メジャー・リーグ薬物使用疑惑

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メジャー・リーグ薬物使用疑惑(メジャー・リーグやくぶつしようぎわく)とは、メジャーリーグベースボール(MLB)の選手が成績向上のために禁止薬物を使用しているとされる疑惑である。バルコ・スキャンダルミッチェル報告書によってその内情が明らかになり、米球界にとってはブラックソックス事件以来の重大スキャンダルに発展した[1]

1990年代にMLBの選手がステロイドを使用していることはすでに報道されていたが、その問題をコミッショナーのバド・セリグや選手会は軽視していた。2003年に罰則なしの薬物検査が導入され、2004年には5回の違反で1年間の出場停止とする罰則が設けられたが、批判をかわすには不十分なものだった[2]。しかし同年12月、バルコ・スキャンダルに関わる証人喚問でバリー・ボンズジェイソン・ジアンビらがステロイドの使用を認める証言を行ったことが判明し、MLBはさらなる規制強化に踏み切らざるを得なくなった。2005年1月には、それまでシーズン中1度までだった薬物検査が、回数無制限の抜き打ち検査に変更された[3]。2006年シーズンからは、3度の違反で永久追放となる「三振制度(three-strikes policy)」が導入された[2]

さらにセリグは、元民主党上院議員のジョージ・ミッチェルに薬物使用の実態調査を依頼した。ミッチェル報告書と呼ばれるこの調査の報告書は、2007年12月13日に発表された。この報告書で薬物を使用したとされる選手の中には日本プロ野球に所属した経験のある選手の名前もあったが、日本野球機構(NPB)のコミッショナーである根來泰周はNPBの薬物対策に問題はないとし、報告書とは無関係の立場を取った[1]

このように薬物汚染が広がった背景には、1994年のストライキによって起こったMLBの観客離れがある。1998年に起こったマーク・マグワイアサミー・ソーサのホームラン数争いで人気を取り戻すため、薬物問題が放置されたのだと指摘されている[4]

バリー・ボンズは連邦大陪審で、ミゲル・テハダロジャー・クレメンスは下院公聴会でそれぞれ薬物使用に否定的な証言をしたため、連邦大陪審によって偽証の疑いで起訴された。テハダは2009年、偽証罪で1年間の保護観察処分を受けた[5]。ボンズは2011年に審理妨害で有罪となったが、偽証については結論が出なかった[6]。クレメンスは2012年に無罪の評決が下った[7]

関連項目 [編集]

脚注 [編集]

  1. ^ a b ミッチェル・リポート”. 文藝春秋 (2007年12月20日). 2011年7月8日閲覧。
  2. ^ a b Wilson, Duff; Schmidt, Michael S. (2007年12月13日). “Baseball Braces for Steroid Report From Mitchell”. ニューヨーク・タイムズ. http://www.nytimes.com/2007/12/13/sports/baseball/13mitchell.htm 2011年7月8日閲覧。 
  3. ^ 李啓充 (2005年1月19日). “薬剤スキャンダルの新展開と「ジアンビ効果」”. Number. 2011年7月8日閲覧。
  4. ^ 菊地靖 (2007年12月18日). “ミッチェル・レポートの本来の意義を失わせるな”. Number. 2011年7月8日閲覧。
  5. ^ テハダ 偽証罪で保護観察処分を言い渡される”. AFP通信 (2009年3月27日). 2011年7月8日閲覧。
  6. ^ ボンズ、審理妨害のみ有罪 薬物使用は結論得られず”. 共同通信 (2011年4月14日). 2011年6月26日閲覧。
  7. ^ 元MLB投手クレメンスに無罪評決”. AFP通信 (2012年6月19日). 2012年6月19日閲覧。