ヤマウツボ

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ヤマウツボ
福島県会津地方 2014年5月
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : キク類 Asterids
: シソ目 Lamiales
: ハマウツボ科 Orobanchaceae
: ヤマウツボ属 Lathraea
: ヤマウツボ L. japonica
学名
Lathraea japonica Miq.[1]
シノニム
和名
ヤマウツボ(山靫)[3]
英名
Japanese toothwort

ヤマウツボ(山靫、学名:Lathraea japonica )は、ハマウツボ科ヤマウツボ属多年草葉緑素を欠く寄生植物[4][3][5]

従来の新エングラー体系クロンキスト体系では、ゴマノハグサ目ゴマノハグサ科に含められた[6][7]

特徴[編集]

樹木に寄生する寄生植物。全体に白色で、やや褐紫色を帯びる。地下茎から伸びる多数の根が寄主の根にからみつき、寄主の根の表面を壊して中に入り込んで養分を吸収する。地下茎は枝分かれして地中をはい、白い多肉質の鱗片状のでおおわれる。葉は下部から上部にいくにしたがって大きくなり、心形で先端は円く、長さ5-10mmになる。春に地上に高さ13-30cmになる太い花茎が直立する。花茎には毛が散生するか毛は無い[3][4][6][7]

花期は5-7月。地上の花茎に穂のような総状花序をつけ、多数のをつける。花の基部に膜質で先がとがった狭卵形の苞葉がある。は鐘形で4裂し、裂片は3角状卵形で先はとがる。萼には腺毛が散生し、花時の大きさは長さ6mm、果時には長さ10mmになる。花柄は短く、花冠はやや赤紫色を帯びた白色で、長さ約12mmの唇形になり、上唇は2裂し、下唇は上唇の半分以下の長さで3裂する。雄蕊は4個あり、下側2本がやや長い。子房は2室あり、細長い花柱が1本ある。果実は萼に包まれ、長さ5mm、幅3mmになる倒卵形の蒴果で、先はとがる。熟すと2裂し、1-2個の種子を出す[3][4][6][7]

和名ヤマウツボの由来は、花穂がを入れる(うつぼ)に似ており、また、似たハマウツボに比べ山に生えることによる[3][4][6][7]

分布と生育環境[編集]

日本では、本州(関東地方以西とされることが多い)、四国、九州に分布し、低山のやや湿り気のある落葉樹林中に生育する[3][4][6][7]ブナ科カバノキ科ヤナギ科などの植物の根に寄生する[3][6]。国外では、朝鮮の鬱陵島に分布する[6]

ギャラリー[編集]

下位分類[編集]

  • ケヤマウツボ Lathraea japonica Miq. var. miqueliana (Franch. et Sav.) Ohwi - 写真のものはケヤマウツボであるが、基本種のヤマウツボと区別しないとの見方がある[8][9]
  • シロケヤマウツボ Lathraea japonica Miq. var. miqueliana (Franch. et Sav.) Ohwi f. alba Hid.Takah. et Katsuy.[10]

脚注[編集]

  1. ^ ヤマウツボ 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  2. ^ ヤマウツボ 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  3. ^ a b c d e f g 『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花(増補改訂新版)』p.452
  4. ^ a b c d e 「朝日百科『世界の植物』1」pp.263-265
  5. ^ 大場『植物分類表』p.212-213
  6. ^ a b c d e f g 『日本の野生植物草本III合弁花類p.115
  7. ^ a b c d e 『新牧野日本植物圖鑑』p.692
  8. ^ ケヤマウツボ 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  9. ^ Lathraea japonica var. miqueliana The Plant List
  10. ^ シロケヤマウツボ 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)

参考文献[編集]

外部リンク[編集]