メルセデス・ベンツ・W202

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メルセデス・ベンツ・Cクラス > メルセデス・ベンツ・W202

W202/S202は、メルセデス・ベンツの初代Cクラスを指すコードネームである。数字の頭に付けられている英字は、“W”がセダン、“S”はステーションワゴンを表す。

概要[編集]

メルセデス・ベンツ・Cクラス (初代)
202020 / 202022 / 202023 / 202026 / 202028 / 202029 / 202125型
前期型
後期型
概要
販売期間 1993年5月 - 2000年7月(生産終了)
デザイン オリビエ・ブーレイ
ムラト・ギュナク
ボディ
乗車定員 4-5名
ボディタイプ 4ドアセダン
5ドアステーションワゴン
駆動方式 FR
パワートレイン
エンジン ガソリン:
M111 1.8L 直列4気筒
M111 2.0L 直列4気筒DOHC
M111.944 2.0L 直列4気筒
M111 2.2L 直列4気筒DOHC
M111 2.3L 直列4気筒DOHC
M104 2.8L 直列6気筒DOHC
M104 3.6L 直列6気筒DOHC
M112 2.6L V型6気筒SOHC
M112 2.8L V型6気筒SOHC
M113-E43 4.3L V型8気筒SOHC
M113-E55 5.4L V型8気筒SOHC
ディーゼル:
OM601 2.0L 直列4気筒
OM604 2.0/2.2L 直列4気筒
OM605 2.5L 直列5気筒DOHC
OM605 2.5L 直列5気筒DOHCターボ
コモンレールディーゼル(CDI):
OM611 2.0L 直列4気筒DOHC
OM611 2.2L 直列4気筒DOHC
変速機 4速AT/機械式5速AT/電子制御5速AT
前:ダブルウィッシュボーン
後:マルチリンク
前:ダブルウィッシュボーン
後:マルチリンク
車両寸法
ホイールベース 2,690mm
全長 4.495-4,525mm
全幅 1,720-1,770mm
全高 1,390-1,420mm
車両重量 1,360-1,560kg
その他
最小回転半径 4.9m
系譜
先代 190E
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190シリーズ (W201) の後継車種として1993年5月にデビュー。デザイナーはオリビエ・ブーレイで、彼は同時期のスバル・レガシィ (2代目:BD/BG系) でもチーフデザイナーを務めている。上下に伸びた三角形のテールライトが特徴で、トランクリッドがバンパー位置から開閉可能となった。190シリーズ比に比べて全長が70mm、ホイールベースが20mm拡大したことにより後席の居住性が改善されている。

欧州では「クラシック」「エレガンス」「エスプリ」「スポーツ」と4種のトリム (インテリアの内張り、エスプリ/スポーツは1インチダウンのスポーツサス) が用意され、各グレードで任意に選択可能となっていた。日本にはセダンとステーションワゴン、AMGが独自にチューニングを施したモデルも導入された。ステーションワゴンのリアシートは6:4の分割可倒式、上級グレードのエレガンスは運転席パワーシートが標準。

ステアリング操作時は左右の前輪上面が旋回方向へ傾くため、よりボディの小さいCセグメントBセグメントに匹敵する最小回転半径4.9mとなっている。

歴史[編集]

日本国内では1993年10月、セダンのC220、C250ディーゼル、C280、C280 スポーツライン、AMG C280、C36を発売。C280 スポーツラインは15インチアルミホイール·スポーツサスペンション· ワイドタイヤを装備、最低地上高もC280に比べて25mm低まったことで走行性を高めた。前後席にはスポーツシートを採用し定員は4名 (後の小変更で5名) となっている。

AMG C280はエンジンまでは手が入っていないものの、C280 スポーツラインにAMG製のエアロパーツ·ショックアブソーバー·センター&リアマフラー·17インチアルミホイールが装着された、正規のAMGモデルである。リアシートはスポーツシートではなく5名定員となるが、オプションの1:2分割可倒式シート付き (スポーツシートでは選択不可) の車両も存在し、CクラスのAMGでは唯一となるセダンボディで、幅広かつ長尺の荷物も積める貴重な存在であった。

また、1996年まではAMGの工場で車体を完成させており、各パーツの取り付けのほか、ホイールアーチ裏側の「爪折」もC36 AMG同様に施されている。正規AMGジャパン輸入車両は車検証の登録形式番号が通常のC280とは異なり、BピラーにAMGジャパンのプレートが付く。カーボン調内装パネルの灰皿のAMGロゴと創立者ハンス・ヴェルナー・アウフレヒトのサインは、1995年式までパネルが別パーツとなる嵌め込みタイプであったが、1996年式はプリントに変更されている。日本国内での販売期間は僅か9ヶ月で、輸入台数は非常に少ない。

1994年、2.0LエンジンのC200、装備を充実させたC200 エレガンスが登場。1996年、ディーゼルエンジン搭載のC250Dがカタログ落ち、C220の排気量がアップされC230となった。また、Cクラス初のステーションワゴンであるC230 ステーションワゴンを追加。合わせて全車に5速ATを採用。

1997年にマイナーチェンジ。外装は前後バンパーが新意匠となり、サイドスカートが装着されテールレンズがスモークカラーに変更されると共に内装トリムも変更された。エンジンは従来の直列6気筒V型6気筒またはV型8気筒に置き換わり、直列4気筒は2.0Lのみとなる。それに伴い、C230、C280 スポーツライン、C36 AMGに代わり、C240、C43 AMGが新たに設定された。1998年にはC55 AMG、C200 ステーションワゴン、C43 AMG ステーションワゴンを追加。1999年、全車にマニュアルモード (ティップシフト) 付き5速ATが搭載され、ESPが標準装備となった。

メカニズム[編集]

エンジンは、1992年に一新したW124系 (ミディアムクラス) に準ずる1.8、2.0、2.2Lの直列4気筒、2.8L 直列6気筒、2.0、2.2L 直列4気筒ディーゼル、2.5L 直列5気筒ディーゼル。直列4気筒ディーゼル以外は全てDOHCとなっているが、1997年に追加された2.4、2.8LのV型6気筒と4.3、5.4LのV型8気筒はSOHCとなる。

サスペンションは、フロントにダブルウィッシュボーン、リアはマルチリンクを採用。トランスミッションは初期型に4速AT、マイナーチェンジの後期型はマニュアルモード (ティップシフト) 付き電子制御5速ATとなっている。

グレード[編集]

グレード一覧
グレード 製造期間 排気量 エンジン 最高出力・最大トルク 変速機 駆動方式
C55 AMG 1998年-2000年 5.4L V型8気筒SOHC 347ps/52.0kg・m 5速AT FR
C43 AMG
C43 AMG ステーションワゴン
1997年-2000年 4.3L V型8気筒SOHC 306ps/41.8kg・m
C36 AMG 1993年-1997年 3.6L 直列6気筒DOHC 280ps/39.2kg・m 4速AT
C280 AMG 1993年-1996年 2.8L 200ps/28.2kg・m
C280
C280 スポーツライン
1993年-1996年
1996年-1997年 機械式5速AT
C280 1997年-2000年 2.8L V型6気筒SOHC 193ps/27.5kg・m 5速AT
C250D 1993年-1996年 2.5L 直列5気筒DOHC 115ps/17.3kg・m 4速AT
C240 1997年-2000年 2.4L V型6気筒SOHC 170ps/22.9kg・m 5速AT
C240 ステーションワゴン 1997年-1999年
2000年 2.6L 170ps/24.5kg・m
C230
C230 ステーションワゴン
1996年-1997年 2.3L 直列4気筒DOHC 150ps/22.4kg・m 機械式5速AT
C220 1993年-1996年 2.2L 150ps/21.4kg・m 4速AT
C200
C200 エレガンス
1994年-1996年 2.0L 136ps/19.2kg・m
1996年-1997年 機械式5速AT
1997年-2000年 5速AT
C200 ステーションワゴン 1998年-2000年

関連項目[編集]

外部リンク[編集]