モーゼルHSc

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モーゼルHSc
Mauser HSc 1849.jpg
モーゼルHSc .32ACPモデル
概要
種類 軍用自動拳銃
製造国 ナチス・ドイツの旗 ドイツ国
設計・製造 モーゼル社
性能
口径 .32口径(7.65mm)
.38口径(9mm)
銃身長 86mm
ライフリング  
使用弾薬 .32ACP弾(7.65mm×17)
.380ACP弾(9mm×17)
装弾数 8+1発(.32ACP弾)
7+1発(.380ACP弾)
作動方式 ダブルアクション
ストレートブローバック
全長 160mm
重量 596g
発射速度  
銃口初速 290m/s
有効射程 40m

モーゼルHSc (Mauser HSc) は、1937年ドイツモーゼル社で開発された、ダブルアクション式のセミオートマチック拳銃の事。

概要[編集]

3種類の口径があり、小さい順に22口径 (5.6mm)、32口径 (7.65mm)、38口径 (9mm) となる。HSは"Hahn-Selbstspanner"の略(ドイツ語で「ダブルアクション」)で、cは3番目に開発された事を表している。

警察用に開発されたワルサーPPPPKも含む)と比べるとHSc独特の直線を基準にしたデザインは、軍用拳銃の条件の一つである「製作が容易で、戦時下で需要が増した場合でも大量生産できる事」を計算にいれて設計されたと思われる。

日本ではどちらかというとモーゼルC96の方が有名でHScは地味な方であるが、大藪春彦の初期の作品にはよく登場するので名前だけは知っている人が多い。

沿革[編集]

第二次世界大戦中はナチス・ドイツ軍の将校用(国家秘密警察機構-ゲシュタポの幹部も使用したと言う説もある)に生産されていたがモーゼル社は戦後、銃器の製造を禁じられ残存パーツでフランスが短期間、製造した。モーゼル社自体、工場をはじめ生産設備の大半を戦災で失ったうえに連合国軍、特に旧ソ連の主張でモーゼル社は解散させられてしまい長期間製造は行われなかったが、1949年に旧モーゼル社の技術者と従業員が主として創立したヘッケラー&コッホ (H&K) 社の民間用小火器製造部門が1960年代に分離独立して、新生モーゼル社を設立し、1968年ルガーP08型拳銃(商品名 モーゼル・ニューパラベラムP-08)と、同時に再生産される様になり各国に輸出され、同じ口径のワルサーPPと共に、護身用として使用されている。モーゼル社製のHScは、1977年に「One of five thousand」と銘打った5000丁が最後のモデルで、以後の生産はイタリアのレナートガンバ社で行ない、モーゼル社が供給する体制で現在に至っている。

バリエーション[編集]

  • レナートガンバ/モーゼルHSc80

HScをベースに装弾数の増加等の改良型で、モーゼル社のライセンス生産を取り、レナートガンバ社がイタリア国内で生産したもの。アメリカ合衆国向けにはモーゼルHScスーパーの名称でインター・アームズ社が輸入し販売している。HScの名がついているが、デザインは少々、変えてある。

モデルガン化されたHSc[編集]

レプリカ製ガスガンのHSc

モデルガン界では1968年(昭和43年)よりMGCがタニオ・アクション式(当時は、スライド・アクションと呼ばれていた。モデルガンの項目を参照。ただし従来のスライドアクションと違い、ハンマーのダブルアクション機構を利用した形式で、部品構成は従来のスライドアクションモデルよりも実銃に近づいていた)という作動方式のモデルガンと、シングル・ダブルのハンマーアクションを再現したスタンダードアクションのモデルガンを製造し販売していた。モデルガン化されたHScは、このMGCと外見だけコピーしスライドアクション(MGC PPKのコピー)の国際産業(後にコクサイ)の2社3機種だけである。52年規制後もMGCのタニオ式は銃身分離形式でありながら細々と流通を続け、実際に生産が中止になったのは1983年であったが1984年まで専門誌の広告に載っていた事が確認されている。皮肉なことに内部構造の再現度の低い国際のモデルガンの方が残っている物が少ない為か希少価値があるようだ。中古のモデルガンも専門店では非売品で一応展示されている模様(SMG-1977年12月1日に施行された銃刀法に基づくモデルガン規制に対応ではないので売買は違法になる)。MGC製は合法品で売買出来る物もあるが、あくまでもSMG刻印がスライドにある物のみなので、購入の際は注意が必要である。箱入りの極上品は高値で売買されている。なお1980年代後半よりレプリカ(現 マルシン)によって、ABS製の固定スライドのガスガンが販売された(写真)。模型としての再現度はモデルガンより劣るものの、安価なうえ形と大きさを知る手がかりとしては充分なものである。

HScが使用されている作品[編集]

映画[編集]

ボンドが使用
主人公アッシュの拳銃。クライマックスではC96も使用する。

小説[編集]

伊達邦彦愛銃ほか、初期作品に多く登場する。

漫画[編集]

「コンクリートゲリラ」、「黄金の新幹線」編で使用。

関連項目[編集]

モーゼル