モリブデン酸ナトリウム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
モリブデン酸ナトリウム
{{{画像alt1}}}
{{{画像alt2}}}
識別情報
CAS登録番号 7631-95-0 チェック , 10102-40-6(2水和物)
PubChem 4384450
EC番号 231-551-7
RTECS番号 QA5075000
特性
化学式 Na2MoO4
モル質量 205.92 g/mol(無水物)
241.95 g/mol(2水和物)
外観 白色粉末
密度 3.78 g/cm3, 固体
融点

687 °C

への溶解度 84 g/100 ml (100 °C)
屈折率 (nD) 1.714
危険性
安全データシート(外部リンク) External MSDS
EU Index なし
NFPA 704
0
2
0
引火点 不燃性
関連する物質
その他の陰イオン クロム酸ナトリウム
タングステン酸ナトリウム
その他の陽イオン モリブデン酸アンモニウム
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

モリブデン酸ナトリウム (: sodium molybdate) は、化学式が Na2MoO4 と表される、モリブデンの原料となる物質である[1]。2水和物 Na2MoO4・2H2O として存在することが多い。

モリブデン(VI)アニオンは四面体型で、1つのアニオンごとに2つのナトリウムカチオンが対応している[2]

歴史[編集]

モリブデン酸ナトリウムは、最初は水和反応によって合成された[3]。しかし、50 °Cから70 °Cに熱した水酸化ナトリウム中に酸化モリブデン(VI)を溶かし、結晶化して濾過することで収率良く合成できる[2]。100 °Cに加熱することで無水塩が得られる。

利用[編集]

農業では、肥料として年間450トンが使われている。特にブロッコリーカリフラワーでは、モリブデンが欠乏した土壌では葉がよじれるWhiptailという症状が見られ、その治療にモリブデン酸ナトリウムが用いられる[4][5]。しかし、0.3 ppmを超えると動物、特にウシに銅欠乏症を引き起こすので、注意が必要である[2]

工業では、腐食抑制剤として用いられる[2]

反応[編集]

水素化ホウ素ナトリウムと反応させると、モリブデンが還元されて酸化数が減少する[6]

モリブデン酸ナトリウムはジチオリン酸と次のように反応し[2]

を形成する。

安全性[編集]

溶融マグネシウムと接触すると爆発する。五フッ化臭素三フッ化塩素のようなハロゲン間化合物と激しく反応する。熱したナトリウムカリウムリチウムと反応して白熱する[7]

関連項目[編集]

モリブデンを補因子として含む酵素

出典[編集]

  1. ^ Greenwood, Norman N.; Earnshaw, A. (1984), Chemistry of the Elements, Oxford: Pergamon, ISBN 0-08-022057-6
  2. ^ a b c d e Braithwaite, E.R.; Haber, J. Molybdenum: An outline of its Chemistry and Uses. 1994. Elsevier Science B.V. Amsterdam, The Netherlands.
  3. ^ Spitsyn, Vikt. I.; Kuleshov, I. M. Zhurnal Obshchei Khimii 1951. 21. 1701-15.
  4. ^ Plant, W. (1950). “Use of Lime and Sodium Molybdate for the Control of ‘Whiptail’ in Broccoli”. Nature 165 (4196): 533. doi:10.1038/165533b0. 
  5. ^ Davies, E. B. (1945). “A Case of Molybdenum Deficiency in New Zealand”. Nature 156 (3961): 392. doi:10.1038/156392b0. 
  6. ^ Chi Fo Tsang and Arumugam Manthiram. Journal of Materials Chemistry 1997. 7(6). 1003–1006.
  7. ^ http://www.mallbaker.com/americas/msds/english/s4394_msds_us_default.pdf[リンク切れ]

外部リンク[編集]