編集]

  • 清水悠紀臣ほか 『動物の感染症』 近代出版 2002年 ISBN 4874020747

関連項目[編集]

外部リンク[編集]