マドリガル・コメディ

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マドリガル・コメディ英語Madrigal comedy)は、16世紀イタリアの娯楽音楽のうち、(通常)ア・カペラマドリガーレを連続して歌い、(通常)物語を語り、時には、漠然とでもドラマの筋を持っているものを指す言葉である。オペラに先駆けるものの1つで、20世紀にアルフレート・アインシュタインがこの言葉を考案した。

アレッサンドロ・ストリッジョ1567年に作ったマドリガーレ曲集『洗濯女たちの井戸端会議』は、全体で一つの滑稽な物語を成すマドリガル・コメディであった。それ以後のマドリガル・コメディでは、時としてプロローグを含む各幕に分けられ、まだオペラが幕を分けていなかった間は、マドリガル・コメディは、凝った絵を描いた背景のある舞台で演じられていたようだ(例として、オラーツィオ・ヴェッキの『ランフィパルナーソ』(1597年)のプロローグを描いた木版画が残っていて、衣裳を身につけた1人の歌手の後ろに、町の通りを描いた背景がある)。楽譜に書かれたヴェッキの指示は、歌手の演じ方ではなく、観客が想像力でどんな反応を取るかについてのものである。ヴェッキはプロローグで観客にこう呼びかける。

私が語りますスペクタクルをば、どうぞ皆様、心の中で思い描いてください。目ではなく、耳でご覧ください。ですから、どうぞお静かに。

マドリガル・コメディは1590年代から1602〜1603年くらいまで、イタリアのみで人気を博したが、1600年にオペラが登場して、その熱狂はいっきに退いてしまった。同様に、ア・カペラのマドリガーレまでどこかに消えて無くなった。マドリガル・コメディの音楽は軽妙で、話は常に滑稽なものだった。

アレッサンドロ・ストリッジョ、アドリアーノ・バンキエリ、ジョヴァンニ・クローチェ Giovanni Croce、オラーツィオ・ヴェッキといった作曲家たちが、マドリガル・コメディの主要な作曲家である。

参考文献および読書案内[編集]

  • Articles "Madrigal comedy", "Madrigal," "Alessandro Striggio" in The New Grove Dictionary of Music and Musicians, ed. Stanley Sadie. 20 vol. London, Macmillan Publishers Ltd., 1980. ISBN 1-56159-174-2
  • Gustave Reese, Music in the Renaissance. New York, W.W. Norton & Co., 1954. ISBN 0-393-09530-4
  • The New Harvard Dictionary of Music, ed. Don Randel. Cambridge, Massachusetts, Harvard University Press, 1986. ISBN 0-674-61525-5