ミュンヘン工科大学

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
ミュンヘン工科大学メインキャンパス
上空から見たミュンヘン工科大学(こげ茶色の建物のあるエリアがキャンパス)
ミュンヘンキャンパス内にあるすり鉢状の巨大円形講義室。あだ名はアウディマックス。
数学ならびにコンピュータサイエンス学科の校舎内にある巨大滑り台
ガーヒングキャンパス内にある機械工学部
1900年に印刷された同大学のリトグラフ版画

ミュンヘン工科大学(ミュンヘンこうかだいがく、Technische Universität München, 略称:TUM)は、ドイツミュンヘンにある大学の一つ。

概要[編集]

1868年、バイエルンルートヴィヒ2世により創立され、1877年に王立ミュンヘン高等技術学校と改称、変遷を経て1970年より現行名称となる。ノーベル賞受賞者を17人輩出しており、ドイツではエリート大学として有名である。政府による研究予算を重点配分する政策(エクセレンス・イニシアティブ(Exzellenzinitiative)政策)[1]の指定大学になっており、研究予算が重点配分されている[2]。学術研究費の国庫補助は国内第3位(工科大学としては1位)。2009年のTHESによるランキングではドイツ国内トップとなっている。2010年のドイツ国内ランキング2位、タイムズによる2010年の世界ランキングは101位だった。

2002年には付属のビジネススクールを設立し、英語のみでビジネス系の学位を取得するプログラムも多数用意されている。2011年のドイツ大学教育研究所(CHE)による経営学ランキングで、学習状況、自由な学習の可能性、国際性、研究費用の4部門においてドイツ国内トップにランク付けされた[3][4]

ドイツ語圏ではテーウー ミュンヘン(TU München)、または、トゥム(TUM)と呼ばれている。

学部[編集]

ミュンヘン工科大学が擁する学部は以下の通り。キャンパスは3つあり、机上で勉強する講義の場合はミュンヘン市内のキャンパスで講義が行われるが、大きな機械や装置や土地が必要な授業の場合はガーヒング(ミュンヘンから北に17km)やヴァイエンシュテファン(ミュンヘンから北に35km)で行われる。大学1,2年生やビジネススクールの学生はミュンヘン市内で講義があり、電気や機械や建築など技術的な学科の高学年の授業や実験は郊外のキャンパスで行われる傾向がある。

ビジネススクール[編集]

ミュンヘン工科大学付属ビジネススクール(TUM School of Management)では、MBA、EMBA、消費者経営学科、環境経営学科などのビジネス系の学科を擁している。学士を取得する為の授業はドイツ語で行われるが、修士以上の学位には英語で授業と試験を行う学科が多い。修士論文や博士論文の言語も英語に指定されている。

学費[編集]

1セメスター当たり学費500ユーロと手数料42ユーロで、合計542ユーロ。年間(2セメスター)で1,084ユーロ。ただし、ビジネススクールのMBAプログラムは28,000ユーロ、EMBAは32,000ユーロ。MBA, EMBA以外の学科は、ビジネススクールであっても他の学科と同じく1セメスターで542ユーロ。2013年10月からは学費徴収制度が廃止され無料になる事が決定した。[5]

試験と学生生活[編集]

セメスター末に試験が行われる。再試験は無料だが落ちると除名となる。試験の結果によっては実質的な退学に追い込まれ、学生ではなくなる人もいるため学生証はセメスター毎に(半年毎に)更新する。

予定通りに卒業できる学生の数は入学時の約30%程度。約50%は再試験を繰り返して予定より長く時間がかかって大学を卒業するか、または、インターンシップのために休学して卒業時期が遅れる者もいる。残りの20%は試験に合格できずに退学。退学後は他の大学(少しレベルの低い大学)に願書を出して大学生活をやり直す学生が多い。

不景気の影響により企業側が実社会経験者を求める傾向にあり、在学中にインターンの経験がないと就職が難しい状況にある。このため意図的に休学をしてインターン経験を積む学生も多い。学費が安いため、親側も半年や1年の休学をしてインターンを推奨する家庭が多い。

少子化対策として、ミュンヘン工科大学はミュンヘン大学と共有の幼稚園を保有している。在学中に子供が生まれた学生は学費を無料とし、大学幼稚園も無料になる。近年ドイツでは結婚制度が見直されているため、婚姻関係がないカップル間に生まれた子供を認知した学生も同じく学費が免除となり、大学幼稚園が無料になる。

学生証には電子マネー機能が付いており、学生食堂や大学が運営するショップで買い物ができる。この機能はミュンヘン大学と共有しており、2つの大学の学生はどちらの大学内の学食やショップでも買い物ができる仕組みになっている。

入学基準[編集]

一次試験として以下の書類審査がある。試験の一発勝負ではなく過去数年に渡る平均成績によって合否判定される。二次試験では面接が行われる。ユニークで将来の展望のしっかりした者が選ばれる。

  • 過去の学業の成績

学部の場合は高校の成績を、大学院の場合は高校から大学までの成績を提出する。合格には上位10%である事が望ましい。

  • 語学の成績

ドイツ語で授業が行われる学科の場合はDaFまたはDSHのスコアを提出する。英語の授業の場合はTOEFLなどのスコアを提出する。合格には上位10%である事が望ましい。

  • 志望動機

学科により志望動機の提出も要求される。その学科で何を学び、将来どうなりたいかについての志望動機を文書で提出する。この文書は審査委員会によって点数が付けられ、わりと上位である事が望ましい。自分の言葉で書く事が基本で、他人の文書のコピーや引用が発見された場合は、たとえ学業や語学の成績が良くてもその時点で不合格となる。

  • 面接

何を学び、将来どうなりたいかについて30〜60分の面接が行われる。面接官は教授だけではなく在学中の学生や大学院生で構成され、面接に点数がつけられる。後日、面接官より結果の点数が知らされる。ユニークなアイデアを持った学生や、同じ学科や研究室で一緒に学びたいと共感を持てる学生や、大学の将来や名誉に有望だと思う学生が高い点をもらえる傾向にある。一次で提出した語学の成績が良くても、面接官と対等にディベートできない場合は面接結果に点数が付けられないまま落とされる場合もある。面接を行わない学科もある。


派生ビジネス[編集]

  • ビール酒造

ヴァイエンシュテファン(ミュンヘンから北35km)のキャンパス内に1040年に酒造を開始した世界最古のビール工場がある。この地にはもともとヴァイエンシュテファン修道院があり、修道院が運営する酒造工場があったが(昔のドイツでは安全な水の確保が難しく、修道院が信者に提供する衛生な飲み物としてビール酒造を始めた歴史がある)、1803年にバイエルン州が工場を買い取ったため、1868年に大学が創立された時にキャンパスとなった。食品科学学部、環境学部、農学部がビール酒造を通して研究を行っている。大学は研究を行うだけで販売はしていない。販売などのビジネスはバイエルン州が保有している会社となっており「Weihenstephan」と言うブランド名でビール、白ビール黒ビールなど14種のビールを製造販売している[6]。ドイツ全土で購入可能。[7]ヴァイエンシュテファンはもちろん、ミュンヘンとガーヒングのキャンパス内のショップでも割安でビールが購入でき、ドイツの法律ではビールは16歳以上から飲酒可能なので学生証の電子マネーで購入すれば身分証明書を求められる事はない。

  • 乳製品

農学部と酪農学部が研究を行って来た乳製品の分野が、バイエルン州が所有する会社として独立し「Molkerei Weihenstephan」と言う社名で1967年に営業を開始した。その後2000年にミュラーグループに買収され、完全な民間企業となりキャンパス外へ引っ越しもしたため、現在は大学との共同研究はない。牛乳、バター、ヨーグルトなど45種類の乳製品を製造販売しており、牛乳は毎年220リットル売れている。ドイツ全土に加えオーストリアでも購入可能。[8]大学とは関係なくなったためキャンパス内での販売はない。

図書館[編集]

図書館はミュンヘンキャンパス、ガーヒンクキャンパス、ヴァエンシュテファンキャンパスにそれぞれ1つずつ存在する。図書の貸し出しは4週間で、延滞した場合は30ユーロの罰金を請求される。どの図書館も無線LAN、大型自習室、個人自習室、ロッカーがある。個人自習室は1ヶ月単位で無料で借りる事ができるが、敷金105ユーロが必要である。使用後、自習室内の設備に何の問題もない場合は敷金は全額返金される。

近年では、紙の本ではなく電子ファイルとして出版される書物も増えているため、インターネットネット上の図書館(TUM eJournals)もある。大学は、有料の学会誌や論文などとも契約しており、学生IDとパスワードを入力すればこれらを無料で閲覧またはダウンロードが可能である。

ドイツ博物館の中にも大学図書館がある。


ノーベル賞受賞歴[編集]

ミュンヘン工科大学で学んだ、または研究をした17名の研究者がノーベル賞を受賞している。


著名な出身者[編集]

脚注[編集]

[ヘルプ]

外部リンク[編集]