マネー・ショート 華麗なる大逆転

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
マネー・ショート 華麗なる大逆転
The Big Short
監督 アダム・マッケイ
脚本 チャールズ・ランドルフ
アダム・マッケイ
原作 マイケル・ルイス
『世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち』(文藝春秋
製作 デデ・ガードナー
ジェレミー・クライナー
アーノン・ミルチャン
ブラッド・ピット
製作総指揮 ルイーズ・ロズナー=マイヤー
ケヴィン・メシック
出演者 クリスチャン・ベール
スティーヴ・カレル
ライアン・ゴズリング
ブラッド・ピット
音楽 ニコラス・ブリテル
撮影 バリー・アクロイド
編集 ハンク・コーウィン
製作会社 リージェンシー・エンタープライズ
プランBエンターテインメント
配給 アメリカ合衆国の旗 パラマウント映画
日本の旗 東和ピクチャーズ
公開 アメリカ合衆国の旗 2015年12月11日
日本の旗 2016年3月4日
上映時間 130分[1]
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $28,000,000[2]
興行収入 世界の旗 $133,440,870[2]
アメリカ合衆国の旗カナダの旗 $70,259,870[2]
日本の旗 5億8000万円[3]
テンプレートを表示

マネー・ショート 華麗なる大逆転』(マネー・ショート かれいなるだいぎゃくてん、The Big Short)は、2015年アメリカ合衆国ドラマ映画

監督はアダム・マッケイ、出演はクリスチャン・ベールスティーヴ・カレルライアン・ゴズリングブラッド・ピットなど。マイケル・ルイスノンフィクション『世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち』(2010年刊行)を原作としている。

なお、原題『The Big Short』の「ショート」は空売りのこと[4]

ストーリー[編集]

2004年から2006年にかけて、アメリカ合衆国では住宅価格が上昇し、住宅ローンの債権が高利回りの金融商品として脚光を浴びていた。多くの投資家たちがそうした金融商品を買いあさる中で、いち早くバブル崩壊の兆しを読み取った投資家もいた。本作はそんな彼らがどのようにしてサブプライム住宅ローン危機の中で巨額の利益を上げたのかを描き出す。

キャスト[編集]

※括弧内は日本語吹替[5]

元神経科医の金融トレーダー。ヘヴィメタル好きで、常にTシャツ・短パン・裸足の変わり者。
フロントポイント・パートナーズのリーダー。モデルはスティーブ・アイズマン英語版
ドイツ銀行の行員。モデルはグレッグ・リップマン。
引退したトレーダー。ジェイミーとチャーリーに協力する。モデルはベン・ホケット。
若手個人投資家。モデルはチャーリー・レドリー。
若手個人投資家。ベンの隣人。モデルはジェイミー・マイ。
バウムのチームの一員。
バウムのチームの一員。
バウムのチームの一員。
  • テッド・ジャン - スタンリー・ワン[8]
モデルはユージーン・スー。
マーク・バウムの妻。モデルはヴァレリー・フェイゲン。
モデルはウィン・チャウ。

製作[編集]

構想[編集]

2013年パラマウント映画マイケル・ルイスのノンフィクション『世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち』の映画化権を取得し、ブラッド・ピットが代表を務めるプランBエンターテインメントが製作を担当することになった[11]2014年3月24日、アダム・マッケイが本作のメガホンをとり、脚色も担当することになったと報じられた[12]。なお、脚本の初稿はチャールズ・ランドルフが執筆した[13]

キャスティング[編集]

2015年1月13日、ブラッド・ピット、クリスチャン・ベールライアン・ゴズリングの3人が本作に出演すると報じられた。また、デデ・ガードナーが本作のプロデューサーを務めることも決まった[14]。14日、スティーヴ・カレルが本作に出演すると報じられた[15]。4月21日、残りの主要キャストが公表された[13]。23日、マックス・グリーンフィールドの出演も決まった[16]。5月8日、カレン・ギランが自身のTwitterで本作に出演することを明かした[17]

撮影[編集]

2015年3月18日、本作の主要撮影ルイジアナ州ニューオーリンズで始まった[18]。5月20日、マンハッタンに移って撮影が続行された[19]。22日にはニューヨーク州金融サービス局英語版のオフィスでリーマン・ブラザーズのオフィスを再現した撮影が行われた。このとき、金融サービス局の助役がエキストラの一人として撮影に参加した[20]

公開[編集]

2015年9月22日、パラマウント映画は本作を賞レースに参戦させるべく、アメリカでの限定公開日を同年12月11日、拡大公開日を12月23日に設定した[21][22]。日本では、UIP日本支社解散後、独自配給を行っていたパラマウント・ピクチャーズ・ジャパンが2016年1月31日で業務を終了したため、同年2月1日からは、パラマウントと劇場配給契約を締結した東宝東和の新子会社「東和ピクチャーズ」に変更され、同年3月4日に公開された。

作品の評価[編集]

映画批評家によるレビュー[編集]

Rotten Tomatoesによれば、批評家の一致した見解は「『マネー・ショート 華麗なる大逆転』はシリアスで複雑なテーマに細部にまでこだわりを持ってアプローチし、さらに実在の悪役たちをうまく演じ、痛烈な笑いで告発している。」であり、328件の評論のうち高評価は88%にあたる290件で、平均点は10点満点中7.80点となっている[23]Metacriticによれば、45件の評論のうち、高評価は37件、賛否混在は6件、低評価は2件で、平均点は100点満点中81点となっている[24]

受賞歴[編集]

映画賞 対象 結果
2015 第41回ロサンゼルス映画批評家協会賞[25] 編集賞 ハンク・コーウィン 受賞
第19回トロント映画批評家協会賞[26] 脚本賞 アダム・マッケイ
チャールズ・ランドルフ
(原作:マイケル・ルイス
受賞
AFIアワード 2015[27] 映画部門 受賞
2016 第50回全米映画批評家協会賞[28] 脚本賞 アダム・マッケイ
チャールズ・ランドルフ
3位
第73回ゴールデングローブ賞 作品賞(ミュージカル / コメディ部門) ノミネート
主演男優賞(ミュージカル / コメディ部門) クリスチャン・ベール ノミネート
スティーヴ・カレル ノミネート
脚本賞 チャールズ・ランドルフ
アダム・マッケイ
ノミネート
第27回アメリカ製作者組合賞[29][30] 映画部門 受賞
第22回全米映画俳優組合賞[31] 助演男優賞 クリスチャン・ベール ノミネート
キャスト賞 ノミネート
第69回英国アカデミー賞 脚色賞 受賞
アメリカ脚本家組合賞 2016[32][33] 脚色賞 チャールズ・ランドルフ
アダム・マッケイ
受賞
第28回USCスクリプター賞[34] 映画部門 チャールズ・ランドルフ
アダム・マッケイ
受賞
第20回サテライト賞[35][36] 助演男優賞 クリスチャン・ベール 受賞
作品賞 ノミネート
第88回アカデミー賞[37] 脚色賞 チャールズ・ランドルフ
アダム・マッケイ
受賞
作品賞 ノミネート
監督賞 アダム・マッケイ ノミネート
助演男優賞 クリスチャン・ベール ノミネート
編集賞 ノミネート
エンパイア賞 2016[38] 脚本賞 受賞
第66回アメリカ映画編集者協会 エディ賞[39] ミュージカル/コメディー部門 未決定

出典[編集]

  1. ^ マネー・ショート 華麗なる大逆転”. 2015年12月6日閲覧。
  2. ^ a b c The Big Short” (英語). Box Office Mojo. 2017年9月13日閲覧。
  3. ^ キネマ旬報 2017年3月下旬号』p.43
  4. ^ 映画マネーショートをもっと面白く観るために投資歴30年のプロが解説”. 投資の教養 (2017年10月2日). 2018年12月10日閲覧。
  5. ^ マネー・ショート 華麗なる大逆転 ブルーレイ+DVD セット”. 2016年4月27日閲覧。
  6. ^ a b c d Kit, Borys (2015年1月14日). “Steve Carell in Talks to Join Christian Bale, Ryan Gosling in 'The Big Short'”. hollywoodreporter.com. https://www.hollywoodreporter.com/news/steve-carell-talks-join-christian-763755 2016年4月27日閲覧。 
  7. ^ a b c d “The True Story Behind The Big Short”. History vs Hollywood. https://www.historyvshollywood.com/reelfaces/big-short/ 2016年4月27日閲覧。 
  8. ^ Rhoades, Shirrel (2015年12月24日). “The Big Short (Rhoades)”. Tropic Cinema. http://tropiccinema.blogspot.ca/2015/12/the-big-short-rhoades.html 2016年4月27日閲覧。 
  9. ^ a b c d Finely, Dash (2015年12月16日). “The Big Secrets Of The Big Short: How Unexpected Cameos Impact The Year's Must-See Film”. MoviePilot.com. 2016年4月27日閲覧。
  10. ^ The Big Short Somehow Makes Subprime Mortgages Entertaining”. Wired.com (2015年12月11日). 2016年4月26日閲覧。
  11. ^ ‘Anchorman’s’ Adam McKay Boards Financial Drama”. 2015年12月6日閲覧。
  12. ^ Paramount Taps ‘Anchorman’ Helmer Adam McKay To Adapt And Direct Michael Lewis’ ‘The Big Short’ About Economic Meltdown”. 2015年12月6日閲覧。
  13. ^ a b ‘The Big Short’ Solidifies With Christian Bale, Steve Carell, Ryan Gosling, Brad Pitt”. 2015年12月6日閲覧。
  14. ^ Brad Pitt, Christian Bale and Ryan Gosling to Star in Financial Drama ‘The Big Short’ (EXCLUSIVE)”. 2015年12月6日閲覧。
  15. ^ Steve Carell in Talks to Join Christian Bale, Ryan Gosling in 'The Big Short' (Exclusive)”. 2015年12月6日閲覧。
  16. ^ Max Greenfield Joins Brad Pitt, Ryan Gosling in ‘The Big Short’ (EXCLUSIVE)”. 2015年12月6日閲覧。
  17. ^ https://twitter.com/karengillan/status/596799346303062016
  18. ^ Brad Pitt, Ryan Gosling, & Christian Bale are headed to Orleans for ‘The Big Short’”. 2015年12月6日閲覧。
  19. ^ ‘The Big Short’, starring Brad Pitt and Ryan Gosling, is filming in NYC this week!”. 2015年12月6日閲覧。
  20. ^ ‘Big Short’ Recreates Lehman Bros. Offices in Regulator’s Building”. 2015年12月6日閲覧。
  21. ^ ブラピ、ゴズリング、ベール共演「世紀の空売り」映画化、賞レース狙いの12月公開が決定”. 2015年12月6日閲覧。
  22. ^ Paramount pushes 'The Big Short' into awards season”. 2015年12月6日閲覧。
  23. ^ The Big Short (2015)” (英語). Rotten Tomatoes. 2021年2月6日閲覧。
  24. ^ The Big Short Reviews” (英語). Metacritic. 2021年2月6日閲覧。
  25. ^ LA批評家協会賞は「マッドマックス」が最多3冠 作品賞は「スポットライト」”. 映画.com (2015年12月7日). 2015年12月8日閲覧。
  26. ^ The Toronto Film Critics Association names Todd Haynes’ Carol the Best Film of the Year”. TFCA (2015年12月14日). 2015年12月17日閲覧。
  27. ^ 「スター・ウォーズ フォースの覚醒」がAFIアワードにランクイン”. 映画.com (2015年12月18日). 2015年12月18日閲覧。
  28. ^ Awards for 2015 films by NSFC on January 3, 2016”. 全米映画批評家協会 (2016年1月3日). 2016年1月6日閲覧。
  29. ^ 米製作者組合賞ノミネート発表”. 映画.com (2016年1月6日). 2016年1月8日閲覧。
  30. ^ 米製作者組合賞、「マネー・ショート 華麗なる大逆転」が勝利する波乱!”. 映画.com (2016年1月25日). 2016年1月25日閲覧。
  31. ^ 米俳優組合賞ノミネート発表 ブライアン・クランストン主演「Trumbo」が最多3部門”. 映画.com (2015年12月11日). 2015年12月11日閲覧。
  32. ^ 米脚本家組合賞ノミネート発表”. 映画.com (2016年1月7日). 2016年1月8日閲覧。
  33. ^ 米脚本家組合賞、脚本賞「スポットライト」&脚色賞「マネー・ショート」”. 映画.com (2016年2月15日). 2016年2月16日閲覧。
  34. ^ 原作のある脚本を表彰!『マネー・ショート 華麗なる大逆転』が受賞!”. シネマトゥデイ (2016年2月25日). 2016年2月25日閲覧。
  35. ^ サテライト賞ノミネート発表”. 映画.com (2015年12月3日). 2015年12月8日閲覧。
  36. ^ 作品賞は『スポットライト 世紀のスクープ』 ディカプリオにまた栄冠! 第20回サテライト・アワード発表”. シネマトゥデイ (2016年2月26日). 2016年2月26日閲覧。
  37. ^ 88th ANNUAL ACADEMY AWARDS 第88回アカデミー賞特集 ノミネート&結果一覧”. シネマトゥデイ. 2016年2月29日閲覧。
  38. ^ “『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』が最多受賞!2016年エンパイア賞発表”. シネマトゥデイ. (2016年3月25日). https://www.cinematoday.jp/news/N0081370 2016年3月25日閲覧。 
  39. ^ 『スター・ウォーズ』『マッドマックス』がノミネート!第66回アメリカ映画編集者協会エディ賞”. シネマトゥデイ (2016年1月7日). 2016年1月8日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]