ムハマド・ユヌス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
ムハマド・ユヌス
ノーベル賞受賞者 ノーベル賞
受賞年:2006年
受賞部門:ノーベル平和賞
受賞理由:貧困層の経済的・社会的基盤の構築に対する貢献

ムハマド・ユヌスベンガル語: মুহাম্মদ ইউনুস Muhammad Yunus、1940年6月28日 - )は、ノーベル平和賞受賞者、バングラデシュにあるグラミン銀行 創設者、経済学者である。マイクロクレジットの創始者。学位経済学博士ヴァンダービルト大学)。

人物[編集]

英国統治下にあったバングラデシュの南部チッタゴンの宝石店の二男として生まれる。チッタゴンカレッジを経て、ダッカ大学で修士号を取得し卒業。フルブライト奨学金を得て渡米し、1969年ヴァンダービルト大学で経済学の博士号を取得した。テネシー州で同郷の友人とともに「バングラデシュ市民委員会」を組織、祖国の独立を支援した。 1969年から1972年までミドルテネシー州立大学で経済学の助教授を務める。その後、バングラデシュ独立の翌年の1972年に帰国し、チッタゴン大学経済学部長に就任した。1976年に貧困救済プロジェクトをジョブラ村にて開始し、銀行に融資するように働きかけ自ら村民の保証人にまでなったが、銀行の融資は受けられず、1983年に同プロジェクトはバングラデシュ政府の法律により独立銀行(政府認可の特殊銀行)となる。無担保で少額の資金を貸し出すマイクロ・クレジット。8万4000村で558万人ほどの貧しい女性を主対象に貸し出している。このマイクロ・クレジットは貧困対策の新方策として国際的に注目され、主に第三世界へ広がっている。 グラミン銀行は多分野で事業を展開し、「グラミン・ファミリー」と呼ばれるグループへと成長をとげた。2006年のノーベル平和賞が授与された。2007年2月、新党「市民の力」を発足。2011年3月2日、バングラデシュ中央銀行は商業銀行総裁の60歳定年を定めた法律を違反して、ユヌスが総裁を続けているとして、グラミン銀行総裁を解任[1]したと発表したが、役員会から永久総裁として認められているとユヌスは反論している。2013年、ユヌスは日本人デザイナー稲吉紘実のデザインによる「ユヌス・ソーシャル・ビジネス マーク」を発表した。また2013年、バングラデシュ当局は2005年から2011年の収入について課税免除を受けていたとして法的処置の指示を出したが、ユヌスは全面否定している[2]

思想[編集]

資本主義

ユヌスは、現在の資本主義が、人間について利益の最大化のみを目指す一次元的な存在であると見なしているとする。これに対して人間は多元的な存在であり、ビジネスは利益の最大化のみを目的とするわけではないとユヌスは主張する[3]

ソーシャル・ビジネス

ユヌスは、利益の最大化を目指すビジネス(PMB)とは異なるビジネスモデルとして、「ソーシャル・ビジネス」を提唱した。ソーシャル・ビジネスとは、特定の社会的目標を追求するために行なわれ、その目標を達成する間に総費用の回収を目指すと定義している。また、ユヌスは2種類のソーシャル・ビジネスの可能性をあげている。一つ目は社会的利益を追求する企業であり、二つ目は貧しい人々により所有され、最大限の利益を追求して彼らの貧困を軽減するビジネスである[4]

著書[編集]

  • Banker to the Poor (1998) 邦訳『ムハマド・ユヌス自伝 : 貧困なき世界をめざす銀行家』 ムハマド・ユヌス、アラン・ジョリ著、猪熊弘子訳、早川書房、1998年 ISBN 4152081899
  • A World Without Poverty (2008) 邦訳『貧困のない世界を創る : ソーシャル・ビジネスと新しい資本主義』 ムハマド・ユヌス著、猪熊弘子訳、早川書房、2008年 ISBN 415208944X

受賞歴[編集]

など多数にのぼる(List of awards received by Muhammad Yunusも参照)。

備考[編集]

  • 高校2年英語教科書『Genius』(大修館)のレッスン4に彼の活躍が英文となっている。
  • 高校3年生用英語教科書『CROWN English Reading』(三省堂)レッスン6で、グラミン銀行とユヌスが教材となっている。
  • 中澤幸夫『テーマ別英単語 ACADEMIC [初級]』(Z会) 第1章 経済・ビジネス

脚注[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ ノーベル平和賞のユヌス・グラミン銀総裁、バングラ中銀が解任h(2011年3月3日 Thomson Reuters)
  2. ^ ノーベル平和賞受賞者が脱税? ユヌス氏に法的措置へ msn産経ニュース 2013-9-11
  3. ^ 『貧困のない世界を創る』 猪熊弘子訳、51頁
  4. ^ 『貧困のない世界を創る』 猪熊弘子訳、54頁、65頁

外部リンク[編集]

動画[編集]