マレーハコガメ

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マレーハコガメ
アンボイナハコガメ
アンボイナハコガメ
Cuora amboinensis amboinensis
保全状況評価
VULNERABLE
(IUCN Red List Ver.2.3 (1994))
Status iucn2.3 VU.svgワシントン条約附属書II類
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
: カメ目 Testudines
亜目 : 潜頸亜目 Cryptodira
上科 : リクガメ上科 Testudinoidea
: イシガメ科 Geoemydidae
: ハコガメ属 Cuora
: マレーハコガメ
C. amboinensis
学名
Cuora amboinensis (Daudin, 1802)
シノニム

Testudo amboinensis Daudin, 1802 Emys cuoro Schweigger, 1812

和名
マレーハコガメ
英名
Malayan box turtle
South Asian box turtle

マレーハコガメ(馬来箱亀、Cuora amboinensis)は、動物界脊索動物門爬虫綱カメ目イシガメ科ハコガメ属に分類されるカメ。ハコガメ属の模式種

分布[編集]

ハコガメ属ならびにイシガメ科で最も広い分布域を持つ。種小名amboinensisは「アンボイナ産の」の意。

  • C. a. amboinensis アンボイナハコガメ

模式標本の産地(模式産地)はアンボイナ島インドネシア)。

インドネシア(スラウェシ島モルッカ諸島)、フィリピンパラワン島スル諸島を除く)

  • C. a. couro ジャワハコガメ

模式産地はジャワ島(インドネシア)。

インドネシア(ジャワ島、スマトラ島スンバワ島やその周辺の島嶼

  • C. a. kamaroma シャムハコガメ

模式産地はタイ

インド北東部(ニコバル諸島含む)、インドネシア(ボルネオ島)、カンボジアシンガポール、タイ、バングラデシュ、フィリピン(パラワン島、スル諸島)、ブルネイベトナムマレーシア

  • C. a. liniata ビルマハコガメ

模式産地はミャンマー

ミャンマー固有亜種

形態[編集]

最大甲長21.6cmとハコガメ属最大種。オスよりもメスの方が大型になる。背甲は上から見ると楕円形や卵型。椎甲板肋甲板に筋状の盛り上がり(キール)があり、特に椎甲板のキールは発達する。縁甲板は鋸状に尖らず滑らか。背甲の色彩は黒や褐色、緑褐色で、縁甲板外縁は黄色い。腹甲には切れこみが入らない。ハコガメ属内でも蝶番が発達し、腹甲を折り曲げる事で背甲との隙間を塞ぐ事ができる。

頭部は小型で、吻端は尖らない。下顎の先端は僅かに鉤状になる個体が多い。頭部の色彩は褐色や暗褐色、黒で、側頭部には左右に3本ずつ黄色や淡黄色の筋模様が入る。

卵は長径4-5.8cm、短径2.5-3.4cmと細長いか、やや細長い楕円型。孵化直後の幼体は甲長3.8-4.7cm。幼体はキールや縁甲板外縁の黄色い縁取りが明瞭だが、成長に伴い消失する。

  • C. a. amboinensis アンボイナハコガメ

背甲は扁平で、幅が広い。キールは老齢個体でも椎甲板に残る個体が多く、肋甲板にも一部だが残る個体が多い。腹甲の暗色斑は大型で、さらに腹甲中央部に大型かつ不鮮明な褐色の斑紋が入る個体もいる。

  • C. a. couro ジャワハコガメ

背甲はやや盛り上がる。キールは老齢個体でも第2-5椎甲板に残る個体が多い。腹甲の暗色斑はやや小型。

  • C. a. kamaroma シャムハコガメ

背甲はドーム状に盛り上がり、幅が狭い。キールは消失するか、第4-5椎甲板に僅かに残る。腹甲の暗色斑は小型で、腹甲中央部に小型かつ不鮮明なの斑紋が入る個体もいる。

  • C. a. liniata ビルマハコガメ

背甲はドーム状に盛り上がる。キールは消失するか、第4-5椎甲板に僅かに残る。キールのある場所に薄灰色や緑褐色の筋模様が入る個体もいる。腹甲の暗色斑は小型。

分類[編集]

甲高や腹甲に入る斑紋から4亜種に分けられる。しかし分布の境界や形態の差異が曖昧であることから、亜種の有効性を疑問視する説もある。

  • Cuora amboinensis amboinensis (Daudin, 1802) アンボイナハコガメ Mymmer box turtle
  • Cuora amboinensis couro (Schweigger, 1812) ジャワハコガメ Mymmer box turtle
  • Cuora amboinensis kamaroma Rummler & Fritz, 1991 シャムハコガメ Mymmer box turtle
  • Cuora amboinensis liniata Mccord & Philippen, 1998 ビルマハコガメ Mymmer box turtle

生態[編集]

熱帯雨林気候サバナ気候内における主に標高500m以下の平地や丘陵にある流れの緩やかな河川湿原水田などに生息し、底質が泥で水生植物の繁茂する止水域やその周辺を好む。地域によってはマングローブ林で見られることもある。属内でも最も水棲傾向が強く(特に幼体)、よく水に入り泳ぎも上手い。昼行性だが、水温が高い日は主に薄明薄暮時に活動する。

食性は植物食傾向の強い雑食で、植物の葉、果物水草キノコ藻類昆虫類節足動物甲殻類貝類魚類、両生類の幼生などを食べる。水中でも陸上でも採食を行う。幼体は動物食傾向が強いが、成長に伴い植物食傾向が強くなる。

繁殖形態は卵生。飼育下では1回に1-5個(通常2-3個)の卵を年に2-4回に分けて産む。卵は26℃で79日、28-29℃で74-78日、30.5-31℃で47日で孵化した例がある。

人間との関係[編集]

生息地や中華人民共和国では食用とされることもある。

ペットとして飼育されることもある。インドネシアから輸出される亜種ジャワハコガメ安価に流通しており、日本にも輸入されている。飼育にあたっては低温に弱いため、水中にはヒーターを設置して保温する。陸場には局所的で水に強い暖房器具や照明器具を照射し、体を温め皮膚や甲羅を乾かすことのできる環境を作る。水質の変化に強いが、極度に水質が悪化したり温度や陸地の設定が不適切な場合、皮膚や甲羅に疾患を患うこともある。飼育下では人工飼料や乾燥飼料等にも餌付く。成体は植物食傾向が強くなるため、葉野菜などの植物質も与えた方が良い。発情したオスや大型個体は同種他種問わずに噛みついたり強引に交尾を迫るため、基本的には単独で飼育する。

画像[編集]

参考文献[編集]

  • 安川雄一郎 「アジアハコガメ属の分類と生態・生活史」『クリーパー』第4号、クリーパー社、2000年、6-11、32頁。
  • 千石正一監修 長坂拓也編著 『爬虫類・両生類800種図鑑 第3版』、ピーシーズ、2002年、205頁。
  • 冨水明 「Close up06 マレーハコガメ」『ビバリウムガイド』No.21、マリン企画、2003年、86頁。
  • 『小学館の図鑑NEO 両生類はちゅう類』、小学館、2004年、75頁。
  • 海老沼剛 『水棲ガメ2 ユーラシア・オセアニア・アフリカのミズガメ』、誠文堂新光社2005年、26-27頁。
  • 安川雄一郎 「水棲ガメの世界」『ハ・ペト・ロジー』Vol.3、誠文堂新光社、2005年、33、36、40頁。
  • 冨水明 「マレーハコガメを飼う」『ビバリウムガイド』No.33、マリン企画、2006年、26-27頁。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]