メープルシロップ

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ケベック州産のメープルシロップ

メープルシロップ (maple syrup) は、サトウカエデなどの樹液を濃縮した甘味料。独特の風味があり、ホットケーキワッフルにかけたり、菓子の原料として用いられる。

常温で固体状になるまで濃縮されたものはメープルシュガー (maple sugar) と呼ばれる。メープルシロップを加熱濃縮後、急冷しつつ撹拌しクリーム(バター)状にしたものはメープルバター (maple butter) と言う。

純粋なメープルシロップは、産出する樹種の分布から、カナダ南東部~アメリカ北東部の生産が多く、カナダケベック州オンタリオ州アメリカニューイングランド地方などで生産されたものがよく知られている。わずかではあるが、日本でも埼玉県秩父市山形県金山町などで生産されている。かつて、アメリカ産のメープルシロップに豚の油が入っているという噂が立ったが、アメリカ・ヴィーガン・ソサエティ(US Vegan Society)が調査した結果、そのような事実は無いことが確認された。

採取[編集]

伝統的な樹液の採取法は、サトウカエデの幹に傷をつけ、そこからあふれ出す樹液をバケツに集める方法がとられた。現代ではビニールホース方式にとってかわられたところが多い。

メープルシロップの収穫は主に、「シュガーブッシュ」などと言われるサトウカエデの木立の中で行われる。サトウカエデの樹液を集めて「シュガーシャック」と言われる小屋の中で沸騰させ濃縮させる。

樹種としてはサトウカエデ (sugar maple) が最もよく知られており、これから作られたメープルシロップの量・品質が高い。その他、クロカエデ (black maple)、アメリカハナノキ (red maple)、ギンカエデ (silver maple)、シロスジカエデ (striped maple)、アメリカヤマモミジ (mountain maple)、ノルウェーカエデ (Norway maple) など、日本ではあまりなじみのないカエデ類からも生産されている。

樹液は、2–4月の春先、寒暖の差が最も大きくなる季節に、直径 30 センチメートル以上の木に小穴をあけて採取される。採取の時期は気候によって異なる。2%–2.5% の糖分が含まれ、季節によって異なるが、1本の木から約 40–80 リットル採れる。

ケベック州は世界最大の産地で、2001年には1,560万リットルの収穫量があった。ケベックやオンタリオ州のメープルシロップ産地では、シロップ収穫は文化の一部となっており、毎年2月の収穫の時期にはシュガーシャックで祭りが催される。シロップ収穫期間中、ホットケーキワッフルを食べさせるシュガーシャックも多く、人気のあるシュガーシャックには行列ができる。ケベック州やオンタリオ州では、雪の上にメープルシロップを流しかけ、棒に巻きつけたりそのまま棒状で食べたりする「メープルタフィー」が存在する。

地球温暖化が進むとカエデの分布が現在よりも北に移動することが予想されるため、メープルシロップの産地では温暖化の地域経済に与える影響が懸念されている。

等級[編集]

カナダでは下記の等級(Grade)に分けられている。シロップの琥珀色は、薄いほど高級となる。

  • Canada No. 1 - エキストラ・ライト(Extra Light)
  • Canada No. 1 - ライト(Light)
  • Canada No. 1 - ミディアム(Medium)

以上のNo. 1 等級は、糖分66%以上に煮詰めたものを指し、混ぜ物は全くなく色のみが異なる。

  • Canada No. 2 - アンバー(Amber)
  • Canada No. 3 - ダーク(Dark)

No. 2 以下の等級は、一般に加工用に回されることが多い。

(出典:オンタリオ・メープルシロップ生産者協会(Ontario Maple Syrup Producers' Association)ウェブサイト[1]等より)

アンバーは脂肪分はゼロで最もカロリーが少なく、カルシウムなどのミネラルを豊富に含む上、独特の香りにはストレス解消効果もあるとされている(浅場康司『チャヤのからだにやさしいスイーツ』講談社、2006年)。

変り種[編集]

ケンタッキー州では胡桃(くるみ)の木から採取したウォールナット・シロップ (Walnut Syrup) という変わり種もある。また、シベリアやアラスカでは樺の木 (Birch tree) から採取したシロップがある。いずれもメープルシロップには及ばないが、貴重な糖分を得る方法となっている。さらに、カナダの一部の州では、樹木から採取した樹液に紅葉したカエデをつけ込むことで、一般的なシロップよりも色彩を派手にしたクリムゾンメープルシロップ(crimson maple Syrup)を作る風習が受け継がれている。

模造品[編集]

純正品のメープルシロップは200mlあたり800円台からの購入が可能な比較的高価なものであるが、コーンシロップにメープルの風味や香りを添加した模造品が"ケーキシロップ"などとの名称で純正品より広く、かつ200mlあたり200円台からという安さで広まっている。

参考文献[編集]

  • 吉沢博子, 千安知詠子 『メープルシロップレシピ BOOK ― キレイになる健康になる』 (水曜社、2005/06) ISBN 4-88065-146-X
  • 川村和子 『モントリオールの日本人-メープルシロップを使った家庭料理の本』(日健フーズ、2005/08)
  • 伊藤汎監修『砂糖の文化誌 ―日本人と砂糖』 八坂書房 2008 ISBN 9784896949223
  • 有元葉子 『有元葉子 メープルクッキング』 (ソニーマガジンズ、2009/10) ISBN 4-78973-3831

関連項目[編集]

外部リンク[編集]