モデル変換

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モデル駆動工学におけるモデル変換 (model transformation) とは、モデルのファミリが一貫性を保っていることを保証する自動化可能な方法であり、ソフトウェア技術者が正確に定義できる。モデル変換の目的は、モデルの構築と修正の自動化を可能にすることで、成果を保存し誤りを低減させることである。

概要[編集]

モデル変換はモデルを入力とするプログラムとみなすことができる。モデル変換の種類と用法は様々であり、特に入力と出力の表現方法が様々である。

モデル変換では通常、入力として受け付け可能なモデルと、もしあれば出力として生成するモデルを指定するのに、それらが準拠しなければならないメタモデルを指定する。

モデル変換の分類[編集]

モデル変換とそのための言語は様々な観点から分類できる[1][2]。主な分類を以下に示す。

入出力の数と種類による分類[編集]

モデル変換では、複数種類の入力モデルと複数種類の出力モデルを扱うこともある。モデル変換が従うべき唯一の絶対的制限は、少なくとも1つのモデルを入力としなければならないという点である。ただし、モデルを出力しないモデル変換は一般にモデル分析 (model analysis) あるいはモデルクエリ (model query) と呼ばれる。

内因的か外因的か[編集]

入力と出力のモデルが同じ言語の場合、その変換を「内因的」(endogenous) と呼ぶ。逆に言語が異なっているなら、その変換を「外因的」(exogenous) と呼ぶ[3]。例えば、OMGモデル駆動型アーキテクチャにおいてはプラットフォーム独立モデルからプラットフォーム特化モデルへの変換が行われるが、これは外因的モデル変換である。

一方向性か双方向性か[編集]

一方向性モデル変換には唯一の実行モードしかなく、常に同種の入力を受け付けて、別の同種の出力を生成する。一方向性モデル変換はコンパイル的状況で便利であり、そこでの出力モデルは常にリードオンリーである。その際の一貫性は非常に単純であり、入力モデルは変換によって出力されるモデルと一貫しているだけである。

双方向性モデル変換では、同種のモデルが入力にも出力にもなる。双方向性モデル変換は、人々が複数のモデルを扱い、それらの間で一貫性を保たなければならない場合に必要となる。例えば、あるモデルに変更を加えたとき、一貫性を保つために他のモデルも変更する必要が生じる。モデルには他のモデルに反映されない情報が含まれることがあるので、あるモデルと一貫している多くのモデルが存在することもある。次のような重要な特殊ケースがある。

全単射的変換
任意の与えられたモデルについて一貫するモデルが常に1つ存在する。すなわち、一貫性関係は全単射である。それらモデルの対は、一貫性全単射で関係しているときのみ一貫している。どちらのモデルも同じ情報を持つが、表現が異なる。
ビュー変換
ある具体的モデルが単一のビューモデルを決定するが、同じビューモデルが複数の様々な具体的モデルから生成されることもある。ビューモデルは具体的モデルを抽象化したものである。ビューが更新されたとき、双方向性の変換が必要になる。例えば関係データベースビューを更新した際にそのような状況になる。任意の具体的モデルは、対応するビューと一貫している。

双方向性モデル変換を正しく機能させるには、適切な属性を持っていることが特に重要である。例えば、不必要な変更を加えないことや意図的に加えられた変更を捨てないことなどである[4]

モデル変換言語[編集]

モデル変換は汎用プログラミング言語でも記述できるが、専用のモデル変換言語を使うこともできる。双方向性モデル変換は特にどちらの方向も適切に関連していることを保証する言語で記述するのが最良である。OMGの標準化したモデル変換言語群はQVTと総称されている。

QVTの言語群など一部のモデル変換言語においては、モデル変換自身もモデルである。すなわち、そのモデル変換言語の定義の一部であるメタモデルに従っている。このため、高階変換 (Higher Order Transformation、HOT) の定義が盛んに行われている[5]。高階変換とは、モデル変換を入力とし、別のモデル変換を出力する変換である。

脚注[編集]

  1. ^ Czarnecki; Helsen (2006). “Feature-based survey of model transformation approaches”. IBM Systems Journal. doi:10.1147/sj.453.0621. 
  2. ^ Stevens, Perdita (2008). A landscape of bidirectional model transformations. Berlin / Heidelberg: Springer. doi:10.1007/978-3-540-88643-3_10. 
  3. ^ Tom Mens, Pieter Van Gorp: A Taxonomy of Model Transformation. Electr. Notes Theor. Comput. Sci. 152: 125-142 (2006)
  4. ^ Stevens, Perdita (2010). “Bidirectional model transformations in QVT: semantic issues and open questions”. Software and Systems Modeling (Berlin / Heidelberg: Springer). doi:10.1007/s10270-008-0109-9. 
  5. ^ Tisi, Massimo (2009). “On the Use of Higher-Order Model Transformations”. ECMDA-FA '09. LNCS (Berlin / Heidelberg: Springer) 5562. doi:10.1007/978-3-642-02674-4_3. 

参考文献[編集]

  • Model Driven Software Engineering in Practice, Marco Brambilla, Jordi Cabot, Manuel Wimmer, foreword by Richard Soley (OMG Chairman), Morgan & Claypool, USA, 2012, Synthesis Lectures on Software Engineering #1. 182 pages. ISBN paperback: 9781608458820, ISBN ebook: 9781608458837. http://www.mdse-book.com
  • Model Driven Architecture: Applying MDA to Enterprise Computing, David S. Frankel, John Wiley & Sons, ISBN 0-471-31920-1
  • Czarnecki, K, and Helsen, S : Classification of Model Transformation Approaches. In: Proceedings of the OOPSLA'03 Workshop on the Generative Techniques in the Context Of Model-Driven Architecture, Anaheim, California, USA. Webpublished.

関連項目[編集]

外部リンク[編集]