モーダスポネンス

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モーダスポネンスラテン語: modus ponensMP)とは、論理学における妥当で単純な「論証」である。ラテン語で「肯定によって肯定する様式」の意。前件肯定 (affirming the antecedent) または分離規則 (the law of detachment) とも呼ぶ。

概要[編集]

推論の最も典型的な形式であり、一般に次のような形式である。

P ならば Q である。
P である。
従って、Q である。

論理演算の記法では次のようになる。

((P \to Q) \land P) \vdash Q

ここで、\vdash論理的帰結関係を表す。

モーダスポネンスを次のように表記する場合もある。

\qquad\frac{(P \rightarrow Q), P}{Q}

これらはいずれも前提条件が2つ存在する。第一の条件は条件文または論理包含演算であり、Q が P を包含することを示す。第二の条件は P であり、第一の条件の条件部分が真であることを主張している。これら2つの前提から論理的に Q が真であることが導かれる。

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以下にモーダスポネンス的な文章の例を示す。

今日が火曜日なら、私は働きに行く。
今日は火曜日だ。
だから、私は働きに行く。

この論述は正しい。しかしそのことは論述に含まれる命題の各々が正しいかどうか(真であるかどうか)とは無関係である。モーダスポネンスとして「健全 (sound)」な論述は、その結論が真となるいかなる状況に於ても、全ての前提が真であるべきである。論述が正しくとも前提の一部が真でない場合には「不健全 (unsound)」となり得るのであり、論述が正しくかつ全ての前提が真の場合には「健全 (sound)」である。

ほとんどの論理体系でモーダスポネンスが採用されている。

論証がモーダスポネンスで、その前提が真なら、その論証は健全である。
前提は真である。
従って、その論証は健全である。

応用[編集]

命題論理では、モーダスポネンスが推論規則とされている。

メタ論理では、モーダスポネンスはカット規則である。カット除去定理によれば、シークエント計算のようなある種の論理計算ではカットは妥当な、許容される推論規則 (admissible rule) である。

mmp[編集]

モーダスポネンスの拡張として multiple modus ponensmmp)があり、以下のような形式である。

P ならば、Q である。
Q ならば、R である。
P である。
従って、R である。

論理演算の記法で表すと次のようになる。

P → Q
Q → R
P
├ R

関連項目[編集]

外部リンク[編集]