モズヒタキ科

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ウズラチメドリ科
アカハラモズヒタキ
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 鳥綱 Aves
: スズメ目 Passeriformes
亜目 : スズメ亜目 Passeri
上科 : カラス上科 Corvoidea
: モズヒタキ科 Pachycephalidae
学名
Pachycephalidae Mayr1941
和名
モズヒタキ(百舌鶲)
英名
Whistlers

モズヒタキ科(モズヒタキか、学名 Pachycephalidae)は、鳥類スズメ目の科である。モズビタキ科フエドリ科とも。

モズヒタキ(百舌鶲)と総称される。

特徴[編集]

東洋区オーストラリア区オセアニア区南アジア東南アジアオーストラリアニューギニア太平洋諸島)に生息する。

主に昆虫捕食する。

系統と分類[編集]

系統樹は Norman et al. (2009)[1]などより。


モズヒタキ科

? ホオダレモズガラ Eulacestoma




ハシブトモズビタキ Falcunculus





? セレベスモズヒタキ Coracornis



モズヒタキ属 Pachycephala



クロモリモズ Melanorectes





モズツグミ属 Colluricincla



Pseudorectes







コウライウグイス科 Oriolidae



モズ科 Laniidae
オウチュウ科 Dicruridae
オウギビタキ科 Rhipiduridae
カササギヒタキ科 Monarchidae
カラス科 Corvidae
オオツチスドリ科 Corcoracidae
フウチョウ科 Paradisaeidae



モズヒタキ科はカラス上科に含まれ、カラス上科の中ではカラス科など7科からなる系統と近縁だが、コウライウグイス科 Oriolidae がさらに近縁な可能性がある[2][3]

歴史[編集]

分類の変遷

伝統分類
≒ De 1946
S&A 1990 IOC1.6 (2008)
≒ Di 2003
IOC2.5 (2010) 実際の系統位置
和名 学名
ニュージーランドツグミ Turnagra 1 モズヒタキ
亜科






モズヒタキ族 incertae sedis incertae sedis ニワシドリ上科
キンガオモズガラ Pachycare 1 モズヒタキ科 トゲハシムシクイ科 トゲハシムシクイ科
モフアムシクイ属 Mohoua 2 オーストラリア
ムシクイ科
モフアムシクイ族 トゲハシムシクイ科 incertae sedis



単型科 ?
アカガオゴジュウカラ属 Daphoenositta 3 ゴジュウカラ科 オーストラリア
ゴジュウカラ族
オーストラリア
ゴジュウカラ科
オーストラリア
ゴジュウカラ科
オーストラリア
ゴジュウカラ科
フイリモズビタキ Rhagologus 1








モズガラ族 モズヒタキ科 モズヒタキ科 単型科 ?
メガネヒタキ科 ?
ホオダレモズガラ Eulacestoma 1 モズヒタキ族 モズガラ科 incertae sedis 単型科 ?
モズヒタキ科 ?
ハシブトモズビタキ Falcunculus 1 モズガラ族









セレベスモズヒタキ Coracornis 1




モズヒタキ科
モズヒタキ属 Pachycephala 40
クロモリモズ Melanorectes 1 モズツグミ科
モズツグミ属 Colluricincla 7
ムナフ/サビイロモリモズ Pseudorectes 2
カワリ/ズグロモリモズ Pitohui 2 コウライウグイス科
カンムリモリモズ Ornorectes 1 カンムリ
モズビタキ科
カンムリモズピタキ Oreoica 1 モズガラ族
アカエリモズヒタキ Aleadryas 1 モズヒタキ族 モズヒタキ科
ミドリモズヒタキ Hylocitrea 1 ミドリモズヒタキ科 ミドリモズヒタキ科

Delacour (1946) により、拡大したヒタキ科 Muscicapidae のモズヒタキ亜科 Pachycephalinae とされた。ただし当時のヒタキ科の亜科はのちの科に相当する。ハシブトモズビタキ亜科 Falcunculinae が分離されることもあった。

Beecher (1953) はカササギヒタキ科 Monarchidae に含めた。

Sibley & Ahlquist (1990) は、モフアムシクイ属・アカガオゴジュウカラ属を加え、拡大したカラス科にモズヒタキ亜科として含めた。これはのちの科に相当する。モズヒタキ亜科は4族(亜科に相当)に分けられ、うち2族は新たに加えられた属からなる単型属、2族は伝統的なモズヒタキ科を2分したものである。アカガオゴジュウカラ属を加えることはのちの分子シーケンス系統 (Scott 1997) でも支持されたが、他は支持されなかった。

Dickinson (2003) は、モズヒタキ科からモズガラ科 Falcunculidae・モズツグミ科 Colluricinclidae に分離した。表のIOCチェックリスト1.6はその2科に関しては Dickinson に従っている(その他は同じとは限らない)。これらとモズヒタキ科の計3科は近縁と考えられた[4]

その後 Jønsson et al. (2008)[5]や Norman et al. (2009) などにより、モズヒタキ科に含まれる属と除外される属がほぼ確定した。

除外された属[編集]

伝統的にモズヒタキ科とされていたニュージーランドツグミ Turnagraミドリモズヒタキ Hylocitreaキンガオモズガラ Pachycare は、系統的に大きく離れている。ニュージーランドツグミはおそらく、ニワシドリ上科ニワシドリ科 Ptilonorhynchidae + キノボリ科 Climacteridae 系統)に近縁か含まれる[6]。ミドリモズヒタキはスズメ小目レンジャク上科の単型科ミドリモズヒタキ科 Hylocitreidae に分離された。キンガオモズガラはミツスイ上科トゲハシムシクイ科 Acanthizidae に移された。

Sibley & Ahlquist (1990) によりモズヒタキ科に移されたアカガオゴジュウカラ属 Daphoenosittaモフアムシクイ属 Mohoua は、いずれもモズヒタキ科には含まれない。アカガオゴジュウカラ属はカラス上科内の単型科オーストラリアゴジュウカラ科 Neosittidae に属す。モフアムシクイ属はカラス上科内の離れた位置にある[1]

伝統的にモズヒタキ科とされていたホオダレモズガラ Eulacestoma の系統位置には議論があり、モズヒタキ科内の基底[1]またはカラス上科内の離れた位置[5]にある。

フイリモズビタキ Rhagologus はカラス上科内の離れた位置にある。おそらくメガネヒタキ科‐ヤブモズ科系統内部にあり、メガネヒタキ科に含まれるかもしれない[1]

カンムリモズピタキ Oreoicaアカエリモズヒタキ Aleadryasカンムリモリモズ Oreoicidae は、カラス上科内の離れた位置にあり、カンムリモズビタキ科 Oreoicidae に分離される[1]

有毒鳥類を中心に6種がまとめられていた Pitohuiは多系統であり、系統的には4属に分割される[5]。そのうち Pitohui 属はコウライウグイス科 Oriolidae に、カンムリモリモズ Oreoicidae は新設されたカンムリモズビタキ科に移された。モズヒタキ科には Pseudorectes 属(モズツグミ属 Colluricincla に含める説あり)とクロモリモズ Melanorectes が残るが、科内では互いに近縁ではない。

属と種[編集]

国際鳥類学会議 (IOC) より[7]。ただし Norman et al. などに基づき Pitohui 属は4属に分割し、科の範囲を系統的に修正した。

出典[編集]

  1. ^ a b c d e Norman, J.A.; Ericson, P.G.P.; et al. (2009), “A multi-gene phylogeny reveals novel relationships for aberrant genera of Australo-Papuan core Corvoidea and polyphyly of the Pachycephalidae and Psophodidae (Aves: Passeriformes)”, Mol. Phylogenet. Evol. 52: 488–497, http://www.nrm.se/download/18.2656c41712139f1fb5b80006027/Norman+et+al+2009+core+Corvoidea.pdf 
  2. ^ Jønssona, K.A.; Irestedt, M.; et al. (2008), “Explosive avian radiations and multi-directional dispersal across Wallacea: Evidence from the Campephagidae and other Crown Corvida (Aves)”, Mol. Phylogenet. Evol. 47 (1): 221–236, doi:10.1016/j.ympev.2008.01.017 
  3. ^ Irestedt, M.; Fuchs, J.; et al. (2008), “The systematic affinity of the enigmatic Lamprolia victoriae (Aves: Passeriformes)―an example of avian dispersal between New Guinea and Fiji over Miocene intermittent land bridges?”, Mol. Phylogenet. Evol. 48: 1218–1222, http://www.nrm.se/download/18.7d9d550411abf68c801800012645/Irestedt+et+al+Lamprolia.pdf 
  4. ^ Cracraft, J.; Baker, F.K. (2009), “Passerine birds (Passeriformes)”, in Hedges, S.B.; Kumar, S., The Timetree of Life, Oxford University Press, ISBN 978-0199535033 
  5. ^ a b c Jønsson, K.A.; Bowie, R.C.K.; et al. (2008), “Polyphyletic origin of toxic Pitohui birds suggests widespread occurrence of toxicity in corvoid birds”, Biol. Lett. 4: 71–74, http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2412923/pdf/rsbl20070464.pdf 
  6. ^ Christidis, L.; Leeton, P.R.; Westerman, M. (1996), “Were bowerbirds part of the New Zealand fauna?”, Proc. Natl. Acad. Sci. 93: 3898–3901, http://www.pnas.org/content/93/9/3898.full.pdf 
  7. ^ Gill, Frank; Donsker, David, eds. (2010), IOC World Bird Names (version 2.5), http://www.worldbirdnames.org/