ヤルコフスキー・オキーフ・ラジエフスキー・パダック効果

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ヤルコフスキー・オキーフ・ラジエフスキー・パダック効果(Yarkovsky–O'Keefe–Radzievskii–Paddack effect)とは、おもに小惑星のように固有の自転運動をする不均一な形状の天体において、太陽から受ける光の圧力(輻射圧)と天体表面からの熱放射のバランスが天体上の場所によって異なることで回転力が生じ、自転速度が変化する効果である。ヤルコフスキーらにより予測され、小惑星の自転周期の観測により証明された。頭文字をとってYORP(ヨープ)効果と略す。

概要[編集]

地球のように球形の天体にはこのような回転力は生じないが、形状が歪な小惑星の場合はこの回転力が自転運動に影響を与えてしまう。この力は非常に小さなものであるが、長い年月を経て積み重なることで観測により検出できるほどの変化量になる。

ラブルパイル天体の場合、YORP効果によって数百万年かけて自転が加速され赤道付近に物質が集まっていくと、やがて集積していた破片が表面から分離し周回軌道に投入され、衛星が形成されるという[1][2][3]

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  • YORP (2000 PH5) - YORP効果が初めて確認された天体。名称もこれに因む。1年に1ミリ秒ずつ自転が加速しており、そのうちバラバラになってしまう可能性が指摘されている。
  • (66391) 1999 KW4 - 二重小惑星。その形成過程にYORP効果が大きく関与しているとされる[3]
  • パンスターズ彗星 (P/2013 P5) - その軌道や組成から、実際は彗星よりも小惑星に近い天体であると推定されている。2013年9月10日に6本の尾が観測されたが、13日後の9月23日に撮影された画像では様子が劇的に変化しており、尾の向きが完全に変わっていた。尾の変化は自転に基づくものと推定された。このことから、YORP効果によって自転速度が増大し、その遠心力によって表面の物質が放出された結果、長い尾のような形状になっているのではないかと推測されている[4][5]
  • P/2013 R3 - 彗星の認識符号が付けられているが、実際は岩石主体で形成された、メインベルトにある小惑星である(2013年9月発見)。2013年後半から2014年初めにかけて、10個以上に分裂した破片が時速約1.6kmというゆっくりとした相対速度でばらばらになっていく様子が観測された。天体同士の衝突破壊ではなかったため、YORP効果による自転速度の増大により遠心力で崩壊していったとみられる[6][7]。このことからラブルパイル天体だと推測されている。
  • イトカワ - はやぶさの観測結果からYORP効果によって自転速度が遅くなることが推定され、観測によりYORP効果が確認されたとの報告があったが[8][9]、これについては解析上のミスによる間違いだったという話が出ている[10]。その後ケント大学のステファン・ローリーらがイトカワの自転にともなう輝度変化を観測し、その自転速度が遅くなるどころか1年に45ミリ秒ずつ速くなっていると発表した[11][12][13]。予測通りにYORP効果が働いていない理由は、くびれた領域を境にしてイトカワの部分ごとに密度が異なるためと考えられている。このことから、イトカワは2つの小天体が衝突で一体化したことで形成されたと推察される。

脚注[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]