マーガリン

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マーガリン
マーガリン(regular, 80% fat, composite, stick, with salt)
100 g (3.5 oz)あたりの栄養価
エネルギー 2,999 kJ (717 kcal)
炭水化物 0.7 g
- 糖分 0 g
- 食物繊維 0 g
脂肪 80.71 g
- 飽和脂肪酸 15.189 g
- 一価不飽和脂肪酸 38.877 g
  - トランス脂肪酸 14.89 g
- 多価不飽和脂肪酸 24.302 g
  - ω-3脂肪酸 1.963 g
  - ω-6脂肪酸 0.088 g
タンパク質 0.16 g
水分 16.52 g
ビタミンA相当量 819 μg (91%)
- βカロテン 610 μg (6%)
- ルテインおよびゼアキサンチン 0 μg
ビタミンB1 0.01 mg (1%)
ビタミンB2 0.037 mg (2%)
ビタミンB3 0.023 mg (0%)
パントテン酸(ビタミンB5 0 mg (0%)
ビタミンB6 0.009 mg (1%)
葉酸(ビタミンB9 1 μg (0%)
コリン 12.4 mg (3%)
ビタミンB12 0.1 μg (4%)
ビタミンC 0.2 mg (0%)
ビタミンD 0 IU (0%)
ビタミンE 9 mg (60%)
ビタミンK 93 μg (89%)
カルシウム 3 mg (0%)
鉄分 0.06 mg (0%)
マグネシウム 3 mg (1%)
セレン 0 μg (0%)
リン 5 mg (1%)
カリウム 18 mg (0%)
塩分 751 mg (33%)
亜鉛 0 mg (0%)
 %はアメリカにおける成人向けの
栄養摂取目標 (RDIの割合。
出典: USDA栄養データベース(英語)
イポリット・メージュ=ムーリエ

マーガリン (margarine) は元々バターが高価であることからバターの代替としてつくられた食品。以前は人造バターと呼ばれていた。味や風味などはバターよりも劣るが安価である。バターが添加され、風味などが改善された製品もある。バターやオリーブオイルのようにパンに塗って食べるために広く用いられる。また、バターに比べ安価であることから、バターの代用品としてパンケーキクッキーアイスクリームチョコレートなど多くの食品の原材料に使われる。近年、マーガリンに含まれるトランス脂肪酸が健康被害を与える可能性が指摘されており、日本では規制が無いが米国や欧州では規制されている(後述)。

目次

[編集] 概要

マーガリンは精製した油脂に発酵乳・食塩・ビタミン類などを加えて乳化し練り合わせた加工食品で、その製造過程において水素を分子に付加して(水素付加、水素化)、常温で固体にしている。バターとの大きな違いは、バターの主原料は牛乳だがマーガリンの主原料は植物性・動物性の油脂である。以前はの脂肪(鯨油)を用いた物も普及していた。日本ではJAS規格により、「マーガリン類」の中で油脂含有率が80%を超えるものがマーガリン、80%未満がファットスプレッドと分類されている。

プラスチック製容器のほか個包装の形態(給食用など)でも販売されている。

[編集] 歴史

名称としてのマーガリンは、1813年フランス化学者であるミシェル=ウジェーヌ・シュヴルールが、動物性脂肪の研究からマルガリン酸を発見したことに遡る。マルガリン(またはマーガリン)という言葉はギリシャ語margarite真珠の意)に由来しており、真珠のように美しく輝くという性質を表現したものである[1]

製品としてのマーガリンは、19世紀末に発明された。1869年ナポレオン3世が軍用と民生用のためにバターの安価な代用品を募集したところ、フランス人のイポリット・メージュ=ムーリエ牛脂に牛乳などを加え硬化したものを考案。これは、オレオマーガリン (oleomargarine) [2]という名前がつけられ、後に省略してマーガリンと呼ばれるようになった。ムーリエの考案したマーガリンは公に採用され、その後1871年オランダアントニウス・ヨハネス・ユルゲンスが特許権を買収。ユルゲンスはサミュエル・ヴァン・デン・バーグと共にマーガリン・ユニを創業し、これは現在のユニリーバに繋がっていく。

日本へは1887年に初めて輸入され、1908年横浜の帝国社(現在のあすか製薬の前身)によって国産化に成功している。

19世紀末に、ニッケル触媒を用いる水素添加反応が発見され、さらにこの反応により植物油が硬化すること(硬化油)が見出された。20世紀に入るとこの硬化植物油を用いる“合成”マーガリンの製造が始められた。第二次大戦中のアメリカでは牛脂等の逼迫から“合成”マーガリンが本格的に製造され、戦後はマーガリンといえば普通これを指すようになった。近年問題となっているトランス脂肪酸は上記の水素添加反応によるものである。

(100g中)の主な脂肪酸の種類[3]
項目 分量(g)
脂肪 80.71
飽和脂肪酸 15.189
14:0(ミリスチン酸 0.046
16:0(パルミチン酸 8.431
18:0(ステアリン酸 6.173
20:0(アラキジン酸 0.261
22:0(ベヘン酸 0.109
24:0(リグノセリン酸 0.085
一価不飽和脂肪酸 38.877
16:1(パルミトレイン酸 0.045
18:1(オレイン酸[4] 38.675
20:1 0.133
多価不飽和脂肪酸 24.302
18:2(リノール酸 22.252
18:3(α-リノレン酸 2.04

[編集] トランス脂肪酸の人体への影響

かつて植物性脂肪から作られるマーガリンは、動物性脂肪であるバターよりも健康によいというような印象が持たれていた。しかし近年では逆に、マーガリンに含まれるトランス脂肪酸が健康被害を与える可能性が指摘されている。水素添加によって作られる通常のマーガリンはトランス脂肪酸を7%前後、ファットスプレッドは5%前後含む[5]。このトランス脂肪酸は心臓疾患や現代病の一因である可能性が指摘されており、米国ではすでに食品中に含まれるトランス脂肪酸の量を表示することが義務付けられたり、食品中に含まれる量の規制が行われるなどしている。2011年現在、日本では規制はない。詳しくはトランス脂肪酸の項を参照のこと。

[編集] 日本マーガリン工業会の見解

日本マーガリン工業会は、マーガリンの安全性に関する見解[6]をウェブサイトに掲載している。その要旨は

  • 日本人はトランス脂肪酸の摂取量及びエネルギー比が欧米に比べて少ない。WHOFAOの報告書ではトランス脂肪酸のエネルギー比を1%未満とすることが提唱されているが、日本人の平均は0.3%(2006年)である。
  • 日本人はトランス脂肪酸の害を低減するリノール酸の摂取量が欧米に比べて多い。
  • トランス酸を過剰に摂取することは健康を害する可能性があるため、バランスのよい食事が大切である。

というものである。

[編集] トランス脂肪酸を低減したマーガリン

[編集] 従来法

日本では、トランス脂肪酸量の表示が義務化されていないことなどから、マーガリンの生産時にトランス脂肪酸量を低減する工程を入れることは少ない。そのため、マーガリンに含まれるトランス脂肪酸の含有率はほとんど上記のとおりである。なお、トランス脂肪酸の低減工程を行っており、それを明示している物として、バーガリン(マーガリン類ファットスプレッド、トランス脂肪酸1%以下)や、銀シャリ本舗のエコソフト(公称2%以下、分析値1.3%)、創健社のべに花ハイプラスマーガリン(0.5%)などがある。

[編集] 新製法

2003年、不飽和脂肪酸への水素添加による生成されるトランス脂肪酸の摂取量の量的制限が勧告されて以降、メーカー各社は技術開発を進め、現在の市販品マーガリンは、飽和脂肪酸であり、常温で固化しているパルミチン酸組成が高いパーム油を素材にした製品に転換している。パルミチン酸の融点は体温より高く、パーム油原料のみでは官能評価が極めて低く、C20以上の脂肪酸を添加した製法が一般的である。

[編集] 各国の対応と規制

[編集] 日本

日本では、諸外国と比較して食生活におけるトランス脂肪酸の平均摂取量は少なく、相対的に健康への影響は少ないと主張する説もある。食品安全委員会の調査報告では、日本人が1日に摂取するトランス脂肪酸は全カロリー中0.3%(食用加工油脂の国内の生産量からの推計で0.6%)で、米国では2.6%である[7]。これはWHO勧告にある1%未満をクリアしている。

ただしこれは平均的な食生活を営んでいる場合のことで、食の嗜好の多様化により望ましくないレベルのトランス脂肪酸を摂取してしまう人が存在する可能性はある[8]

日本ではインターネット上で反対運動がなされているほかには、ごく一部の企業がトランス脂肪酸低減に取り組んでいる程度で、政府や地方公共団体、業界団体は特段の規制を行っていない。これは前述のように、日本におけるトランス脂肪酸の摂取量は少なく、健康への影響は小さいとされているためである[9]

日本では厚生労働省が推進している保健機能食品がトランス脂肪酸商品を認可している事などがある。 消費者庁は商品への含有量の表示のガイドライン作成を決めた[10]が、摂取は個人の判断にゆだねる方針である。2010年12月26日セブン&アイ・ホールディングスはトランス脂肪酸を含む商品を販売をしない方針を明らかにした[11]

[編集] アメリカ合衆国

アメリカ合衆国では、2003年5月に、スナック菓子製造業者であるクラフトフーヅに対して、トランス脂肪酸を使わないように求める訴訟が起こされた。この訴訟は、製造業者が代替品を見つけると約束したことで取り下げられた。この訴訟は、アメリカ国内で、トランス脂肪酸に対する論議を活発にすることに役立った。これと期を同じくして、アメリカ食品医薬品局 (FDA) により、2003年7月11日、新しい栄養ラベルの規定を発表。一食 (one serving[12]) あたり0.5g以上のトランス脂肪酸を含む加工食品や一部の栄養補助食品に関してトランス脂肪酸量を表示することを規定し、トランス脂肪酸量の表示を2006年1月1日から義務づけた。

ニューヨーク市は2006年12月、同市内の飲食店におけるトランス脂肪酸の使用規制を決定した。2007年7月から、1食あたりの調理油やマーガリンに含まれるトランス脂肪酸を0.5g以下とする規制が施行され、違反者には最高2,000ドルの罰金が科せられる。2008年8月には、1食あたりの総量としての使用が0.5g以下に規制された。

2008年7月25日、カリフォルニア州において州レベルで初めて使用禁止を決定し[13]、違反した場合25~1000ドルの罰金が科せられる。レストランでの使用は2010年1月1日以降禁止され、焼き料理の商品(ペストリー等)での使用は2011年1月1日以降禁止される。[14]

[編集] 英国

イギリスでは、マーガリンの販売は禁止されている。マーガリンの代わりにスプレッドが使用される。 英国では摂取カロリーのうち、30%以下(WHO平均所要脂質量換算で66g/日)を脂質に、その中でもトランス脂肪酸を2%以下(同、1.3g/日)にするように勧告している[15]

[編集] 製造・販売企業

かつては味の素も「マリーナ」で参入していた。「マリーナ」は味の素がマーガリン事業から撤退後、日本リーバ(現:ユニリーバ・ジャパン)が販売を引き継いだが、現在は販売を終了している。また、ユニリーバ・ジャパンがもともと手掛けていた「ラーマ」ブランドのマーガリン事業は上記のJ-オイルミルズへ譲渡された。 歴史的経緯から味の素の油脂事業(味の素製油)を引き継いでいる同社にとっては事実上の再参入である。ちなみにユニリーバ・ジャパンはユニリーバと豊年製油(現J-オイルミルズ)の合弁で設立されたものである(その後、合弁解消。当時の社名は豊年リーバ)。

[編集] 脚注

  1. ^ この語源はヨーロッパの女性人名であるマルガリータ (Margarita)、マーガレット(Margaret)、マルゲリータ(Margerita)などと共通している。
  2. ^ オレオ (oleo) は油 (oil) を意味する。
  3. ^ http://ndb.nal.usda.gov/
  4. ^ 約15gのトランス脂肪酸も含む。
  5. ^ 五訂増補日本食品成分表 脂肪酸成分表編
  6. ^ 日本マーガリン工業会『「トランス脂肪酸」について』
  7. ^ トランス脂肪酸の摂取量は適正 食品安全委員会
  8. ^ ファクトシート:トランス脂肪酸 (PDF)(食品安全委員会)
  9. ^ 食品安全モニターからの報告(平成19年5月分)(抜粋)と食品安全委員会・厚生労働省からのコメント (PDF)
  10. ^ トランス脂肪酸、夏までに食品含有量の表示指針作成へ - 2010年3月9日読売新聞
  11. ^ トランス脂肪酸含む商品、店に置かず セブン&アイ方針 - 2010年12月26日asahi.com
  12. ^ FDAでは、通常1食あたりに消費する食品の基準量をone servingとして定めている。バター、マーガリンでは1テーブルスプーンが one serving。
  13. ^ カリフォルニア州報道発表(2008年7月25日)
  14. ^ The National Conference of State Legislatures(アメリカ)
  15. ^ 板倉弘重 『脂質の科学』、pp.6-7、朝倉書店。ISBN 4-254-43514-2 (1999)。

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

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