マンシェイェト・ナーセル

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マンシーヤ・ナーセルの街角

座標: 北緯30度01分56.08秒 東経31度16分31.03秒 / 北緯30.0322444度 東経31.2752861度 / 30.0322444; 31.2752861

マンシェイェト・ナーセルの位置(カイロ内)
マンシェイェト・ナーセル
カイロにおけるマンシーヤ・ナーセルの位置。

マンシーヤト・ナーシル(フスハー)またはマンシェイェト・ナーセル(アンミーヤ)(Manshiyat naser, منشية ناصر)はエジプトカイロ郊外、モカッタム英語版にあるコプト教徒の居住区。カイロ都市部のゴミ収集とリサイクルを収入源とする住民が多い。スラムであり、街道、店舗用建築物、集合住宅用建築物などの都市設備を備えてはいるが、現在は上水道下水処理場、電気などのインフラストラクチャーが不足している。

概要[編集]

ケーブ・カセドラル教会の講堂

エジプトは住民の9割がイスラム教徒であるが[1]、マンシーヤ・ナーセルはキリスト教の一派であるコプト教徒が中心の町である。

マンシーヤ・ナーセルには、聖人サイモン・ザ・ターナー英語版を記念したケーブ・カセドラル教会がある。この教会の講堂は座席数1万5千であり、中東最大である[2]

イスラム教では豚は不浄とされるが、コプト教徒は豚を飼い、都市部に捨てられた残飯を食べさせ、カイロの市場に出していた。ところが2009年春、 新型インフルエンザの世界的流行を受けて、エジプト政府はマンシーヤ・ナーセルなどで30万頭の豚を捕殺しており、住民のコプト教徒は経済的な打撃を受けた[3][4]。なお、この捕殺により、エジプト都市部では処理されない生ゴミであふれる状態となった[5]

ゴミ回収とリサイクル[編集]

2009年、モカッタムでゴミ回収の仕事をする少年
ゴミで溢れる街角

カイロ都市部のゴミは、ザッバリーン英語版と呼ばれるゴミ収集人により、マンシーヤ・ナーセル地区に持ち込まれている。ゴミを積んだカートは、ウマやロバに曳かせる場合が多く、積む高さは2.5から3メートルになることもある。ゴミの分別は女性や子供たちも加わった一家総出で行われることもある。プラスチックボトルや空缶類が有価物として分別される他、再生紙ガラス製品、溶融金属隗なども製造販売される。

メディア[編集]

2009年、この町で生まれゴミ収集を生業とする10代の少年を主人公とした映画、『Garbage Dreams英語版』がアメリカで作られている。

関連項目[編集]

参考文献[編集]

  1. ^ The World Factbook - Egypt” (2012年7月17日). 2012年7月22日閲覧。
  2. ^ Glenn Smith, Transforming Lives in Cairo’s Garbage Villages, Lausanne World Pulse, February 2008.
  3. ^ Christian Fraser, Egypt slaughters pigs to stop flu, BBC News, 29 April 2009.
  4. ^ 池田明史「中東キリスト教の現在」『中東協力センターニュース』、社団法人日本物理学会、2010年2月3日。 
  5. ^ Daniel Williams (2009年9月28日). “Swine-Flu Slaughter Leaves Cairo Without Pigs to Devour Trash”. 2012年7月22日閲覧。