マヌルネコ

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マヌルネコ
ManulZooEdinburg.jpg
マヌルネコ
保全状況評価[1]
NEAR THREATENED (IUCN Red List Ver. 3.1 (2001))
Status iucn3.1 NT.svg
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
: 哺乳綱 Mammalia
: ネコ目 Carnivora
: ネコ科 Felidae
: ネコ属 Felis
: マヌルネコ F. manul
学名
Felis manulPallas, 1776)
和名
モウコヤマネコ
英名
Pallas's Cat
マヌルネコの頭蓋骨。レジナルド・インズ・ポコックThe Fauna of British India, including Ceylon and Burma - Mammalia Vol 1より
イギリス、エディンバラ動物園のマヌルネコ

マヌルネコ(まぬる猫、英名:Pallas's CatまたはManul、学名:Felis manulまたはOtocolobus manul)はずんぐりとした体が特徴の食肉目ネコ科の動物の一種。マヌルとはモンゴル語で「小さいヤマネコ」の意味。モウコヤマネコという別名がある。ネコ科の動物の中では最も古い種で、絶滅種であるFelis lunensis(Martelli's Cat)と共にPseudaelurus属から約1500万年前に分岐した最初の2種のうちの1種であると考えられている[2][3]。中央アジアに分布。現在マヌルネコは本種だけで構成される単型のマヌルネコ属 Otocolobusに分類されているが、ネコ亜科ネコ属ベンガルヤマネコ属への分類も提案されている[1]

形態[編集]

体長50-65cm、尾長21-31cm、体重2.5-5.0kg。体毛が長く密集して生えているので丸々と太った立派な体型に見える。この厚い毛のおかげで、雪の上や凍った地面の上に腹ばいになったとき体を冷やさずにすむ[4][5]

体は橙みを帯びた灰色、腹面は白っぽい灰色、四肢は黄土色。腰に茶色の横縞が走る。個体によってはこの横縞が厚い毛のせいで判別できないこともある。尻尾の先の方に鮮明な5、6本の輪状の縞があり、先端は黒色である。頬は白色で長い毛がある[4]。目の端から頬に黒色の縞が走る。顎から喉にかけても白色で、体下面では密集した灰色がかった毛になる。季節が移ると毛は生え変わる。冬毛は夏毛より灰色みが強く、模様が不鮮明である[5]

他のネコ科の動物と比べると足や爪が短く、臀部がやや大きい。特徴的な顔つきで、額は高く、丸い耳が低く離れた位置に付いている。これは目の位置が高いところにあるのでそう見えるのである。目の位置が高いのは、身を隠せる場所の少ない平坦な砂漠ステップで、岩陰に臥せて岩の上から目だけを出して獲物を狙うのに適しているからだと考えられている[4]。顎は小さく、他のネコ科の種に比べ歯の数が少なく、上顎第一小臼歯が欠けている[5]。また、瞳にも特徴がある。マヌルネコは他のネコ科の動物と異なり、瞳孔が縦長にならず、明るいところでは丸いままの形で収縮する[4][6]

その平べったい顔つきから一時はペルシャネコの祖先だと考えられていた。しかし現在は、この説が間違いであることが判明している[5]

生態[編集]

主に単独で行動し、繁殖期を除けば他の個体と出会うことすら稀である。昼間は、岩の割れ目、岩穴、マーモットなどの掘った穴などに潜み、夜になると活動をはじめる。時々昼間にも活動する。脚はあまり速くないので主に待ち伏せ、尾行による狩りを行う。その際身を隠すのに背の低い植物や岩の多い地形を使う。主食はナキウサギやネズミ類で、たまにハタリスユキウサギトガリネズミ鳥類なども捕食することがある[5]。飼育下では4下旬から5月に、1~5仔を産む。野生での繁殖習性についてはまだよく分かっていない[4]

マヌルネコは独特な威嚇行動をとる。片方の上唇を釣り上げ震わせて、大きな犬歯をむき出しにするのである[5]

亜種[編集]

保全状態[編集]

法によって保護される前は、中華人民共和国モンゴル国アフガニスタンソビエト連邦で毛皮をとるために狩猟の対象とされた。齧歯類を捕食するため、殺鼠剤の使用が本種の生存に影響を与えているかもしれない。

感染症による死亡率が高く、飼育下での繁殖は困難である。生息地が高地のため病原菌が少なく、免疫力が低いためと考えられている。

参考文献[編集]

  1. ^ a b Ross, S., Murdoch, J., Mallon, D., Sanderson, J. & Barashkova, A. 2008. Octocolobus manul. In: IUCN 2010. IUCN Red List of Threatened Species Version 2010.4. International Union for Conservation of Nature.
  2. ^ [1]
  3. ^ [2]
  4. ^ a b c d e 今泉忠明 『野生ネコの百科[最新版]』 データハウス、2004年、p.46-47、ISBN 978-4-88718-772-6
  5. ^ a b c d e f Sunquist, Mel; Sunquist, Fiona (2002). Wild cats of the World. Chicago: University of Chicago Press. pp. 219–224. ISBN 0-226-77999-8. 
  6. ^ Malmström T, Kröger RH (January 2006). “Pupil shapes and lens optics in the eyes of terrestrial vertebrates”. J. Exp. Biol. 209 (Pt 1): 18–25. doi:10.1242/jeb.01959. PMID 16354774.