マンモン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
イーヴリン・ド・モーガンの「マンモン崇拝」1909年

マンモンマモン(Mammon)はキリスト教における「七つの大罪」の一つ、「強欲」を司る悪魔である(1589年、悪魔学者ペーター・ビンスフェルトの論による)。そもそもMammonとは、「富・財」を意味する古代シリア語であった。『マタイによる福音書』に「汝ら神と富とに兼ね事ふること能はず」(6:24)とあり、神との対比から聖書注釈者、並びに教父がこれを悪魔の一つとするに至った、というのが最も有力な説である。

アマイモン(Amaimon)などとの名前の相似から、アモンと混同されやすい。

悪魔像[編集]

姿形は一般的に、人の胴体に鳥の双頭(普通はカラス)を持った、黒い悪魔として表現される。金銀財宝に対して非常に貪欲で、人間を誘惑して自らと同じように強欲にするという。

召喚術などで彼を呼び出すと主人の金銭欲を満たし、その代償に命を奪うという。そもそも彼から受け取った金銀の類はしばらくすると馬糞や灰に化すというから、さらさら人間の言う事を聞く気は無いのかもしれない。

堕天使[編集]

J・ミルトンの『失楽園』では、マンモンは「堕天使のうち、これほどさもしい根性の持ち主も無かった」とされ、「天にあったときでさえ、彼は常に眼と心を下に……つまり、都大路に敷き詰められた財宝、足下に踏みつけられた黄金を神に見える際に懇々と沸き出でるいかなる聖なる祝福よりも遥かに賛美」していたという。さらには、地獄に落ちてなお、そこに金鉱を発見し、万魔殿を飾るためにと他の堕天使を指揮している。金銀を母なる大地から抉り出す術を人間に教えたのも彼だという(ただし、失楽園は聖書を始めとする当時の文献・伝説に忠実に準拠しているものの、それを踏襲した上でのミルトンの個人的想像による創作色が強いため、こういったオカルトの資料としては参考程度にしかならない)。

作られた悪魔[編集]

中世ヨーロッパのカトリック教会は、免罪符問題などに代表されるが、とかく教会の建築費(あるいは腐敗した聖職者の着服)等の金銭を必要としており、そのため献金・寄付しない者を守銭奴として非難し、また、七つの大罪で貪欲を特に嫌っていた事実がある(実際の教義上、最も重いのは傲慢とされていた)。つまり、マンモンとは皮肉ながら教父らが作り上げた悪魔なのである(ルシファー[そもそもは『金星』の意]≒サタンの図式も教父ら、あるいは聖書の翻訳にあたった者たちが作り上げたものであるという説がある)。

アモンとの混同[編集]

名が似通っているアモン(Aamon)との関係は、全く無いというわけではないらしく、アモンが他の神々を吸収することに関して強欲であったこと、人の胴体にふくろうの頭を持つ、という姿の相似など、二つの関連を指摘する説もある。

その他[編集]

関連項目[編集]